shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

【追悼】オリビア・ニュートン・ジョンの思い出

2022-08-10 | Rock & Pops (70's)
 朝、パソコンを立ち上げるといきなり「オリビア・ニュートン・ジョンさん死去」というヤフー・ニュースが目に飛び込んできて思わずわが目を疑った。記事によると享年73歳とのことだが、ちょうど昨日、次元大介役の声優さんが亡くなったと聞いて “知ってる有名人がどんどん死んでいくなぁ...” と淋しく思っていたところにオリビアの訃報である。「カントリー・ロード」で彼女の存在を知り、「フィジカル」での全米完全制覇まで、彼女の全盛期をずーっとリアルタイムで見てきた洋楽ファンとしては胸に穴があいたような虚脱感を感じざるを得ない。ということで今日は在りし日の彼女を偲んで個人的に思い入れの深い曲を特集しようと思う。

①Take Me Home Country Roads
 70年代に洋楽を聴いて育った音楽ファンでこの曲を知らない人はいないのではないか... と思うくらい私の学生時代にラジオやらテレビやらでかかりまくっていたのがこの「カントリー・ロード」だ。元々は1973年にシングルとしてリリースされたものの、イギリスでは15位止まりでアメリカに至っては119位までしか上がらなかったという不発曲だったが、1976年に日本で「おはよう700」という朝のテレビ番組の挿入歌として使われたのをきっかけに爆発的にヒット。何と50万枚を売り上げてオリコン6位まで上がったという、まさに “日本が生んだヒット曲” なのだ。オリジナルはもちろんジョン・デンヴァーだが、少なくともこの日本においてはジブリ云々を抜きにしてもこの曲こそがオリビアの代表曲として認知されていると言っても過言ではないと思う。美しい女性歌手が親しみやすいメロディーを快活に歌うという、まさにポップスの王道中の王道をいくキラー・チューンだ。これ以上の名曲名唱があったら教えを乞いたい。
H264_ カントリーロード TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS /  Olivia Newton-John


②Have You Never Been Mellow
 オリビアの有名曲と言えば「カントリー・ロード」以外にも「ジョリーン」や「たそがれの恋」、トラボルタとの「愛のデュエット」など、どちらかというとアップ・テンポの曲が多いような気がするが、彼女の魅力が一番活きるのはミディアム・テンポでリラックスした歌声を聞かせてくれるナンバーではないかと思っている。そんな私が “これぞオリビア!” と愛聴しているのが1975年に出た「Have You Never Been Mellow」(→「そよ風の誘惑」などというワケのわからん邦題つけんなよ...)で、彼女にとって2枚目の全米№1に輝いた大ヒット曲だ。イントロに続いて彼女の “There was a time when I was...♪” という柔らかい歌声が聞こえてきた瞬間にフニャフニャと腰砕けになってしまうのは私だけではないだろう。バックのコーラス・アレンジも最高だ。
Olivia Newton-John - Have You Never Been Mellow


③Jolene
 1976年にリリースされた彼女の7枚目のアルバム「Come On Over」からは同名のタイトル曲がリード・シングルとして切られたが、曲調がシングル向きでなかったこともあってパッとせず、それならこれでどーだとばかりに日本と彼女の母国オーストラリアのみでシングル・カットされたのがこの「Jolene」だ。この曲はドリー・パートンのカヴァーだが、英語が苦手な日本人に “ジョリーン、ジョリーン~♪” という覚えやすいサビ(→じょり~んと髭を剃るってゆう感覚らしいwww)が大ウケして60万枚以上を売り上げる大ヒットを記録したという、実に大らかでエエ時代だった。当時中学生だった私も喜び勇んでシングル盤を買いに走ったクチだが、歌詞カードを見て初めて “お願い、彼を奪わないで!” と女友達に懇願するシュールな内容の歌だと知って驚いたのが今となっては懐かしい思い出だ。
Olivia Newton-John - Jolene / Live in Japan 1976 Remaster


④Grease Megamix
 オリビアが70年代の “清純派の歌姫” 路線から80年代初頭の「運命のいたずら」や「フィジカル」といった “イケイケの健康セクシー” 路線へとイメチェンするきっかけとなったのが1978年にジョン・トラボルタと共演した映画「グリース」のサントラからシングル・カットされて世界中で大ヒットした「愛のデュエット」だ。私はこの曲と同サントラ収録の「グリースト・ライトニン」「サマー・ナイツ」のオイシイところを繋げて1991年にシングルとして出された「グリース・メガミックス」が大好きで、まだネットもなかった時代に足を棒にしてその12インチ・シングルを探し回り、ようやくアメ村のタワー・レコードで見つけた時の嬉しさを今でもハッキリと覚えている。映画のシーンを上手く繋げたビデオクリップも “あの時代” を思い出させてくれて実に微笑ましい。尚、ジョン・トラボルタ氏の演技はギャグだと思って生温か~い目で見てあげて下さい(笑)
Grease Megamix - John Travolta Ft Olivia Newton (Video HD)


⑤Physical
 初めて「フィジカル」のビデオクリップを見た時は本当に驚いた。ショート・カットにエアロビのインストラクターみたいなレオタード姿で “身体でお話ししましょうよ...♪” と歌う彼女にはもはや70年代の歌姫イメージのかけらもなかったが、中でも “You gotta know that you're bringin' out the animal in me.”(あなたが私の中の野性を引き出しているのよ。)と歌うくだりが超刺激的で、大学に入ったばかりの私は盛りが付いたように “アンナモーレンミィ~♪” が脳内リフレインする日々だった。この曲に限らず、彼女の歌を聴くと当時のことが色々と思い出されて懐かしい気分に浸れるのが嬉しい。
 この曲はビルボード誌の全米シングル・チャートで10週連続№1を記録したことでも有名だが、私はこの曲に阻まれてフォリナーの「ガール・ライク・ユー」が10週連続2位(!)に終わったという不憫なチャート・アクションの方が印象に残っている。尚、「フィジカル」はいくつかの州で放送禁止になったのでエアプレイ回数のみのランキングであるラジオ&レコーズ誌では逆に「ガール・ライク・ユー」が6週連続№1で、「フィジカル」は3位か4位止まりだったような記憶がある。このように、私がヒット・チャートに興味を持つきっかけになったという意味でも思い出深い1曲なのだ。
Olivia Newton-John - Physical (Official Music Video)


⑥What Is Life
 私は洋楽を聴き始めた1976年に「カントリー・ロード」や「ジョリーン」からオリビアに入門したので彼女の初期のアルバムを聴いたのはずっと後になってからなのだが、彼女が1972年リリースのセカンド・アルバムでジョージ・ハリスンの「What Is Life」をカヴァーしていると知った時は驚くと同時に大喜びして聴きまくったものだった。因みに彼女はこの曲の他にも「Behind That Locked Door」や「If Not For You」(←こちらはデビュー・アルバムに収録)と、ジョージの「All Things Must Pass」から3曲もカヴァーしているのは非常に興味深い。オリビアのこのヴァージョンはバックの器楽アレンジがイマイチで、ギターがしゃしゃり出てきて目立とうとするのが玉にキズだが、私はジョージ屈指の大名曲を可憐なオリビア節で聴けるだけでも儲けものだと思っている。
 尚、オリビアのビートルズ・カヴァーとしてはもう1曲、「The Long And Winding Road」があるが、ビートルズ愛に溢れた、聴く者の心に沁みる名唱なので是非聴いてみて下さい。
Olivia Newton-John - What Is Life

Olivia Newton-John - The Long And Winding Road


R.I.P. オリビア、素晴らしい思い出の数々をありがとうね。