shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズUKシングル盤特集①「Love Me Do」

2014-11-30 | The Beatles
 私のようなビートルズUKアナログ盤至上主義者にとって、パーロフォンというのはその名を聞いただけでまるでパブロフの犬みたいに条件反射でテンションが上がってしまう憧れのレーベルである。私は70年代半ばからビートルズを聴き始めた後追い世代だったため彼らのレコードはすべてアップル・レーベルの薄っぺらいリイシュー盤で聴いてきたのだが、10年ほど前に彼らのUKオリジナルLPのコンプリート・コレクションを目指した時、ゴールド・パーロフォン盤(←通称「金パロ」)やイエロー・パーロフォン盤(←通称「黄パロ」)の存在を知り、リイシュー盤はもちろんのこと、最新のリマスターCDをもってしても決して再現できないそのラウドなロックンロール・サウンドにすっかり魅せられてしまい、私の中で “パーロフォン・レーベル” はますます神格化されていったのだった。
 歴史は繰り返すというべきか、今回彼らのUKシングル盤を全部いったれと決心して海外の専門サイトや井上ジェイ氏の「ビートルズUK盤コンプリート・ガイド」で色々調べてみたところ、LPコレクションにおける金パロのようにシングル盤にもマニア垂涎の入手困難盤が存在することが判明、それがこのレッド・パーロフォン盤、つまり赤パロである。eBayではビートルズのUKシングルはいくつかの例外を除けば初回盤でもそのほとんどが£10以下で買えるのだが、「ラヴ・ミー・ドゥ」と「プリーズ・プリーズ・ミー」の初回盤である赤パロだけはほぼ毎回£100オーバーという異次元の高値で激しい争奪戦が展開されており(ヤフオクでは2~4万円!!!)、私のような貧乏コレクターにはいくら何でもシングル盤1枚に何万円も出すなんて絶対に無理と半ば戦意喪失しかけていた。
 しかし私はお金は無いが執念だけは誰にも負けない。来る日も来る日も辛抱強く赤パロ・ウォッチを続けた結果、11回目にしてついにチャンスが巡ってきた。アナログ・レコードの標準的コンディション表記は M > NM > EX > VG > G > P なのだが、私が目を付けたのは盤質VG++の「ラヴ・ミー・ドゥ」で、 A very nice clean copy with just the small wispy hairline. The record plays with a very nice sound. となっている。由緒正しいコレクターというのはコンディションに徹底的に拘るので EXコンディション以上のブツにはビッドが集中するが、 VG表示の盤は+がいくつ付こうとライバルが減る傾向にあるのだ。しかもこの時はたまたま同時期にEXやNMの赤パロ盤が出品されていたこともあってビッドが分散するかもと考えた私は千載一遇のチャンスとばかりに£45で勝負することに決めた。
 UKセラーのビッド締め切り時間は時差の関係でたいてい早朝の3時~5時ぐらいに設定されており、自動延長の無いeBayで締め切り直前に入札、つまりスナイプするためには睡眠を削って超早起きしなければならないのだが、幸いなことにこの時は3連休最終日だったため生活リズムを気にする必要も無い。当日私は早朝の4時半に起き、締め切り3秒前に渾身の入札... 結果は見事£36で落札! 予想よりも約£10も安く落札できたので、まだ真夜中だというのに思わず “やったー\(^o^)/” と大声で叫んでしまった。とにかく憧れの赤パロを相場の半値以下で手に入れることが出来たのだからこれはもう笑いが止まらない。
 それから10日後、待ちに待った赤パロが届いた。ビートルズ・ファンなら誰でも知っていることだが、このシングル初回盤はリンゴがドラムスを担当しているレア・ヴァージョンで(←アルバム「パスト・マスターズ」に収録)、アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」やマトリクス枝番が -2Nのレイター・プレス・シングルに使われているヴァージョン(←セッション・ドラマーのアンディ・ホワイトがドラムを叩き、リンゴがタンバリンに回されたヤツ)とは微妙に違う。何度も聴き比べてみたが、私はやはりリンゴがドラムを叩いているこっちのヴァージョンの方が好きだ。
 しかしこのシングル盤を聴いてまず感じたのは演奏云々の違いよりもサウンドそのものの違いだった。中でも印象的だったのがポールのベース音で、キリリと引き締まった野太い音で録られているのにビックリ(゜o゜)  というか、「ラヴ・ミー・ドゥ」を聴いてこれほどベースの音に意識が行ったのはこの赤パロ盤が初めてだ。今まで聴いてきたユルフン・ベースの「ラヴ・ミー・ドゥ」は一体何やってん?という感じで、同曲の金パロや黄パロ・ヴァージョンと比べてみてもベースの弦の太さが3倍くらいあるかのように錯覚してしまうほど重低音の響きが違うし、全体のサウンドも明らかに中低域重視の音作りになっているのがわかる。 “音の切れ込みが鋭い金パロ” vs “雄大な低域に支えられた赤パロ” という対比が実に面白い。それはB面の「P.S.アイ・ラヴ・ユー」も同様で、ジョン、ポール、ジョージのユニゾンが重心の低いドッシリしたサウンドで楽しめる。やっぱりビートルズはUKアナログに限りますわ(^o^)丿
Love Me Do


【レコード・データ】
 ① Love Me Do / P.S. I Love You (45-R 4949, Mono, 1962.10.5発売)
  ・1st プレス:赤パーロフォンでレーベル面左に“ARDMORE & BEECHWOOD LTD.”
         マトリクス枝番は -1N / -1N
  ・Price Guide:£75.00
  ・購入価格:£36.00
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