shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ロネッツのオランダ盤でやらかした(*_*)

2022-08-24 | Wall Of Sound
 ロネッツ唯一のLP作品「Presenting The Fabulous Ronettes featuring Veronica」はめちゃくちゃ好きなアルバムで、フィレス・レーベルのオリジナルUS盤を始めとしてUK盤、カナダ盤、オーストラリア盤と手当たり次第に60年代プレスの各国盤を買いまくってきたが、先日eBayでレアなオランダ盤を見つけた。
 プレス時期は上記の国々よりも3~4年遅い1968年で、しかも “STEREO (also playable on mono)” 表記。私が蛇蝎の如く嫌っている疑似ステレオの危険性がないとも言えない。実際、同じ1968年にキングレコードから発売された日本盤(SLC-225)はキャピトルご自慢(笑)の疑似ステで、“稀少なロネッツの日本盤 1stプレスを喜び勇んで買ったものの、聴きにくくて仕方なかった...” というコレクターの嘆きをネットで読んだことがあったので(→不吉なことにこちらも同じ LONDON レーベルだ...)、もしもこのオランダ盤が疑似ステだったら目も当てられないが、その一方でマトを調べたらフィレスのリアル・ステレオ盤が SLP-4006A、キャピトルの疑似ステレオ盤が ST-90721-W1なのに対し、このオランダ盤は AA 379 262 1Y 1 P 1968 670 111 と独自カットみたいやし、ヨーロッパの人は脳ミソお花畑のアメリカ人とは違うてキモい疑似ステ盤なんか作らへんやろ...という希望的観測、更に自分の耳で事実を確かめたいという好奇心もあって購入を決めた。まぁ一種のギャンブルみたいなモンだが、送料込みで €51(約7,000円)ならギリギリ許せる範囲のバクチと言えるだろう。
 で、その結果はというと、これが見事なくらいの大ハズレ...(泣) A①「Walking In The Rain」のイントロを聴いただけで “やってもうたぁ...(>_<)” と目の前が真っ暗になった。当時の人はコレ聴いてどう思ってたんやろ?と不思議に思うくらい気持ちの悪い音だ。要するにオランダに送られたマスター自体がクソで、カッティング云々以前の問題だったということだろうが、久々にこの気色悪い音を聴いて、疑似ステレオって人類音楽史上最悪の発明の一つやってんなぁと改めて思い知らされた。まぁそんな怪しいブツに手を出した自分が悪いのだが...
 しかしいくら大好きなアルバムとはいえ、こんなキモい音を片面全部聴き続けるほど私は忍耐強くはない。私はすぐに針を上げ、カートリッジをモノラルに変えてみることにした。まだアナログ盤コレクター初心者だった頃に Duophonic 表記を見落として買ってしまった坂本九のキャピトル盤で同じことを試して、十分とは言えないまでもまぁまぁ我慢できるくらいまでマシになったのを思い出したからだ。
 改めてモノ針で聴くロネッツ疑似ステ盤はまさに “エコーのよく効いた薄っぺらいモノラル・サウンド” そのもので、特にドラムスが引っ込み気味なのが情けない。当然US盤やUK盤の真正モノラル・サウンドの足元にも及ばないが、ステレオ針で聴いた時の吐き気をもよおすような不快感はそれなりに軽減されて何とか許せるレベル。まぁ “変な音のロネッツ” が聴ける珍盤・奇盤・怪盤の類としてコレクションの末席に置いておくのも悪くはないが、ステレオ針で聴くことだけは今後二度とないだろう。
 ということで完全にやらかしてしまった感のあるロネッツのオランダ盤だが、毎月アホみたいにレコードを買いまくっていれば、たまにはこんなハズレ盤をつかんでしまうこともあるやろ...と割り切ることにした。普段は60年代後半にプレスされたステレオ盤なんて滅多に買わないのだが、今回はロネッツの珍盤ということでついつい目が眩んでしまったというワケだ... う~ん、猛省せねば。いくら音楽が素晴らしくても(というか素晴らしいがゆえに失望感がハンパない...)音そのものがエコー処理等で改悪されていれば気持ち良く聴けないということはビートルズのキャピトル盤で骨身に沁みてるはずなのに、あぁ情けない。皆さんもどうかお気を付けあそばせ...