shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

じんじろげ / 森山加代子

2011-09-10 | 昭和歌謡・シングル盤
 あーしんどかった... 9月に入って仕事は急に忙しゅうなるわ、台風は来るわ、暑いんか涼しいんかよぉわからん気候やわで、めちゃくちゃハードデイズナイトな1週間だった。こんな時は頭を空っぽにして楽しめるようなお気楽ソングがいい。ということで今日は森山加代子でヒットしたナンセンス歌謡の大傑作「じんじろげ」にしよう。別に意識したワケではないが、「初めての街で」、「上を向いて歩こう」に続いてコレも中村八大作品だ。
 この曲を歌っているカヨちゃんはミコたんと共に60年代前半のカヴァー・ポップス全盛時代に活躍したアイドルで、「月影のナポリ」「メロンの気持ち」「月影のキューバ」といったヒットを連発してまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、彼女が他のカヴァー・ポップス・シンガー達と決定的に違っていたのは “コラソン デ メロン デ メロンメロンメロンメロンメロン~♪” のフレーズが妖しく脳内リフレインを起こす「メロンの気持ち」を始め、「パイのパイのパイ」や「ズビズビズー」といった “言葉遊び的な呪文系(?)コミカル歌謡のおねえさん” というもう一つの顔を持っていたこと。この言葉遊び路線の「メロンの気持ち」が大当たりしたこともあって、“オモロイのをもう一丁いったろか” とばかりに作られたのがこの「じんじろげ」(1961)である。
 この曲、いきなり出だしから “ちんちくりんのつんつるてん~♪” 、2番も “おっぺけぺぇのすってんてん~♪” という人を食ったようなフレーズで始まるし、サビになると全くの意味不明で怪しげなフレーズのアメアラレ攻撃なんである;
 ジンジロゲーヤ ジンジロゲ
 ドーレー ドンガラガッタ
 ホーレツラッパノ ツーレツ
 マージョリン マージンガラ チョイチョイ
 ヒッカリコマタキ ワーイワイ
 ヒラミヤ パミヤ チョイナダ ディーヤ
 ヒラミヤ パミヤ チョイナダ ディーヤ
 チョイナダ ディーヤ チョイナダ ディーヤ
 ヒッカリ コマタキ ワーイワイ
 ヒッカリ コマタキ ワーイワイ
一説によるとインドの雨乞いの歌らしいのだが、ホンマかいな??? 作詞は渡舟人(ワタリフナト?)という人で、上記の「パイのパイのパイ」も彼の作品なのだが、 “渡りに舟の人” というのも何だかペンネームっぽくて怪しい。一体何者やねん、と思って調べてみると、 “君は僕より年上と まわりの人は言うけれど~♪” のフレーズで有名な山下敬二郎の「ダイアナ」の訳詞をした人ではないか! 「じんじろげ」と「ダイアナ」って一見何の共通点もなさそうだが、歌詞が7・5調でシンプルにスッキリまとめてあるせいか、リズムへの乗りが抜群に良いのだ。他に私が知っている作品はないのだが、この人はどうも只者ではなさそうだ。
 この奇妙奇天烈な歌詞を渡されて(←この曲はどう考えても先に歌詞があったとしか思えない...)ウキウキするようなドドンパ・リズムに乗せてコモエスタなナンバーに仕上げた中村八大も凄いし、そんな一癖も二癖もある迷曲(?)をハリのある歌声で溌剌と歌いまくって素敵なポップスにしてしまうカヨちゃんもさすがだと思う。この曲が流行った1961年には他にも「スーダラ節」や「ドント節」、「九ちゃんのズンタタッタ」といったコミカルな歌がヒットしているのだが、今と違ってのどかで平和な時代だったのだろう。
 この後、カヴァー・ポップス時代の終焉と共にカヨちゃんもヒットが出なくなっていき、ほとんど “過去の人” になりかけていたところ、1970年に折からのガールズ歌謡ブームに乗って「白い蝶のサンバ」で華麗に復活することになるのだが、それはまた別の話...

じんじろげ 森山加代子


じんじろげ(森山加代子)1995
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