shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Girls Girls Girls / Motley Crue

2009-05-14 | Hard Rock
 私がモトリー・クルーの魅力に開眼したのは遅かった。初めて彼らの曲を聴いたのは1985年、サード・アルバム「シアター・オブ・ペイン」からのシングル「スモーキン・イン・ザ・ボーイズ・ルーム」だったが、曲そのものよりもビデオクリップの “メイクを施したハードロック・バンド” というイメージがイマイチ好きになれなかった。70年代のデビッド・ボウイやマーク・ボランのメイクに抵抗を覚えたことはなかったが、モトリーといい、ポイズンといい、何故かL.A.メタル勢のグラム・ファッションは生理的に受け付けなかったのだ。今にして思えば当時の私はそのような外的イメージのみに気を取られ、その奥にあるロックンロール・スピリットを見抜けるほど成熟したリスナーではなかったのだと思う。
 その2年後、4枚目のアルバム「ガールズ・ガールズ・ガールズ」がリリースされた。今度はキレイさっぱりメイクを落とし黒のレザー・ジャケットに身を包んでの登場だったが、私が何よりも驚いたのは音そのものの変化で、キャッチーなのにアグレッシヴな “バッドボーイズ・ロックンロール” が全開なのだ。同時期にブレイクしたボン・ジョヴィがフレーズ主体で一つ一つのフレーズをノリで固めていくサウンドを特徴としていたのに対し、このアルバムでのモトリーはラフなビートを主体にし、そのビートをリフが追いかけていくようなサウンドで、贅肉を削ぎ落としたようなバリバリのハードロックが圧巻だった。「俺達はヘヴィー・メタル・バンドじゃない。ハード・ロックンロール・バンドと呼んでくれ!」と彼らが言ったというが、まるで全盛期のエアロスミスを彷彿とさせる究極のアメリカン・ロックンロールこそがこのアルバムの本質なのだと思う。
 まずは何と言っても①「ワイルド・サイド」のカッコ良さ!バリバリと硬質な音で炸裂するミック・マーズのギター・リフ、重量感溢れるトミー・リーのドラミング... 4分43秒の中に強烈なエネルギーが封じ込められており、“これがロックだ、文句あるか!” 的なノリがたまらない。全米12位まで上がったファースト・シングル②「ガールズ・ガールズ・ガールズ」はイントロのバイク音からしてもう “悪の華” の香りが充満するシンプル&ストレートそのものの痛快なロックンロール。一緒に口ずさめるキャッチーなサビはアメリカンならではだ。③「ダンシング・オン・グラス」は曲のイメージを決定づける強靭なエッジの効いたギター・リフがたまらない。④「バッド・ボーイ・ブギー」は「スモーキン・イン・ザ・ボーイズ・ルーム」の残り物のような中途半端な曲で、メロディーもイマイチ。⑥「ファイヴ・イヤーズ・デッド」はサビのメロディーが②とそっくりで、“ファーイ ヤーズ デェ~ッド♪” を “ガールズ ガールズ ガールズ♪” とそのまま替え歌に出来そうだ(笑) ⑦「オール・イン・ザ・ネーム・オブ...」は疾走感溢れるノリノリのロックンロールで、どこかで聞いたような懐かしい感じのするゴキゲンな曲。これ大好き(^.^) ⑩「監獄ロック」はエルヴィスの大名曲をカヴァーしたライヴ音源で、交通刑務所から出所したばかりのヴィンス・ニールに監獄ロックを歌わせるという毒の効いた洒落が最高だ。
 アルバムの根底に息づくのは泥臭いフィーリングの猥雑なロックンロール。モトリー・クルーの最高傑作は次作の「ドクター・フィールグッド」だと思うが、彼らの “ワル” で “アブナイ” イメージを決定づけたのは紛れもなくモトリーらしさ全開のこのアルバムなのだ。

2分10秒あたりからドラム台が前へ迫り出てきて360°回転するシーンは必見↓

Wild Side

この記事についてブログを書く
« This Is Chris / Chris Connor | トップ | Centerfield / John Fogerty »