shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズUKシングル盤特集②「Please Please Me」

2014-12-05 | The Beatles
 前回の「ラヴ・ミー・ドゥ」に引き続き、今日はもう1枚の赤パロ盤「プリーズ・プリーズ・ミー」だ。「ラヴ・ミー・ドゥ」も入手するのにかなり苦労したが、この「プリーズ・プリーズ・ミー」はそれをも上回る超人気盤で、プライス・ガイドでも全ビートルズUKシングル中で最高価格の£90。状態の良いものになれば£250~£300という恐ろしい値段で落札されていくのだが、これを日本円に換算すると5~6万円... まさに狂気の世界である。不条理な円安ドル高が進む中、リッチな海外のコレクター連中とまともに正面からぶつかって勝てるはずがない。
 そこで貧乏コレクターの私は一計を案じた。パーロフォンの赤レーベルが使用されていたのは1963年の2月までで3月からはノーマルな黒レーベルに切り替わるのだが、マニアやコレクターの人気は赤パロに一極集中しており、初回盤から2ヶ月後にプレスされた黒パロのアーリー・プレス盤はほとんど無風状態だ。マトリクス枝番も同じだし、音もそれほど変わらないに違いない。ということで私は一旦赤パロ戦線から撤退し、2nd プレスの黒パロ盤に狙いを変更、ライバル2人(←2nd プレスはやっぱり人気ないなぁ...)を蹴散らし、プライス・ガイドで£18のところを£5.16でゲットした。
 届いたブツは“Record in excellent condition... a nice copy!” という説明通りのピカピカ盤で、予想通りの轟音がスピーカーから飛び出してくる。私が買ったUKシングル盤の中で断トツのコスト・パフォーマンスだ(^o^)丿 盤質イマイチな赤パロ盤に何千円何万円とつぎ込むぐらいなら盤質の良い黒パロ盤を安く買う方が絶対に正解だろう。すっかり有頂天になった私は何度も何度もこの黒パロ盤を聴きまくった。といっても両面で4分ほどしかないのですぐに終わってしまうのだけれど...
 で、普通の人ならこれでメデタシメデタシとなるところなのだが、ビートルズのことになると理性が吹っ飛んでしまうおバカさんコレクターの私は違った。2ndプレスの黒パロでこんな凄い音してるんやから、1stプレスの赤パロはもっともっと凄い驚天動地の爆音が聴けるのではないか(←アホやね...)と考え、赤パロ・ウォッチを再開したのだ。
 その3日後、1枚の赤パロ「プリーズ・プリーズ・ミー」が出品された。盤質は Excellent で Has some light surface marks. とあり、ありがたいことに Listen to sound clip preview here! という所をクリックするとフル・コーラス試聴まで出来るという至れり尽くせりのサービスぶり。ヘッドフォンで聴いてみると実にごっつい音がするし、やはり何千円も出すのだからミズテン買いよりもこっちの方が遥かに安心だ。
 しかしいつもならピラニアやハイエナのように群がってくるライバル達の動きが鈍い。こんなエエ音してるのに何で??? と不思議に思ってアイテムの写真をよくよく見ると、赤パロのレーベル両面に “COLIN” という前オーナーと思しき人物の名前がデカデカと書かれている。はは~ん、こいつのせいか... ラッキー(^.^)  これはひょっとするとひょっとするかも...
 そもそも由緒正しいコレクターというのは盤質だけでなくスリーヴやレーベル面の状態にも拘るコンディション至上主義者なのであり、書き込みのあるアイテムは決して購入には至らない。一切のキズ、書き込み許すまじというのが教義なのであり、座右の銘なのであり、信条であるからして、妥協は許されないのだ。しかし三流コレクターの私にとってこの程度の書き込みは全然OK... というか、この書き込みのせいで安く買えるなら御の字だ(^.^)  さすがにこれがハングル語とか漢字やったらいらんけど、どうせイギリス人の名前なんか英語のアルファベットの組み合わせなのだから別に気にならない。それに、いちいち回転しているレーベル面を見ながら聴く人もいないだろう。
 そしていよいよオークション締切当日、例によってイギリス時間に合わせて朝の4時起きだったが、よほど気持ちが高ぶっていたのだろう、何と夢の中にまで赤パロが出てきたのだ(←これホントの話!)。起きてパソコンを開いてみると寝る前、そして夢の中(笑)と同じ£32のままである。これはひょっとするとひょっとするかも... とドキドキしながらその時を待った。そしてビッド〆切の4秒前に渾身の£51入札... 結果は見事落札で、緑色の字で£42.10と表示された時は思わず “よっしゃあ!!!!!” とガッツポーズをしてしまった。その日は平日だったのでほとんど眠らずに出勤したのだが、睡眠不足にもかかわらず朝から異常なくらいのハイテンションで、同僚から変な目で見られてしまった(笑)
 6日後に届いた(←早っ!)ブツは私の予想通りの凄まじい音圧で、これまで最強と信じて生きてきた金パロ・ヴァージョンすら軽く凌駕する爆裂音がアルテックの巨大スピーカーから飛び出してくる。初期ビートルズ最大の武器であるプリミティヴなエネルギーの奔流に呑み込まれる快感を何と表現しよう? ジョンのハーモニカは鼓膜を突き破らんばかりに轟きわたるし、ポールのベースもボディーブローのようにズンズン腹にくる。 “カモーン♪ カモーン♪” の波状攻撃なんかもう鳥肌モノの凄まじさだ。名曲「プリーズ・プリーズ・ミー」が最初に世に出た時の音ってこんなに凄かったのか... (≧▽≦)  この鮮度の高さ、このド迫力サウンドこそがLP盤では決して味わえない45回転シングル初回盤の最大の魅力なのだ。
 B面の「アスク・ミー・ホワイ」も金パロ・ヴァージョンに比べてエコー感が少なく、ジョンのヴォーカルがより肉感的でリアルに響くところがたまらんたまらん! これは頑張って買って大正解... 7,500円でこんな血湧き肉躍る音が毎日聴けるのなら安いもんである。論より証拠、下にアップしてみたので興味のある方はヘッドフォンで聴いてみてください。
Please Please Me


【レコード・データ】
 ② Please Please Me / Ask Me Why (45-R 4983, Mono, 1963.1.11発売)
  ・1st プレス:赤パーロフォンでレーベル面左に“DICK JAMES MUSIC CO. LTD.”
         マトリクス枝番は -1N / -1N
  ・Price Guide:£90.00
  ・購入価格:£42.10
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