shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

エリカの花散るとき / 西田佐知子

2011-08-11 | 昭和歌謡・シングル盤
 「コーヒー・ルンバ」で西田佐知子に入門した私はカヴァーポップスを中心に初期の音源を集めた「アーリー・デイズ」というCDを購入、その中に入っていた「アカシアの雨がやむとき」を聴いて彼女の歌う昭和歌謡の素晴らしさに開眼した。しかし彼女に関してほとんど何の知識もなかった私はとりあえず代表的なヒット曲を聴いてみようということで「西田佐知子全曲集」というベスト盤をゲット、彼女のシングル・ヒット曲をほぼすべて網羅した上に「ワン・レイニー・ナイト・イン・東京」や「ウナ・セラ・ディ・東京」、「ベッドで煙草を吸わないで」といった昭和の名曲のカヴァーまで収録したスグレモノだ。そのCDで「アカシア」に続く2曲目に入っていたのが今日取り上げる「エリカの花散るとき」だった。
 私はドライブ用にコンピレーション CD-R を作ることが多いのだが、その時に選曲と同じぐらい重要なのが曲順である。曲の配置ひとつで全体の印象がガラリと変わるのがコンピ盤作りの面白さだ。上記のベスト盤でも1曲目の「アカシア」で大団円を迎えて放心状態のところへいきなり「エリカ」の突き刺さるようなストリングスのイントロが流れてきたのにはビックリ(゜o゜) ダッダッダッダッ♪と刻むリズムが音楽を前へ前へと押し進めていくドライヴ感溢れる演奏に耳が吸い付く。哀愁舞い散るアレンジも絶品だ。昭和世代でこの歌謡曲特有の流れるようなマイナー調の旋律に心を動かされない人はいないのではないか。イントロだけでつかみは OK だ。
 ヴォーカル・パートはもう絵に描いたような名曲名唱。特に “やまぁ かぁげぇんにぃ~♪” や “べにぃ いろぉんのぉ~♪”、“かも めぇにんも♪” と古式ゆかしいコテコテ唱法で迫るところが曲想にバッチリ合っていて効果満点だし、 “わぁ かぁ れたひとんのぉ~♪” と鼻にかかった歌声で情感たっぷりに歌い上げるところなんかもうたまらない。この独特な節回しにハマるとさっちゃん中毒も本物だ。トドメは吸引力抜群の “エ~リィカァ♪” から一気にたたみかけてストンと落とすエンディング... まさに曲良し、歌良し、演奏良しと3拍子揃った昭和歌謡の名演である。
 それともう一つ、まったく以て恥ずかしい話なのだが、植物に疎い私の中では “エリカ” というのは女性の名前というイメージしかなく、「エリカの花」を私はてっきりエリカという女の人が植えた花のことだと思い込み、長い間 “エリカって誰やねん??? 何かワケのわからん歌詞やなぁ...” と訝しく思っていた。まぁただ単に国語力が無かっただけなのかもしれないが...(>_<) ある時たまたま google で “エリカ” と入れるとキーワード入力補助で “花言葉” という候補が出てきたので何じゃこりゃと思い “エリカ 花” で画像検索したところ、コンピューター画面いっぱいに咲き誇るかのように薄紫の花が現れたのだ。やっぱりインターネットって凄いわ...(^.^) 私はこの時初めて歌詞の意味が分かってめっちゃスッキリした気分になれた。
 シングル盤のジャケット・デザインは相も変わらずトホホな出来で、彼女の写真はモノクロのままだし、子供の落書きみたいな女の子の絵といい、飛び散る汗みたいな花びら(?)といい、もうちょっと何とかならんかったんかと思う。まぁ今となってはコレはコレで味があってエエねんけど。
 因みにこの曲がリリースされた1963年2月当初は NHK テレビ歌謡の「浜辺と私」が A面扱いだったが、B面ながら「アカシア」と同じ水木&藤原コンビが書いたこの曲の方がジワジワとヒットして結局 AB面が逆転、その年の紅白でも「エリカ」の方を歌ったのだ。言っちゃ悪いがこの「浜辺と私」という曲はメロディーの起伏に乏しく聴いた後で全く印象に残らない凡曲で、「エリカ」と比べれば月とスッポン、フェラーリと自転車ぐらいの差があるように思う。前回の「コーヒー・ルンバ」といい、この「エリカ」といい、ポリドール・オーケストラの演奏は文句なしに素晴らしいのだが、肝心の制作サイドにはヒット曲を見極める目が無かったということなのだろう。

エリカの花散るとき 西田佐知子 さん


↓こちらはテレビ出演時の映像。テンポも遅めでレコードとはかなり印象が違います。
エリカの花の散るとき 西田佐知子 Nishida Sachiko 1963