shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Through The Past Darkly / Rolling Stones

2009-01-23 | Rolling Stones / The Who
 音楽の話をしていてローリング・ストーンズの話題になると私はいつも「どの時代のストーンズが一番好き?」と聞いてしまう。何と言っても約半世紀の間第一線で活躍しているバンドなのだ。昔「ストーンズは変わらへんからどれを聴いても同じ」と誰かが言ってたのを聞いたことがあるが私は全然そうは思わない。確かにミックのヴォーカル・スタイルやキースのギター・サウンドに大きな変化は見られないが、出てくるバンドの音はちゃーんとその時代を反映したものになっている。私が一番好きなのは、古いR&Bやブルースを再生することから脱却し、独自のロックンロール・スタイルを完成させた60's後半(シングルでいうと「黒く塗れ!」~「ホンキー・トンク・ウイメン」あたり)のストーンズで、この時期がストーンズの純粋な熱気という意味では最高だと思う。ミックのヴォーカルは成熟し始め、キースはリズム・ギターでR&Bに不可欠な音の壁を築き上げ、ビル・ワイマンとチャーリー・ワッツのリズム隊は腰の入ったバック・ビートに徹し、そして当時のリーダーであるブライアン・ジョーンズはキーボードからシタールまで様々な楽器をこなし、まさにストーンズ・サウンドの要の役割を果たしていた。そんな最も脂の乗ったストーンズの魅力が凝縮されたベスト盤がこの「スルー・ザ・パスト・ダークリー」。手持ちのCDが薄っぺらい音だったのでUKオリジナル・モノラル盤を eBay で取ったのだが、期待通りの迫力満点な音に大満足。ただ、マニアが喜ぶ八角形の変形ジャケットは実用性ゼロで不便極まりない(>_<) 中身の方は言わずもがなの素晴らしさで、ビートルズの真似をして失敗した「サタニック・マジェスティーズ」の教訓から再び基本に戻って彼ら本来のストレートなロックンロールで勝負した①「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」が実にすがすがしい。やっぱりストーンズはこうでなくちゃね。④「夜をぶっとばせ」はゴキゲンなピアノがサウンド全体を支配、途中ビートルズやビーチ・ボーイズみたいなコーラス・ハーモニーが聴けるところなんかもストーンズとしては異色のナンバーだが、この疾走感溢れるノリはさすがストーンズという他ない。64年録音の⑤「ユー・ベター・ムーヴ・オン」は⑪「シッティン・オン・ア・フェンス」と共にこの盤では初期の録音で、どちらもどこか懐かしいというかホッとさせるサウンドだ。ジョンとポールがコーラスで参加した⑥「ウィー・ラヴ・ユー」は私の大好きな曲で、緊張感溢れるイントロのピアノ、強靭なグルーヴを生み出すリズム隊、混沌としたサウンドの中から顔をのぞかす歪んだギターや咆哮するブラス群と、ムチャクチャ一歩手前で見事なバランスを保ちながら音楽が前へ前へと進んでいく様はめっちゃスリリング!⑧「シーズ・ア・レインボウ」は凛としたピアノの音色が耳に残る実にメロディアスなポップ・ナンバーで、ジョン・ポール・ジョーンズのストリングス・アレンジもお見事。ストーンズらしくないということであまり話題に上らないが、これは名曲だと思う。イントロのギターの入り方がめちゃくちゃカッコイイ⑫「ホンキー・トンク・ウイメン」は粘っこいリズムが生み出すグルーヴ感が最高だ。バック・トゥー・ザ・ルーツ... ストーンズにとってこれ以上のものはない。このようにして激動の60'sを乗り切ったストーンズは更に加速しながら70'sも転がり続けることになる...

We Love You - The Rolling Stones RARE VIDEO