Centerfield / John Fogerty

　これまで長いこと音楽を聴いてきて、アホな勘違いをして赤っ恥をかいたことがたびたびある。お店でかかっていたピアノ・トリオが気に入って「エヴァンス派ですか？」と聞いたらエヴァンス本人だったりとか、「ガンガンくるパウエル直系のピアノですね！」と言ったらパウエルだったりとか、言わんかったら良かったと思っても後の祭りで、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしたものだ。こーいった勘違いは何もジャズに限ったことではなく、ロック/ポップスでもよくやらかしてしまうが、ジョン・フォガティの「ジ・オールド・マン・ダウン・ザ・ロード」を聞いた時もそうだった。CCRの曲は知っていてもあくまでもそれは“クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル” であって恥ずかしながらリード・ヴォーカリストの名前を知らなかった私は “何かCCRにソックリのスワンプ・ロックやなぁ...” などと考えながら聞いていた(>_<)　しかもアルバム・タイトルの「センターフィールド」もJ.ガイルズ・バンドの「センターフォールド」とごっちゃになってたぐらいだからオメデタイことこの上ない。
　アルバムはCCR時代の「グリーン・リヴァー」の80's版とでもいうべき①「ジ・オールド・マン・ダウン・ザ・ロード」で幕を開ける。イントロのネチこいギターにドラムが加わり、フォガティー独特のしゃがれ声が “ヒ テイク ザ サンダー フロム ザ マァウンテン♪” と入ってくるや否や、あたりには土の薫りが立ち込め、ザ・ワン・アンド・オンリーのスワンプ・ロックが展開される。このアーシーな味わい... やっぱり年季が違うのぉ...(^.^)　②「ロックンロール・ガールズ」でもダウン・トゥ・アースなギターのイントロからフォガティのサザン・ロック魂が炸裂、間奏で聞けるスプリングスティーン印のサックス・ソロもアメリカン・ロックのお約束だ。CCR時代の未発表曲と言っても立派に通用しそうなくらいに “あの” サウンドそのまんまの③「ビッグ・トレイン・フロム・メンフィス」、この “変わらない味わい” がエエのよね(^o^)丿　
　ミディアム・スローの④「アイ・ソー・イット・オン・TV」、何の変哲もないロックンロール⑤「ミスター・グリード」、ヒューイさんちのタワー・オブ・パワーみたいなホーン・セクションをフィーチャーした⑥「サーチライト」と、やや凡庸な曲が続いて中だるみし始めたところでアルバム・タイトル曲の⑦「センターフィールド」の目の覚めるような軽快なイントロが聴く者のロック・スピリットに火をつける。例えるなら80'sに「トラベリン・バンド」の気分で「バッド・ムーン・ライジング」を再現してみました、というような疾走感溢れるノリノリのキラー・チューンで、ウキウキするようなハンド・クラッピングがたまらない(≧▽≦)　 これはもうアメリカン・ロックの魅力を凝縮したような大名演だと思う。又、歌詞に “ジョォー・ディマァジオゥ～♪” が出てきたり、 “カーン！” という快音が効果音として挿入されていたりと、野球に興味のない私でも感心するぐらいだから、大リーグ・ファンには涙ちょちょぎれる内容だろう。
　ラストの⑨「ザンツ・カント・ダンツ」はアメリカの田舎の盆踊り（←そんなモンあるか！）のテーマソングのようなエンヤトットノリの曲調といい、シンセ・サウンドを駆使したサウンド・プロダクションといい、最初聴いた時は “何なん、これ？” と思ったが、何度も聴くうちにクセになってしまうアブナイ曲。歌詞はCCRの楽曲の著作権を巡って訴訟沙汰にまで発展した元マネージャーを痛烈に皮肉ったもので、道理でこの曲だけ５分を超す大作に仕上がっているわけだ。クレイ・フィギュアのブタが踊るPVも面白かったなぁ...

JOHN FOGERTY & KEITH URBAN - CENTERFIELD