shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

TOTO Ⅳ

2021-03-17 | Rock & Pops (80's)
 「TOTOⅠ」の翌年にリリースされた彼らの2ndアルバム「Hydra」はプロコル・ハルムとスティーリー・ダンを足して2で割ったようなすかしたサウンドで、1st っぽいメリハリの効いた音を期待していた私は肩透かしを食らいガッカリ(*_*)  コレ!と言えるキャッチーなアッパー・チューンが無くてアルバム全体が単調に聞こえるのだ。例えるならセナもプロストもマンセルもピケもいない80年代後半のF1を見ているような感じ... といえば分かりやすいかも。
 その2年後にリリースされた3rdアルバム「Turn Back」は「Hydra」のヨーロッパ・プログレ路線から方向転換してスティーヴ・ルカサーのギンギンのギターを大きくフィーチャーしたアメリカン・ハード全振りの内容だったが、いかんせん収録曲のクオリティーが低くてキャッチーさに欠ける曲が多かったのでまたまたガッカリ(*_*) そんな中で1曲だけ断トツに素晴らしかったのがシングル・カットされた「Goodbye Elenore」だ。縦横無尽に暴れまくるジェフ・ポーカロのドラミングがこの曲の疾走感に拍車をかけ、ボビー・キンボールのハイ・トーンが炸裂、ノリの権化と化したスティーヴ・ルカサーの波打つギターと、まさに非の打ちどころのないアメリカン・ロックに仕上がっている。TOTOの「Turn Back」に関してはこの愛聴曲「Goodbye Elenore」と、例の案山子の落書きのような脱力系 “へのへのもへじ” ジャケット(笑)しか頭に浮かんでこない。
 さすがに2作連続でハズレ(←あくまでも私見ですが...)だったこともあってTOTOもうアカンのかな... と思い始めていた矢先にリリースされたのが、全米だけでトリプル・ミリオンを達成し、彼らにとって最大のヒット・アルバムとなった「TOTO Ⅳ」だ。1stシングルのA①「Rosana」がポールの「Ebony And Ivory」やヒューマンリーグの「Don't You Want Me」と全米1位を争っている(←5週連続2位で結局1位にはなれんかったけど...)のを見て “おぉ、TOTO復活したやん...” と感心したものだが、驚いたのはその半年後に3rdシングル「Africa」が予想外の(←失礼!)全米1位を記録したこと。80年代のアルバムはマイケルの「Thriller」やデフレパの「Hysteria」など、2ndシングルや3rdシングルの大ヒットによってアルバムが長期間売れ続け、総売り上げ枚数が飛躍的に伸びる傾向が強かったのだが、この「TOTO Ⅳ」もリリースから半年たってチャートを下降していたのが「Africa」のシングル・チャート1位で再び息を吹き返し、凄まじい勢いで売れ出したのを覚えている。
 それにしてもこの「Africa」という曲、“メロディー良し・演奏良し・アレンジ良しと三拍子揃ったキラー・チューンの鑑のような曲である。ジェフ・ポーカロが刻む軽やかなサンバのリズムに乗ったゆったりとしたメロディーが美しい前半部分が徐々に盛り上がっていき、サビに入って一気にたたみかけるところが大好きで、“I bless the rains down in Africa♪” のリフレインは何度聴いても感動的(≧▽≦) 雄大なアフリカの大草原のイメージを音楽で完璧に表現しているところが何よりも凄い。それまでのTOTOにはなかったタイプの楽曲だが、TOTO史上、いや80's洋楽史上屈指の名曲と言っていいと思う。
TOTO Africa アフリカ / 歌詞


 このアルバムは「TOTOⅠ」同様名曲の宝庫だが、私的には1stシングルになった「Rosana」(←モロにMTVを意識した軽薄なPVのイメージが染み付いてしまった...)よりもB面冒頭に置かれたB①「Afraid Of Love」とB②「Lovers In The Night」のハード・ポップ連続コンボが一番のお気に入り。B①はヴァン・ヘイレンが後に「Top Of The World」でパクったカッコ良いギター・リフが生み出すハードなドライヴ感がたまらないし、間髪を入れずに始まるB②ではまるでエイジアの1stアルバムを聴いているかのようなスリリングな緊張感を味わえる。
TOTO - Afraid of Love / Lovers in the Night ( 1982 )


 この「TOTO IV」は超の付く愛聴盤なのでUS盤とUK盤の両方を持っていたが、つい最近かなり珍しいインド盤を入手。ジャケットの赤色がちょっとくすんだ感じがカッコイイ。3枚ともマトが違うので聴き比べてみたところ、TML刻印入りのUS盤が中域のスピード感に優れ高域のヌケが良いのに対し、UK盤は中低域が分厚く音の重心が低い印象。特にドラムの一発一発の重みが凄まじい。インド盤はハイ上がりのキレッキレのサウンドがスピーカーからドバーッと迸り出てきて、まるでバリバリのハードロックを聴いているようだ。とにかく三者三様という感じで甲乙付け難い、実に面白い聴き比べだった。しかしこんなことしとったらますます各国盤聴き比べの深みにハマっていきそうでちょっとヤバいかも...

【おまけ】
 TOTOをYouTubeで検索していて関連動画の中に面白いのを見つけた。TOTOの演奏をバックに幼い少女が信じられないような超絶ドラミングを披露しているのだ。素晴らしい音楽はこのようにして次の世代へと引き継がれていくのだなぁと改めて感じ入った。まだあどけなさの残るその表情からは想像できないようなワイルドでダイナミックな彼女のプレイは圧巻だ。
TOTO『Goodbye Elenore』叩いてみました。
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