ポールのシングル盤はB面にも要注目だ。特に70年代にはオリジナル・アルバムにもベスト・アルバムにも未収録の隠れ名曲が少なくない。今日はそんな中から私的に愛聴しているロック・チューンを2曲取り上げよう。
①Girls' School
この「ガールズ・スクール」はアルバム「ロンドン・タウン」のセッションでジミーとジョーが脱退する直前にレコーディングされたもので、アルバムには収録されず先行シングル「夢の旅人」のB面として発売されたのだが、イケイケのロックが三度の飯よりも好きな私はA面よりもこの「ガールズ・スクール」の方が好きだった。一方アメリカではイギリス色が強すぎる「夢の旅人」に代わってこの曲がA面扱いになり大いに期待したものだったが、結局全米チャートでは33位までしか上がらず、当時まだ高校生だった私は “何でこんなカッコエエ曲がヒットせんと、アホみたいな金太郎飴ディスコばっかり売れとるねん? アメリカン・チャートは終わっとるな...” と呆れたものだ。
それにしてもこの曲名、日本人としては「ガールズ・スクール」と英語で言われても違和感はないが、要するに「女子校」である。こんなテーマで内容のある歌詞を期待する方がそもそも無理というもの。ということで小気味よいロックンロールに乗せてポールお得意の “特に意味はないけど音の響きがいい言葉” の速射砲が楽しめるワケだが、 私は“Yuki's a cool school mistress♪.”のラインの響きが大好きで、いつも “イケてる女教師のユキってどんな感じの女性やろ?” などと考えながら(←歌詞に日本人の名前が出てきただけで嬉しくなってしまうのは私だけ???)聴いている。
演奏面はもう文句の付けようがないカッコ良いプレイの連続で、ウイングス全盛期の5人のラインナップがいかに凄かったかを痛感させられる。まさに黄金時代最後の輝きを音溝に刻み込んだかのような非の打ち所のないロック・チューンだ。ジミーならではのエッジの効いたハード・ドライヴィングなギター・プレイがとにかく気持ちエエし(←“The head nurse is Sister Scarla♪” の直後に間髪を入れず切り込んでくる尖ったフレーズが最高!)、シュアーでパワフルなビートを刻みながらガンガンプッシュするジョーのドラミングも実にスリリング(^o^)丿 ここぞ!という所で炸裂するリンダのピアノ連打も効果抜群だ。そんなノリノリの演奏にすっかり気をよくしたのか、ポールの方も随所に “アゥ!” とシャウトを交えながらロック・スピリット溢れるヴォーカルを聴かせてくれる。ライヴで演ったら絶対に盛り上がりそうなキラー・チューンだ。
尚、オリジナル・アルバムに入っていないこの曲は「ロンドン・タウン」がCD化された際に、演奏部分を大胆にカットした(何と4:35→3:15!)エディット・ヴァージョンがボートラとして収録されたが、私としては全然物足りない(>_<) 脂の乗り切ったウイングスの “インストルメンタルな魅力” 全開のこの曲はやはりオリジナルのシングル・ヴァージョンで聴きたいものだ。
Paul McCartney Girl school lyrics (studio version)
②The Mess
ウイングス史上 “ロックなポール” を楽しむなら何と言っても全米を制覇した75~76年頃の黄金のラインアップに限るが、世評があまり高くない第1期ウイングス(72年頃)も渋~いロック名演をいくつか残している。これはちょうどポールがウイングスを軌道に乗せようと精力的にヨーロッパ・ツアーを行っていた時期で、ライヴを盛り上げるためのアッパーなロック・チューンを大量生産する必要に迫られたポールが書き上げたのが「ハイ・ハイ・ハイ」であり、「ソイリー」であり、全米№1シングルに輝いた名バラッド「マイ・ラヴ」のB面に収められたこの「ザ・メス」なのだ。
この曲にはスタジオ録音ヴァージョンは公式には発表されず、シングルに入っているのもライヴ音源という当時としては非常に珍しいリリース形態だったのだが、後に「USAライヴ」で陽の目を見た「ソイリー」同様にこの曲の魅力を100%伝えられるのはライヴ・ヴァージョンしかないとのポールの判断はまさに慧眼と言えるだろう。確かにラフで粗削りな演奏だが、そのことが逆に功を奏してスタジオでは再現不可能な生々しいグルーヴを生み出すことに成功しているし、オーディエンスのハンド・クラッピングもノリの良さに拍車をかけている。とにかく “熱い” のだ。こんな名演がシングルのB面だけで埋もれてしまうのは本当にもったいない。初期ウイングスの作品中で最も過小評価されている1曲だと思う。
下に貼り付けたのはTVショー「ジェームズ・ポール・マッカートニー」からのライヴ映像だが、立ち上がって曲に合わせて踊りまくるオーディエンスの姿がこの曲の魅力を雄弁に物語っている。やっぱりポールはロックを歌ってる姿が一番カッコエエわ(≧▽≦) そういえばこの曲を “力感あふれるストンプ(聴衆が興奮のあまり足を踏み鳴らすような曲)” と表現した評論を読んだことがあるが、実に的を得た言い方だと思う。
Paul McCartney & Wings - The Mess [Live] [High Quality]
尚、公式にはリリースされなかったこの曲のスタジオ・ヴァージョンは実はちゃーんと存在していて「レッド・ローズ・スピードウェイ・セッションズ」というブートで聴けるのだが、ライヴ・ヴァージョンよりもかなりテンポを落として演奏されており、よりヘヴィーというか、演奏の重心が下がった印象だ。ブルースを得意とするギターのヘンリー・マッカロックの持ち味が存分に活かされたテイクと言えるだろう。又、ライヴでは使われていなかったピアノも多用されており、公式ヴァージョンとは全体的な雰囲気がかなり違っている。興味のある方はぜひ聴き比べてみて下さいな。
Paul McCartney and Wings - The Mess [Studio version] (1972)
①Girls' School
この「ガールズ・スクール」はアルバム「ロンドン・タウン」のセッションでジミーとジョーが脱退する直前にレコーディングされたもので、アルバムには収録されず先行シングル「夢の旅人」のB面として発売されたのだが、イケイケのロックが三度の飯よりも好きな私はA面よりもこの「ガールズ・スクール」の方が好きだった。一方アメリカではイギリス色が強すぎる「夢の旅人」に代わってこの曲がA面扱いになり大いに期待したものだったが、結局全米チャートでは33位までしか上がらず、当時まだ高校生だった私は “何でこんなカッコエエ曲がヒットせんと、アホみたいな金太郎飴ディスコばっかり売れとるねん? アメリカン・チャートは終わっとるな...” と呆れたものだ。
それにしてもこの曲名、日本人としては「ガールズ・スクール」と英語で言われても違和感はないが、要するに「女子校」である。こんなテーマで内容のある歌詞を期待する方がそもそも無理というもの。ということで小気味よいロックンロールに乗せてポールお得意の “特に意味はないけど音の響きがいい言葉” の速射砲が楽しめるワケだが、 私は“Yuki's a cool school mistress♪.”のラインの響きが大好きで、いつも “イケてる女教師のユキってどんな感じの女性やろ?” などと考えながら(←歌詞に日本人の名前が出てきただけで嬉しくなってしまうのは私だけ???)聴いている。
演奏面はもう文句の付けようがないカッコ良いプレイの連続で、ウイングス全盛期の5人のラインナップがいかに凄かったかを痛感させられる。まさに黄金時代最後の輝きを音溝に刻み込んだかのような非の打ち所のないロック・チューンだ。ジミーならではのエッジの効いたハード・ドライヴィングなギター・プレイがとにかく気持ちエエし(←“The head nurse is Sister Scarla♪” の直後に間髪を入れず切り込んでくる尖ったフレーズが最高!)、シュアーでパワフルなビートを刻みながらガンガンプッシュするジョーのドラミングも実にスリリング(^o^)丿 ここぞ!という所で炸裂するリンダのピアノ連打も効果抜群だ。そんなノリノリの演奏にすっかり気をよくしたのか、ポールの方も随所に “アゥ!” とシャウトを交えながらロック・スピリット溢れるヴォーカルを聴かせてくれる。ライヴで演ったら絶対に盛り上がりそうなキラー・チューンだ。
尚、オリジナル・アルバムに入っていないこの曲は「ロンドン・タウン」がCD化された際に、演奏部分を大胆にカットした(何と4:35→3:15!)エディット・ヴァージョンがボートラとして収録されたが、私としては全然物足りない(>_<) 脂の乗り切ったウイングスの “インストルメンタルな魅力” 全開のこの曲はやはりオリジナルのシングル・ヴァージョンで聴きたいものだ。
Paul McCartney Girl school lyrics (studio version)
②The Mess
ウイングス史上 “ロックなポール” を楽しむなら何と言っても全米を制覇した75~76年頃の黄金のラインアップに限るが、世評があまり高くない第1期ウイングス(72年頃)も渋~いロック名演をいくつか残している。これはちょうどポールがウイングスを軌道に乗せようと精力的にヨーロッパ・ツアーを行っていた時期で、ライヴを盛り上げるためのアッパーなロック・チューンを大量生産する必要に迫られたポールが書き上げたのが「ハイ・ハイ・ハイ」であり、「ソイリー」であり、全米№1シングルに輝いた名バラッド「マイ・ラヴ」のB面に収められたこの「ザ・メス」なのだ。
この曲にはスタジオ録音ヴァージョンは公式には発表されず、シングルに入っているのもライヴ音源という当時としては非常に珍しいリリース形態だったのだが、後に「USAライヴ」で陽の目を見た「ソイリー」同様にこの曲の魅力を100%伝えられるのはライヴ・ヴァージョンしかないとのポールの判断はまさに慧眼と言えるだろう。確かにラフで粗削りな演奏だが、そのことが逆に功を奏してスタジオでは再現不可能な生々しいグルーヴを生み出すことに成功しているし、オーディエンスのハンド・クラッピングもノリの良さに拍車をかけている。とにかく “熱い” のだ。こんな名演がシングルのB面だけで埋もれてしまうのは本当にもったいない。初期ウイングスの作品中で最も過小評価されている1曲だと思う。
下に貼り付けたのはTVショー「ジェームズ・ポール・マッカートニー」からのライヴ映像だが、立ち上がって曲に合わせて踊りまくるオーディエンスの姿がこの曲の魅力を雄弁に物語っている。やっぱりポールはロックを歌ってる姿が一番カッコエエわ(≧▽≦) そういえばこの曲を “力感あふれるストンプ(聴衆が興奮のあまり足を踏み鳴らすような曲)” と表現した評論を読んだことがあるが、実に的を得た言い方だと思う。
Paul McCartney & Wings - The Mess [Live] [High Quality]
尚、公式にはリリースされなかったこの曲のスタジオ・ヴァージョンは実はちゃーんと存在していて「レッド・ローズ・スピードウェイ・セッションズ」というブートで聴けるのだが、ライヴ・ヴァージョンよりもかなりテンポを落として演奏されており、よりヘヴィーというか、演奏の重心が下がった印象だ。ブルースを得意とするギターのヘンリー・マッカロックの持ち味が存分に活かされたテイクと言えるだろう。又、ライヴでは使われていなかったピアノも多用されており、公式ヴァージョンとは全体的な雰囲気がかなり違っている。興味のある方はぜひ聴き比べてみて下さいな。
Paul McCartney and Wings - The Mess [Studio version] (1972)
特に私のお気に入りはThe Messです、初期Wingsではか
かせない曲です、76年のアメリカツアーでは演奏してないのであまり知られていないのかもしれないですね。
初期Wingsは「ソイリー」「ザ・メス」のほかお馴染みの「のっぽのサリー」もよく演奏していますね。
「ガールズ」も好きですがやはり「夢の旅人」が素晴らし過ぎたと思います。
70年代ポールのシングルはB面と言えども侮れませんよね。
「ザ・メス」はライヴで真価を発揮する曲なので
76年のUSツアーでもやってもらいたかったですね。
これほどクオリティの高い曲がアルバム未収録で
ひっそりとシングルB面に収まっているなんて
凄いとしか言いようがありません。
ビートルズ時代に続き、ソロになっても
音楽家としてのピークが持続してるんですから
“20世紀最高のメロディー・メイカー” の称号はだてじゃありませんね。
そう言えば「ワイのじゅん子や」というのもありましたね(笑)
ユキ先生は oriental princess、つまり「東洋のお姫様」ですから
日本人で間違いないと思いますが、どうなんでしょう?
そうそう、「スピード・オブ・サウンド」が出た時、「ワイのじゅん子」には大笑いさせてもらいました。
「マイ・ブレイヴ・フェイス」のPVにも日本人マニアが登場するし
雪化粧の富士山を題材にした「フローズン・ジャップ」があったりと、
ポールの作品に日本が出てくるたびに嬉しくなっちゃいます。
日本のビートルズ・ファンは幸せですね。