shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

スペイン盤特集⑤「Magical Mystery Tour」「Yellow Submarine」

2023-12-24 | The Beatles

 「Magical Mystery Tour」の各国盤は US編集アルバムと同じ形態(黄色ジャケ)で出ている国が大半で、UKに倣った EPフォーマット(薄青色ジャケ)でリリースされている国は少なく、しかもそのモノラル盤となると、ステレオを無理やりモノラルにした “偽モノ” 盤を除けばオーストラリア、ニュージーランドなど片手で足りるくらいしか存在しない。しかし嬉しいことにスペイン盤の「Magical Mystery Tour」は EPフォーマットでモノとステレオの両方が出ており、私は当然モノ盤をチョイス。盤質NMで €30ならお買い得と言えるのではないか。届いたレコードのレーベル面は同時期のアルバムと同じ濃青色で、デッドワックスには UKとは違う字体の独自マトが刻まれていた。
 実際に聴いてみた感想としては、キレイキレイな音が特徴の NZ盤とは好対照をなすラフでドライな音が気持ち良く、その竹を割ったようなストレートアヘッドなサウンドはアッパーなA①「Magical Mystery Tour」やメリハリの効いたC②「Flying」(←これホンマにエグい音です!)にとてもよく合っている。重低音に独特の魅力があるスペイン盤らしくポールのベースが大活躍で、私のようなパワー至上主義者にはたまらん音作りだ。A②「Your Mother Should Know」なんかちょっとベースがデカすぎるんとちゃうかといいたくなるくらい目立っているし、C①「The Fool On The Hill」も一音一音が強すぎて癒しの要素というかリラクセイションに欠けるようにも思えるが、これはこれで私的には楽しめるし、この音作りこそがスペイン盤のアイデンティティーなのだ。
 私のフェイバリット・トラックであるB①「I Am The Walrus」はまさに威風堂々という感じで基本的には UK盤や OZ盤と同傾向のサウンドだが、やはりパワーでゴリゴリ押してくる音作りと言える。特にビシバシきまるリンゴのドラミングが最高に気持ち良くて、リンゴって凄いドラマーやなぁと改めて思い知らされる。まぁ、この曲は低音がスベッたとか倍音がコロンだとかいう次元を超越して、ジョンのサイケな世界に引き込まれてついつい聴き入ってしまうという “理屈を超えた” 名曲名演なので、これ以上あれこれ分析するのは野暮というものだろう。とにかくこのスペイン盤 EPは買って正解だった。
 「Magical Mystery Tour」を手に入れた私が次に狙ったのが「Yellow Submarine」だ。大好きな「Hey Bulldog」をスペイン盤の豪快な音で聴きたいという思いが強く、「Let It Be」(→イエサブの次に買ったけど 1P/1Gにもかかわらず平凡な音だった...)よりもこちらを優先したのだ。早速 Discogsで調べたところ、同一デザインで濃青色と赤色の2種類のレーベルが存在することが判明。どちらが初期プレスなのかわからなかったので、その両方併せた中から一番盤質が良さそうなのを探したところ A面が Ex+でB面が VGという、絶対にA面しか聴かない私にドンピシャの盤があったので喜び勇んでそいつを購入。B面のキズのおかげで €20という安値で買うことができて願ったり叶ったり。実質A面オンリーのイエサブはこのパターンが理想的だ。
 届いた盤はA面のマザー/スタンパーが 1Pで、間違いなく初期プレスだ。音の方も期待を裏切らないもので、細かいことを気にせずにパワーでグイグイ押してくるプリミティヴな音作りが実に気持ち良い。A④「Hey Bulldog」はイントロからもう“最高!!!”と ! を3つも付けたくなるくらい凄まじい勢いでアグレッシヴなブルドッグがスピーカーから飛び出してくる。調子に乗ってアンプのヴォリュームを上げていくと、闊達に躍動するポールのベースを全身で体感できて大満足。スピーカーの上に飾ってあるダース・ベイダーのフィギュアが振動で倒れたくらいだからどれほどの重低音かわかるだろう。シスの暗黒卿をもブッ倒してしまう強靭なブルドッグ... 地響きを立てて迫りくる重戦車のようなサウンドがたまらんたまらん...(≧▽≦)  
 続くA⑤「It's All Too Much」もドッシリとした重心の低い音作りで、高音域のクリアネスも申し分なくキレッキレのサウンドが楽しめる。A②「It's Only A Northern Song」もそうだがジョージの控え目なヴォーカルがこのスペイン盤ではまるでユンケルでも飲んだかのように力強く聞こえるのだから不思議なものだ。とにかくこの時期のビートルズならではのサイケな音空間がまるですべてを飲み込むブラックホールのように強烈な吸引力で襲いかかってくるのが実に気持ち良い。
 私がこのアルバムでブルドッグの次に好きなA③「All Together Now」も最高の仕上がりだ。この曲は何と言ってもザクザク刻むアコギのカッティング音の生々しさを楽しむのが私流なのだが、このスペイン盤はクリアー&クリスプな音で躍動感溢れるトラックに仕上がっており、リズムに乗って思わず身体が動いてしまう。A⑥「All You Need Is Love」も雄大な音場の中でジョンのヴォーカルが力強く響きわたるところが◎。スタンパーの若さやら盤質の良さなど、様々な要因でこれだけの音が聴けるのだろうとは思うが、スペイン盤の「Yellow Submarine」が侮れない存在であることは間違いない。ヴォリューム上げてもう1回ブルドッグ聴こ...
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