shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

スペイン盤特集②「Beatles For Sale」「Rubber Soul」

2023-12-03 | The Beatles

 私の各国盤蒐集は一旦火が付くと止まらない。これと決めたらありとあらゆる通販/オークション・サイトを調べ上げて一気呵成に根こそぎ買い漁るパターンなのだが、そんな私が今ハマっているのがスペイン盤だ。きっかけは前回ここに書いた「ペパーズ」のモノ盤で、続いて「ホワイト」を首尾よくゲットした後、三匹目(?)のドジョウを狙って eBayで“Beatles, LP, Spain (Spanish)” で検索してみたが、出品されているブツは Light Blue Label(薄青レーベル)、つまり70年代プレスのステレオ盤ばかり。言っちゃ悪いが再発ステレオ盤なんぞに用はない。私が欲しいのは 1stプレス、つまりリアルタイムで60年代にプレスされた爆音モノラル盤だ。まぁ無いものはしゃあないので、ここしばらく絶縁状態だった Discogs を久々にチェックしてみた。
 Discogsは新しいβヴァージョンになって自分的には見にくくなったのだが、プレス国を絞って検索・表示できるようになった点だけは(←日本語表示だとバグるが、英語表示にすると何故か機能する...)各国盤蒐集の観点から言うとめちゃくちゃ助かる。私は1枚につき予算1万円以内で盤質VG+以上のレコードを狙って探すことにした。
 その結果わかったことは、60年代プレスのスペイン・モノ盤って状態の良いものは思いのほか少ないということ、そしてスペイン人のセラーに “写真を送って!” とメールしても返事が返ってくる確率が他国セラーに比べてめちゃくちゃ低いということだ。とにかく “こいつらホンマにヤル気あんのか???” と疑いたくなるぐらい返事が来ない。英語がワカランのか、そういう国民性なのか、それともスマホがそれほど普及してないのか(笑)、とにかくコミュニケーションが取りづらい連中だ。スペイン盤は70年代初めに濃い青色のレーベルから薄青レーベルに変わるのだが、Blue間違いで薄青の再発盤なんぞを送ってこられたらたまったモンじゃないので、写真によるチェックは必須なのだ。
 そんなこんなで苦労しながらまず手に入れたのが「Beatles For Sale」だった。盤質表記は VG+ だったが送られてきた写真を見ると目立ったキズも無さそうだし、excellent sound という説明を信じて即決。届いた盤を目視チェックするとスピンドル・マークがほとんどない極上NM盤で、もちろん独自マト(マザー/スタンパーは1R/1A)である。一体どんな音で鳴るのか興味津々で盤に針を落としたところ、A①「No Reply」のジョンのザラついた声がリスニング・ルームに響き渡り、部屋の空気をジャケット・イメージと同じ黄土色に染め上げた。う~ん、これはエエ感じだ。
 A④「Rock And Roll Music」はギター、ベース、ドラムス、ピアノが混然一体となって凄まじい勢いでドドーっと迫ってくるところが超絶気持ち良いし、その一方でA⑤「I'll Follow The Sun」の温もりを感じさせるヴォーカルにはホッコリさせられる。A⑦「Kansas City」のアーシーな感覚の表現には唸ってしまうし、B⑤「I Don't Want To Spoil The Party」のジョージのギターもキレッキレで言うことナシ。アルバム全編を通してとにかく音の密度感が高いのだ。溝の状態の良さも寄与していると思うが、それも元々の音が良ければこそだ。このレコードを聴いてスペインのモノラル盤に対する私の信頼は確固たるものになった。
 このように幸先良く「Beatles For Sale」のピカピカ盤を手に入れた私がその次にゲットしたのが「Rubber Soul」だ。このレコードも盤質の良い濃青ビッグ・オデオン・レーベル盤は中々出てこずに苦労したが、1ヶ月近く粘って盤質VG+のブツがeBay に出品されて即ゲット。届いた盤に盛大なスピンドル・マークがあって一瞬ヤバいかなとも思ったが、丁寧に聴かれていたのか盤が強いのかその両方なのか、ほとんど問題の無いExレベルの音で鳴ってくれて一安心。もちろんこちらも独自マト(マザー/スタンパーは1GM/1R)である。その音はラウドカットではないものの、他のスペイン・モノラル盤同様の豪放磊落なサウンドで聴いてて実に気持ちが良いのだが、何よりも驚かされたのがその重低音の豊かな響きで、下の下の方まで余裕で出ている感じがする。これはUK盤はもちろんのこと、他のどの各国盤とも違うスペイン盤ならではの長所ではないかと思う。
 いきなりA①「Drive My Car」から腰の据わった低重心サウンドがパワー全開でグイグイ押してくるこの快感... (≧▽≦) A④「Nowhere Man」なんかもう重厚なコーラスに圧倒されて気持ち良いことこの上ない。A⑥「The Word」のギターのシャープな切れ味も格別だし、歪みなしの大音量でA⑦「Michelle」を聴ける喜びを何と表現しよう? B③「I'm Looking Through You」の地の底で蠢くようなおどろおどろしいベースには驚愕させられたし、B④「In My Life」の音のバランスの良さも最高だ。特に赤盤の2023Mixを聴いた後では(←不自然なくらいに強調されたベルの音がうるさすぎて聴くに堪えない糞ミックス...)余計にそう思ってしまう。とにかく細かいことを気にせずにモノラルの爆音で気持ち良くビートルズを聴きたいという人にとって、スペイン盤はピンズドではないかと思う。
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