shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

スペイン盤特集④「Abbey Road」2種聴き比べ

2023-12-17 | The Beatles

 ビートルズ中期のスペイン・モノラル盤はB-SELSでゲットした「Revolver」でコンプリートできた。どの盤も入手には苦労したが、その甲斐あって力強い音を聴かせてくれるので大満足だ。改めて “独自マトのスペイン・モノラル盤にハズレ無し” を確信させられた。まぁ盤質の良いブツを見つけるには少々忍耐力が必要だが...
 一方、後期のステレオ盤は「Hey Jude」を除いてすべて手に入れた。このアルバムはUS編集のコンピ盤ということで世間では少し軽く見られているように感じるのだが、後期の重要なシングル曲が一杯入っているこの盤を私は「Yellow Submarine」のA面と「Let It Be」の間を埋める準オリジナル・アルバムとして重要視している。ところがスペイン盤の「Hey Jude」は宗教上の理由とやらで、あろうことか私の大好きな「The Ballad Of John And Yoko」がカットされており、私としてはそんな欠陥品を買う気にはなれなかったのだ。ジョンのキリスト教発言に対するアメリカ人の反応を知った時は “キリスト教徒ってホンマに心の狭い連中やなぁ...” と呆れたものだが、スペインでもこの有り様だ。キリストも草葉の陰で泣いとるで、ホンマに。
 話をスペイン盤に戻そう。後期のステレオ盤で一番音が良かったのは断然「Abbey Road」だ。このレコードは世界中で売れまくっただけあってかなりの数の盤が市場に出ているが、リリースから1年かそこらで濃青レーベルから薄青レーベルへ切り替わったこともあってかリイシュー盤率が異常に高くて要注意だし、何よりも問題になるのはその盤質だ。少々のキズなど笑い飛ばしてしまうモノラル・カートリッジとは違い、ステレオ・カートリッジはどうしてもキズに弱いし、この「Abbey Road」を聴く場合、B①「Here Comes The Sun」の繊細なイントロ部分でチリパチ、ブツブツとノイズが入ってしまうともう雰囲気ブチ壊しなので、盤選びには慎重にならざるを得ない。
 私は数種類の候補の中から NM表記で尚且つセラーの “Pristine condition” という文言を信じて1枚に絞って購入。届いた盤のマザー/スタンパーは 2GM/2R で、スパインには、細字で “Abbey Road The Beatles” とあり、カタログ№ “1J062-04243M” も記されている。盤に針を落とすとA①「Come Together」なんか実にソリッドな音で上々の立ち上がりだったのだが、続くA②「Something」、A③「Maxwell's Silver Hammer」でチリパチが目立ち、A④以降は持ち直したものの、肝心かなめのB①「Here Comes The Sun」でチリパチが再発してガッカリ。見た目は Ex でも実際に聴くと VG という、レコード・コレクターにとっては一番嬉しくないパターンだ。入っている音そのものはキラリと光るものがあるので実に勿体ない。
 私はどうしても諦めきれず、「Abbey Road」のスペイン盤を買い直すことにした。このレコードを聴くたびに要らぬストレスを溜めるくらいなら、数千円の追加出費で気持ちよく聴ける「Abbey Road」を手に入れた方が精神衛生上遥かに良いと思ったからだ。今度はネガティヴ・フィードバックがゼロのセラーが出しているブツの中から厳選し、更に送ってもらった写真を拡大して詳細に分析・比較した上で €50 の VG+盤に決定。さすがに3枚目は考えてないのでこれがラスト・チャンスだ。
 レコードが届いて恐る恐る盤面をチェックすると見た目は文句なしに合格だ。マザー№は 2/1 でスタンパーは刻印されておらず、しかもB面のセンター・レーベルに Her Majesty の表記が無くて、ジャケットの色合いも先に買った盤よりも深みがあってスパインのデザインも違う(←太字の “Abbey Road The Beatles” のみでカタログ№なし)。どうやら今回送られてきた方が正真正銘の 1stプレスのようだ。要するにレーベルの色やデザインばかりに注意が行っていて「Abbey Road」購入時の基本中の基本とでも言うべき Her Majesty 表記の有無の確認を怠っていたのだが、怪我の功名というべきか、そのおかげでスペイン盤「Abbey Road」の 1stプレスと 2ndプレスの聴き比べをすることが可能になった。
 こちらの 1stプレス盤は聴いてて不快に感じるチリパチはほぼ無くて一安心。2ndプレス盤と比較して、盤質の良さを差っ引いても鮮度の高さ故かこちらの 1stプレス盤の方がパワー/クリアネス共に上回っており、結果論になるが、この2枚目アビー・ロードを買って大正解だった。これからスペイン盤「Abbey Road」を買おうかなぁと考えている人は焦らずに盤質の良い Su Majestad(Her Majesty)無しの 1stプレス盤一点狙いがいいと思う。
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