shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Rooftop Concert Definitive Edition / The Beatles

2019-02-03 | The Beatles
 ルーフトップ・コンサートが我々ビートルズ・ファンにとって特別なのは、もちろん彼らのラスト・ライヴ(それも2年半ぶり!)というメモリアル的な側面や、ビルの屋上でライヴ演奏を行い最後は警官が登場して映画のクライマックスを迎えるというアイデアの斬新さもあるかもしれないが、何と言ってもトゥイッケナム・スタジオであれほど険悪な雰囲気だったビートルズの4人が諸々のいさかい事を一旦脇に置き、“良い音楽を作る” という一点に集中して世界一のロックンロールバンドとしての底力を存分に見せてくれたというのが一番の理由ではないかと思う。特にあれほどこの企画に否定的だったジョージが実に楽しそうに(←もうノリノリですやん!)ギターを弾いているのを見ると、こちらまで何だか嬉しくなってくる(^.^)
 そんな大人気のルーフトップ・コンサートだけにブートレッグも色んなレーベルからリリースされており、かく言う私もイエロードッグに始まってミスタークローデルにムーンチャイルドとCDだけでも3種類持っていたし、何と言ってもHMCから出た「レット・イット・ビー」の決定版と言うべきサントラ盤があるので、先週ライトハウスのHPの告知で “最大限ステレオで収録されたルーフトップ・コンサートの新作が出る” と知った時も “またかいな...” という感じで正直あまりピンとこなかった。
 私の注意を引いたのはむしろそれに付属するDVD-Rの方だった。映画のシーンから通行人のインタビュー場面及びその音声を編集によって完全にカットし、違和感なく演奏に集中して見れるとのことだったのでコレは面白そうだと思い、結局ボーナス・ディスク目当てでこの「The Rooftop Concert Definitive Edition」を購入。こういう “グリコのオマケ” 的商法がライトハウスの強みの一つだと思うが、ファンとしてはボーナスであろうが何であろうが楽しめればそれで良いのである。尚、このブートは発売1週間で300枚を完売したようで(←このメーカーの品薄煽り商法はいつものことだが、それにしても今回は驚異的なハイペース...)さっきヤフオクを覗いたら4倍のプレミアが付いて1万円にまでハネ上がっていたのにビックリ。どうせそのうち “海外から奇跡の50セット緊急入荷” すると思うのだが...(笑)
 届いたブツでまず手に取ったのは当然オマケDVD-Rの方で、早速視聴開始。映像は非常にキレイで HMC盤DVDと比べても何ら遜色のないレベル。これがオマケ扱いでエエんかいな。そして問題の通行人インタビューのシーンだが、①「ビートルズは曲も良いし歌も上手い、愛すべきグループだ」と褒めちぎる老紳士、②「何のつもりなの!」とヒステリックに叫ぶオバハン、③「仕事疲れも忘れるわ」と喜ぶ美人OLさん、④「場所が場所ならいい音楽だが、ここには合わない」とあくまでも冷静沈着なビジネスマン、⑤「フェンタァースティック!」と大絶賛のケバいおねーさんたち、⑥「タダで聴けてラッキー」と喜ぶノーテンキなおっちゃん、⑦「あれ新曲?いいね」と気さくに答えるタクシーの運ちゃん... という個性溢れる7人衆(?)のインタビュー・シーンをすべて、音声はインタビューの入っていない同音源をアフレコさせ、映像は野次馬がビル屋上を見上げるシーンに差し替えるかバッサリとカットするかして、実にうまいこと編集で消してあるのだ。
 だからこれまではポールの歌声に酔いしれていると突然オバハンの例の叫び声で “そうそう、コレは映画なんや...” と現実に引き戻されていた「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」が、この神編集のおかげでビートルズの歌と演奏に集中できるので、観ている方としてはストレスなく楽しめるというワケだ。こんなボーナス・ディスクがタダで付いてくるのだから、⑥のおっちゃんではないがホンマに得した気分だ。
  

 あまり期待していなかった(←失礼!)CDの方もフタを開けてみれば私の予想を上回る出来で、トータル45分というのもちょうどいい長さだし、何よりも音質が素晴らしくて実に聴きやすい。確かにカメラA、B1、C、Dと(←ビタミンかよ...)全音源を収録するのも意義があることかもしれないが、少なくとも普通にルーフトップ・コンサートを良い音で楽しむのなら現時点ではこのLH盤がベストだと思う。
 尚、一連のゲットバック・セッションを題材にしたビートルズの新作映画が製作されるというニュースがルーフトップ・コンサート50周年記念日の1月30日に発表された。クイーンの大ヒット映画「ボヘミアン・ラプソディ」がラストのライヴ・エイドのシーンにクライマックスを設定して作られていたように、ビートルズの新作映画もラストのルーフトップ・セッションで大団円を迎えるという作りになるであろうことは容易に想像がつくが、ポールとジョージの口論とかヨーコの存在といったダーク・サイドの部分をどのように描くのかが大いに気になるところ。ただ、クイーンの二匹目のドジョウを狙って美談で塗り固めた安易なエンターテインメント作品にするのだけはやめてほしいと思う。
NEW Beatles "Let It Be" movie is NOT the project we expected!


【おまけ】1984年の4月14日深夜にテレビ放送された「レット・イット・ビー」で①の老紳士の字幕が “解散はつらいだろうが、あの4人には個性がある。” となっていたのだが、誤訳にも程がある...(>_<)  1969年1月30日時点でビートルズの解散を知っているとは、この爺さんは未来から来たタイムトラベラーか?
         

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