日本のブートレッグ業界にエンプレス・バレイ(←以下EVと略す)というメーカーがある。ポールの来日公演ブートでは、EVはまず無指向性マイクを使ったオーディエンス録音盤を出して様子を窺い、他のメーカーの盤がほぼ出揃ってポール祭りが一段落した頃に “満を持して” と言う感じで、サウンドボードに迫る生々しさを誇る IEM(In-Ear Monitor、略してイヤモニ)マトリクス音源盤と単一指向性マイクを使ったオーディエンス録音盤をセットにして詰め込んだ高額なボックス・セットをリリースする、というのがここ数年のリリース・パターンになっている。
私は2013年と2015年武道館の EVボックスは買ったが、2017年のは買わなかった。EVの(というか、タッグを組む Xavelの、と言った方がいいかも...) IEM録音技術は群を抜いて凄いのでマトリクス盤単独で出してくれれば迷わず “買い” なのだが、先行発売オーディエンス録音盤とほとんど変わらない音質の単一指向性マイクによるオーディエンス録音盤とセットにした抱き合わせ販売、更に熨斗紙やら何やらといったどーでもいいボックスの装丁に凝って値段を吊り上げるという姑息な売り方を見て、いくら何でもコスパが悪すぎると考えたからだ。だから今回も EVに関しては先行発売のオーディエンス録音盤だけ買って、ボックスは見送るつもりだった。
しかし、その時の気分次第で本能の趣くままに生きるのが私という人間であり、言うことやることが二転三転するのは日常茶飯事...(笑) いつもブートを通販で買っている Kent から両国ボックス発売のお知らせメールが届いたのは確か12月の半ば頃だったが、ちょうど色んなメーカーから出ている両国ブートを聴いたりリトグラフを額に入れて飾ったりして気持ちが盛り上がっていたのと、ボーナス直後で気持ちが大きくなっていた(笑)こともあって、“他でもない両国の記念やし、1万円ちょっとやったらまぁエエか...” という軽いノリでこの両国ボックスを注文してしまった。
ボックスが届いて真っ先に聴いたのはもちろんマトリクス盤である。しかも今回は“ステージ上に設置されたモニタリング用スピーカーのステレオ・ライン音源、複数のステレオIEMソースなどを正真正銘プロ・ユースの機材を用いてステレオ・ミックス” とインフォに書いてあったので(←ライン音源て... ホンマかいな)一体どんな音に仕上がっているのか興味津々だった。
はやる気持ちを抑えながらプレイヤーにセットしてボタンを押すと、スピーカーから飛び出してきたのは私の予想を遥かに上回る生々しいサウンドで、生半可なオフィシャル・ライヴ盤なんか軽く超えてしまうんじゃないかと思えるぐらいのスーパーウルトラ高音質。一番の魅力は何と言っても生のライヴ会場や普通のオーディエンス録音盤では聞き取れないような細かい音まで驚くほどクリアーに聴けるところで、大袈裟ではなくこのマトリクス音源はブートレッグの概念を完全に覆してしまうほどの凄い音だと思った。
因みにこれより先に出たライトハウス(←以下LHと略す)のイヤモニ録音盤と聴き比べてみたところ、どちらも高音質で実にハイ・レベルなライヴ・サウンドなのだが、後出しのEVの方がマスタリングにじっくりと時間をかけただけあって、より腰の据わった押しの強いサウンドに仕上がっている。ドームとは違って非公開で行われた当日のサウンドチェック(←10/30の非公開リハーサルの時と同じく「アイ・ドント・ノウ」に時間を割いてた...)の録音に関しても同様だ。ただ、両者の差はそれほど大きなものではないので、コスパを考えればLH盤に軍配が上がるだろう。
Paul McCartney - I Don't Know [Rehearsal at Kokugikan, Tokyo - 05-11-2018]
オーディエンス録音盤の方はやはり先行発売盤と同じ位置で録音されたと思しき音源で、「カム・オン・トゥ・ミー」が終わった後に “東京ドームがどーたらこーたら...” という男の低いボソボソ声(←コイツほんまにウザい... お喋りがしたかったらどこか他所でやれ!)が入ってるところとか、全く同じ。マイクは違えども高音を強調してエコーを深めにかけた音作りも同じで、私にはあまり違いが分からなかった。まぁこれは十分想定の範囲内だったのでやっぱりなぁ...という感じ。
というワケで、まともな経済感覚の持ち主であればLH盤一択だと思うが、私のように “半分ビョーキ” レベルのビートルマニアにとってはこの両国ボックス・セットの IEMマトリクス音源は一聴の価値があると思う。抱き合わせのオーディエンス録音盤をオマケと考えても、「本番のマトリクス盤10,000円 + サウンドチェックのマトリクス盤2,800円 = 12,800円」と考えれば納得の逸品なのだ。
私は2013年と2015年武道館の EVボックスは買ったが、2017年のは買わなかった。EVの(というか、タッグを組む Xavelの、と言った方がいいかも...) IEM録音技術は群を抜いて凄いのでマトリクス盤単独で出してくれれば迷わず “買い” なのだが、先行発売オーディエンス録音盤とほとんど変わらない音質の単一指向性マイクによるオーディエンス録音盤とセットにした抱き合わせ販売、更に熨斗紙やら何やらといったどーでもいいボックスの装丁に凝って値段を吊り上げるという姑息な売り方を見て、いくら何でもコスパが悪すぎると考えたからだ。だから今回も EVに関しては先行発売のオーディエンス録音盤だけ買って、ボックスは見送るつもりだった。
しかし、その時の気分次第で本能の趣くままに生きるのが私という人間であり、言うことやることが二転三転するのは日常茶飯事...(笑) いつもブートを通販で買っている Kent から両国ボックス発売のお知らせメールが届いたのは確か12月の半ば頃だったが、ちょうど色んなメーカーから出ている両国ブートを聴いたりリトグラフを額に入れて飾ったりして気持ちが盛り上がっていたのと、ボーナス直後で気持ちが大きくなっていた(笑)こともあって、“他でもない両国の記念やし、1万円ちょっとやったらまぁエエか...” という軽いノリでこの両国ボックスを注文してしまった。
ボックスが届いて真っ先に聴いたのはもちろんマトリクス盤である。しかも今回は“ステージ上に設置されたモニタリング用スピーカーのステレオ・ライン音源、複数のステレオIEMソースなどを正真正銘プロ・ユースの機材を用いてステレオ・ミックス” とインフォに書いてあったので(←ライン音源て... ホンマかいな)一体どんな音に仕上がっているのか興味津々だった。
はやる気持ちを抑えながらプレイヤーにセットしてボタンを押すと、スピーカーから飛び出してきたのは私の予想を遥かに上回る生々しいサウンドで、生半可なオフィシャル・ライヴ盤なんか軽く超えてしまうんじゃないかと思えるぐらいのスーパーウルトラ高音質。一番の魅力は何と言っても生のライヴ会場や普通のオーディエンス録音盤では聞き取れないような細かい音まで驚くほどクリアーに聴けるところで、大袈裟ではなくこのマトリクス音源はブートレッグの概念を完全に覆してしまうほどの凄い音だと思った。
因みにこれより先に出たライトハウス(←以下LHと略す)のイヤモニ録音盤と聴き比べてみたところ、どちらも高音質で実にハイ・レベルなライヴ・サウンドなのだが、後出しのEVの方がマスタリングにじっくりと時間をかけただけあって、より腰の据わった押しの強いサウンドに仕上がっている。ドームとは違って非公開で行われた当日のサウンドチェック(←10/30の非公開リハーサルの時と同じく「アイ・ドント・ノウ」に時間を割いてた...)の録音に関しても同様だ。ただ、両者の差はそれほど大きなものではないので、コスパを考えればLH盤に軍配が上がるだろう。
Paul McCartney - I Don't Know [Rehearsal at Kokugikan, Tokyo - 05-11-2018]
オーディエンス録音盤の方はやはり先行発売盤と同じ位置で録音されたと思しき音源で、「カム・オン・トゥ・ミー」が終わった後に “東京ドームがどーたらこーたら...” という男の低いボソボソ声(←コイツほんまにウザい... お喋りがしたかったらどこか他所でやれ!)が入ってるところとか、全く同じ。マイクは違えども高音を強調してエコーを深めにかけた音作りも同じで、私にはあまり違いが分からなかった。まぁこれは十分想定の範囲内だったのでやっぱりなぁ...という感じ。
というワケで、まともな経済感覚の持ち主であればLH盤一択だと思うが、私のように “半分ビョーキ” レベルのビートルマニアにとってはこの両国ボックス・セットの IEMマトリクス音源は一聴の価値があると思う。抱き合わせのオーディエンス録音盤をオマケと考えても、「本番のマトリクス盤10,000円 + サウンドチェックのマトリクス盤2,800円 = 12,800円」と考えれば納得の逸品なのだ。