shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ベンチャーズ・カヴァー特集⑩「ダイアモンド・ヘッド」

2014-11-08 | エレキ・インスト
①小山貢・豊 with Dr.Project
 ベンチャーズのトリビュート盤は何枚も持っているが、その中で一番ターンテーブルに乗る回数が多いのがこの「津軽より愛をこめて ~津軽三味線 play ザ・ベンチャーズ~」だ。これはベンチャーズ・クラシックスの数々を津軽三味線でカヴァーしてしまおうというという大胆不敵な発想から生まれたアルバムで、以前紹介したドクターKこと徳武弘文率いる Dr.K Project をバックに津軽三味線の小山流家元である小山貢と小山豊の親子が持てるテクニックの限りを尽くしてガンガン弾きまくるという痛快無比な1枚だ。前代未聞のリード三味線とバンドとの息もピッタリ合っていて、異色コラボによる単なる “面白カヴァー” という次元を遥かに超越したカッコイイ「ダイアモンド・ヘッド」になっている。ドンやノーキーにもぜひ聴かせたい逸品だ。
ダイアモンドヘッド


②U-900
 津軽三味線の次はウクレレだ。この曲が入った「ウクレレ・ベンチャーズ」はU900(ゆー・きゅうひゃく)という謎のユニットがベンチャーズの名曲をウクレレ+脱力ヴォーカルでユル~くカヴァーした珍盤で、YouTubeにもウサギのU(ウー)とクマの900(クレレ)という2体の編みぐるみを使ったプロモ・ビデオがアップされている。 “ワン、トゥ、スリー、フォー!”というユル~いカウントから始まるこの曲ではウクレレのリラクゼーション溢れるサウンドが結構エエ味を出している。ウクレレとベンチャーズって意外に合うんやね。 “口(くち)テケテケ” には笑わせてもらったが、 “ウッ!” “ハッ!” という掛け声も含めてゆるキャラのヴォーカル・パート(?)は何度も聴いていると色物臭がだんだん鼻についてくるので、出来ることならウクレレ・オンリーのインスト・ヴァージョンで聴いてみたいものだ。
U900 -Diamond Head


③植木等
 これはたまたまYouTubeで見つけた。あの「植木等」+「サーフィン」ということで聴く前から大方の予想はついてはいたが、実際に聴いてみてそのあまりの脱力ぶりに思わずイスから転げ落ちそうになった(・o・)  サーフ・インスト・クラシックスの数々に歌詞を付けてメドレー化し、植木等に歌わせるなんて企画、一体誰の発想やろ?と半ば呆れながらネットで情報収集すると、何とあの大瀧詠一師匠のプロデュースだった。いやはやまったく、師匠の目の付け所は凄いですわ。まぁ邪道と言ってしまえばそれまでだが、 “アホくさ~” と思いながらも何度もリピートしてしまう中毒性こそがこの植木&大瀧コラボの魅力なんじゃないかという気がする。 “わかっちゃいるけど、やめられな~い!” とはまさにこのことだ。
植木等「サーフィン伝説」


④Jon & The Nightriders
 脱力系が続いたのでここらで一発正統派のベンちゃん・カヴァーをひとつ。ジョン&ザ・ナイトライダーズは1980年にデビューして以来息の長い活動を続けているアメリカのサーフ・インスト・バンドで、彼らが1999年リリースのアルバム「ムーヴィング・ターゲット」に入っていたのがこのベンチャーズ・カヴァーだ。ディック・デイルやデュアン・エディ直系でパンクの影響をも随所に感じさせるイケイケのサウンドがこのバンドの一番の魅力であり、この曲でも活きのいいプレイで楽しませてくれるのだが、ベンチャーズのオリジナル・ヴァージョンのインパクトが強すぎるせいか、テケテケもスクラッチも無い「ダイアモンド・ヘッド」というのはどうしても違和感を感じてしまう。やっぱりテケテケあっての「ダイアモンド・ヘッド」なのだ。
Jon & The Nightriders - Diamondhead


⑤Ventures
 ベンチャーズ・ナンバーは名曲名演が目白押しなので一番好きな曲を選べと言われたら困ってしまうが(←私の場合は「10番街」か「木の葉」かな...)、ベンチャーズの曲で一番有名な、いわゆるひとつの代表曲を選べと言われたら(特に日本では)この「ダイアモンド・ヘッド」でキマリだろう。これまで見てきたように彼らのレパートリーの大半は他アーティストのカヴァーなのだが、この曲はダニー・ハミルトンが彼らのために書き下ろしたオリジナル・ヒット曲。元々は「マーフリーズボロ」(←テネシー州の地名だそうな...)というタイトルで全然サーフィンぽい曲じゃなかったものにベンチャーズがテケテケ・アレンジを施し、曲名も「ダイアモンド・ヘッド」へと改題してこのようなサーフ・ロックの名曲に仕上げたという。ラッキーなことにYouTubeに原曲がアップされていたので一緒に下に貼り付けてみたが、聴き比べてみると全然雰囲気が違うのが興味深い。もし元の形のままで世に出ていたらあれほどの大ヒットにはならなかっただろう。まさに “曲の錬金術師集団” の本領発揮である。尚、「マーフリーズボロ」の方は1年後に再々アレンジされて「ワイルド・ウーリィ」という曲名でアルバム「ワイルド・シング!」(1966年)に収録されているので聴き比べてみるのも一興だろう。
ベンチャーズ - ダイヤモンド・ヘッド The Ventures - Diamond Head

The VeNtuReS ~MURFREESBORO~ (RARE UNRELEASED TAKE!!) Aka: ~WILD & WOOLY~
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