shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ウルグアイ盤特集⑨「Love Songs」

2021-03-28 | The Beatles
 ウルグアイ盤を色々買い漁っているうちに “どうやら70年代半ば以降にプレスされた盤は音が良いらしい” ということがわかってきた。各メンバーのソロ・アルバムは言うまでもなく、以前ここで取り上げた「Rock ‘n’ Roll Music」や「At the Hollywood Bowl」といった盤の音の良さが私にそのことを確信させた。そこで私が目を付けたのが1978年にリリースされた編集盤の「Love Songs」である。
 そもそも私はこの「Love Songs」というアルバムを持ってすらいなかった。私にはどうも編集盤を軽く見る悪いクセがあって、オリジナル・アルバムはマトやスタンパーが違うというだけで何枚も買うくせに、編集盤となるとどんなに安かろうが状態が良かろうが購入対象にすらならない。しかしビートルズの名曲名演の数々を他では聴けないような真空管カッティングの濃厚なサウンドで楽しめるとなると話は別。私は70年代にプレスされたビートルズ関連の盤は全部買ってやろうと心に決め、早速「Love Songs」が俎上に上がったというわけだ。
 状態が良くて手頃な値段の盤を色々探した結果、Discogsに$35で出ていたVG+盤が良さそうに思えた。VG+ながら詳細説明欄に“Beautiful shape” とあったのと、セラーのグレーディングに対するフィードバックが絶賛の嵐だったからだ。実際、届いた盤はピッカピカで、ウルグアイ盤は傷が多いという私の偏見を木端微塵に打ち砕いた。よくよく考えてみればアメリカのセラーから買った盤にウルグアイの細かい砂による傷がついているわけがない。実際にかけてみたところ、私の予想を遥かに上回る凄い音がスピーカーから飛び出してきてビックリ。私は大喜びでこのレコードをB-SELSに持ち込んだ。

 私:今日は「Love Songs」持ってきましたで。実はこれ、ウルグアイじゃなくてアメリカのセラーから買ったんですが、ほぼミント状態やったんです。細かい砂の傷とか全然無いので安心して聴けますよ。
 Sさん:ホンマにキレイな盤ですね。
 私:ただ、中央のスピンドル・ホールが小さすぎて入らんかったんで、リーマーっていう加工用工具を買ってきて穴を広げたんですが、切れ味が良すぎて穴がちょっと大きくなりすぎたんです(笑)
 Sさん:ホンマですね(笑) まぁこれくらいでしたら大丈夫でしょう。(早速レコードをかける...)おぉ、このA①「Yesterday」はパーフェクトですね。
 私:ウソみたいに盤質良いでしょ?
 Sさん:これはもうミントと言っていいですね。A②「I’ll Follow The Sun」も素晴らしいですし、A③「I Need You」がこんなに良い音で聴けるなんて...
 私:奇跡のミント盤さまさまです。
 Sさん:ジャケットもキレイですし、盤も聴かれた形跡が無いですね。
 私:デッドストックみたいな感じかな...
 Sさん:ウルグアイ盤ということでだけにも聴かれずに40年以上眠ってたんですかね?
 私:で、ついに目覚めた...
 Sさん:レコードも喜んでるでしょう。
 私:しかも大絶賛されて。
 Sさん:レコード冥利に尽きるでしょうね。
 私:それもこれも元をただせばSさんが日記に書かれたからですよ。極東のレコ屋のHPにウルグアイ盤の記事が載ったおかげでこのレコードが日の目を見たと...
 Sさん:で、極東のレコード・コレクターがそれを買ったと...(笑)
 私:ハハハ...
 Sさん:この音圧の高さに加えて真空管効果ということでこの凄い音が聴けるんですね。
 私:「Love Songs」というアルバム自体があんまり人気ないですし、私自身UK盤すら持ってなくてこのウルグアイ盤が初めてなんですけど、この音やったら聴きたくなりますね。
 Sさん:私は一応持ってはいますけど、わざわざ聴こうとは思わないですから。このA⑦「Here There And Everywhere」なんかめっちゃ音圧高いですね(とニッコリ)。
 私:聴かせますよねー。編集盤という感じじゃなくてしっかりと聴かせてくれますよね。
 Sさん:凄いなぁ、ウルグアイ...
 私:デッドストックから生き返ったんですよ。
 Sさん:よぉ奈良に来たなぁ...
 私:しょぼいカッティングなら甘口に流れるところをコレは全然甘くない。キリっと辛口のバラッドとして屹立してます。
 Sさん:これ、「Love Songs」の音じゃないですよ(と大笑い)。
 私:「Love Songs」のラウドカットですね。
 Sさん:いやぁ、まさにそうですね。一体誰が「Love Songs」がこんなラウドな音で鳴ると思います? B③「If I Fell」も凄いですね。
 私:ホンマにバリバリのラウドカットやわ(笑)
 Sさん:こんな音で鳴るB⑥「Yes It Is」なんてちょっと他では考えられませんよ。
 私:70年代プレス、特にベージュに赤EMIレーベルのウルグアイ盤の音にハズレ無しですね。まさに羊の皮をかぶった狼ですよ。