shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Rubber Soul」イスラエル盤

2021-09-12 | The Beatles
 私は三度のメシよりもラウド・カットが好きな人間である。出来ることならば「With The Beatles」や「Rubber Soul」だけでなく、ビートルズの、いや、世に出ているロックのレコードがすべてラウド・カットで聴けたら最高なのに... と考えるくらいの “ラウド・カット中毒” だ。
 そんな私のレーダーに引っ掛かってきたのが8/22付のB-SELSの日記で取り上げられていた「Rubber Soul」のイスラエル盤。その「Rubber Soul」イスラエル・オリジナルのモノラル盤はUKメタル・マザー使用でマトリクスは4/4、つまりラウドカットではなく通常盤の方であるにもかかわらず、ラウドカット盤をすでに何枚もお持ちの常連さんがそのイスラエル盤マトリクス4を聴いて驚かれたほどのド迫力で、UKのマト1ラウドカット盤を思わせるほど音に力があると、あのSさんが大絶賛されていたのだ。
 イスラエル盤なんて音のショボい「Hey Jude」と例の緑がかったジャケットの「Magical Mystery Tour」の2枚しか持っておらずそれまでほとんど眼中になかったのだが、ラウドカットとなると話は別。もちろん「Rubber Soul」のラウドカット盤は何枚か持ってはいるが、同じUKマザーでもビニールやらプレスやらの違いで再生音も変わってくるので、これはえらいこっちゃ案件である。ぜひとも自分の耳で聴いて確認しなければ... ということで、その “ラウドなマト4盤” を聴かせてもらいにB-SELSに行ってきた。
 お店でいつものようにコーヒーをご馳走になりながら “聴いてみたいレコードがありますねん...” と切り出すと “どれですか?” と仰ったので “「Rubber Soul」のイスラエル盤です。例のラウドなヤツですよ。” と答えたところ、“あぁ、なるほど。ラウドカット好きのshiotchさんには是非聴いていただきたいレコードです。” と実に嬉しそうだ。
 早速A①「Drive My Car」から聴かせていただく。いきなりイントロのギターが凄まじい勢いでスピーカーから飛び出してきて度肝を抜かれる。もちろんラウドな音を予想して身構えてはいたのだが、出てきた音はこちらの予想の遥か斜め上をいく爆音で、“これがホンマにマト4の音か???” と思わずにはいられないエグイい音である。
 それからベースの音がこれまた強烈で、ただ単に音がデカいだけでなく音そのもののクオリティーも高いし、更にそれが曲の中でバランスを崩すことなく絶妙なさじ加減でパワーアップされているのだから恐れ入る。音楽性を損なわずにベースの音で感銘を与えるという、非常に高度な音作りがなされているのだ。
 A①が終わり、“めっちゃエエですね!!!” と興奮気味に言うと、Sさんはニッコリ笑ってサムズアップされた。残念なことにその日はあまり時間が無くてここで一旦打ち切り、その2日後に再びB-SELSに行って続きを聴かせていただいたのだが、溝の状態がとても良いせいか気になるチリパチ音はほとんど無く、難関と言われる最内周のA⑦「Michelle」も破綻なくしっかりと再生された。
 UKマザーの「Rubber Soul」はA面に比べてB面の方が鮮烈な音が聴けることが多いが、このイスラエル盤も同様で、B①「What Goes On」でラウドな音の塊がお店のスピーカーから迸り出る瞬間の気持ち良さを何と表現しよう? B②「Girl」のジョンの歌声の生々しさは鳥肌モノだし、B③「I'm Looking Through You」のキレッキレのギターの音も強烈だ。ラストのB⑦「Run For Your Life」の圧倒的なグルーヴに酔いしれた後、私はいつものように “これいただきます!!!” と即決で購入を決めた。
 家に帰って自分のシステムでUKマト1ラウドカット盤(スタンパーは両面GA)と聴き比べてみたところ、音圧に関してはさすがに少しだけマト1盤が上回っていて低音もマト1盤の方が下の下まで出ているが、逆にイスラエル盤の方が低音のスピード感で勝っており、聴感上のバランスも良いように感じられた。要するに重低音を採るかスピード感を採るかということになるのだが、私にとってはどちらも魅力的な音なので甲乙付け難い。どうしてもどちらか一方を選べと言われれば僅差でUKマト1盤ということになるが、UKマザーとはいえイスラエルのマト4盤の分際で(笑)絶対王者たるUKマト1盤と互角に渡り合ったことがこのレコードの実力を雄弁に物語っているように思う。大好きな「Rubber Soul」を各国盤の様々な音作りで楽しめるというのはビートルズ・ファンにとって究極の贅沢なのかもしれない。
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