レコードの再生方式には大きく分けてモノラルとステレオの2種類がある。私が音楽を聴き始めた1970年代半ばというのはもう完全にステレオの時代で、モノラルというと “古くさい” “奥行きや臨場感がない” → “音が悪い” というネガティヴなイメージしかなかった。当時買ったLPレコードの中に「プリーズ・プリーズ・ミー」のジャケ違い日本盤「ステレオ!これがビートルズVol.1」というのがあり、“ステレオ”という4文字が神々しく輝いて見えたものだ。1980年代に入ると私の音楽生活は80'sポップス中心となり、いつしか“モノラル”という言葉に出会うことすらなくなった。
しかし1990年代の半ばにジャズを聴き始め、行きつけのレコード屋で “50~60年代の古い音源はモノラルに限りますよ...” とブルーノートのオリジナル盤LPを聴かせてもらって私のモノラルに対する偏見は木端微塵に打ち砕かれた。目からウロコとはまさにこのことで、ステレオがなんぼのもんじゃいとばかりにスピーカーの中央に凝縮されたエネルギーがドーンと鉄砲水のように襲いかかってきて気持ちイイのなんの...(≧▽≦) 続いて聴かせてもらったペギー・リーやドリス・デイのような古いヴォーカル物も中音域の密度感がハンパない。これがきっかけで私は “ジャズやヴォーカル物のLPはモノラルのオリジ盤に限る” を信条とするようになった。
ジャズ関係で欲しい盤はほぼ手に入れて一息ついた2004年頃、 “ジャズでこれやったらひょっとしてロックやポップスも凄いんちゃうの?” と思いつき、手始めにeBayでプレスリーやロネッツといったオールディーズのモノラル盤を取って聴いてみるとこれがもうビックリするくらいの生々しさだ。すっかりモノラル教(?)信者と化した私は死力を尽くして最大の難関であるビートルズにトライ、紆余曲折を経ながらも「金パロ」から「ホワイト・アルバム」まですべてUKパーロフォンのモノラル盤で手に入れた。
ビートルズで言うとちょうどアルバム「イエロー・サブマリン」からステレオ盤がメインの時代に入るので、ロックの世界におけるモノラルとステレオのチェンジオーバーは1968/1969年と見ていいだろう。クリームなら「ホイールズ・オブ・ファイアー」(1968)と「グッバイ」(1969)がモノラルとステレオの分かれ目というワケだ。だからレッド・ゼッペリンにモノラル盤が存在するなどとは夢にも思わなかったし、実際カタログに載っていたゼップのオリジナルLPにモノラル盤は無かったので、彼らのアルバムはすべてUKオリジナルのステレオ盤で手に入れて満足していた。
そんなある日のこと、ネットでたまたま目にしたゼップ関連の掲示板に彼らのアメリカにおけるデビュー・シングル「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ / コミュニケイション・ブレイクダウン」のUS盤はモノラルだという記述があり、raw power(生々しいパワー)とかoverwhelming sound(圧倒的な音)とかいう表現で絶賛されていたのだ。レッド・ゼッペリンにモノラル盤が存在するのか... ボンゾの爆裂ドラミングをモノラルの凄まじい音圧で浴びるように聴いてみたい!!! いてもたってもいられなくなって eBay で検索すると BUY IT NOW $3.00 という嘘のような値段で出ていたので即決。しかし “一体どんな凄い音が出てくるんやろ?” とワクワクドキドキしながら届いた盤をかけてみると “これのどこが overwhelming やねん???” と盤をブチ割りたくなるような薄っぺらい音だ。これは一体どーゆーことなのだろうか?
納得いかない私が上記のサイトでもう一度確認してみると、レーベルのデザイン表記が微妙に違う。私が買った盤のレーベル面右下部にはワーナー・コミュニケーションズの “Wロゴ” が表示されているのだが、それは1974年以降にリリースされた盤についているもので、ゼップに関しては右下に “1841 BROADWAY, NEW YORK, NY” という所在表示がある1968~1973年頃までの盤がアーリー・プレス。つまり私のは1970年代半ばにプレスされた再発盤だったというワケだ(→詳細はココ)。LPを買う時はレーベル面の画像を細かくチェックするのだが、シングル盤ということで油断していた私が甘かった。
しかしこの程度のことでめげる私ではない。今度は画像をしっかり確認してから正真正銘のファースト・プレス盤をゲット、シングル盤ということで人気がないのか無競争で$9.99 だった。盤が届き、はやる心を抑えながら “多分こっちの方が凄いやろな...” とあたりを付けて「コミュニケイション・ブレイクダウン」の方に針を落とすと、いきなり雷鳴のようなギター・リフの轟音が部屋中に響き渡り、ボンゾのバスドラが大地を揺るがす。まるでガレージ・パンクのような荒々しさだ。予想通り、いや予想以上に野太い音の塊がセンターからドドドーッと押し寄せてきて気持ちエエことこの上ない。
もう片面の「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」は押し出し感よりも立体感が重要なのでステレオ・ミックスの方が合っているように思うが、それでもイントロの バンバン♪ のド迫力にはブッ飛んだ。モノラルのガツン!とくるアナログ・サウンドでレッド・ゼッペリンを味わい尽くす... これってハマると結構病み付きになりますぜ(^_^.)
コミュニケイション・ブレイクダウン [モノラル]
グッド・タイムズ・バッド・タイムズ [モノラル]
しかし1990年代の半ばにジャズを聴き始め、行きつけのレコード屋で “50~60年代の古い音源はモノラルに限りますよ...” とブルーノートのオリジナル盤LPを聴かせてもらって私のモノラルに対する偏見は木端微塵に打ち砕かれた。目からウロコとはまさにこのことで、ステレオがなんぼのもんじゃいとばかりにスピーカーの中央に凝縮されたエネルギーがドーンと鉄砲水のように襲いかかってきて気持ちイイのなんの...(≧▽≦) 続いて聴かせてもらったペギー・リーやドリス・デイのような古いヴォーカル物も中音域の密度感がハンパない。これがきっかけで私は “ジャズやヴォーカル物のLPはモノラルのオリジ盤に限る” を信条とするようになった。
ジャズ関係で欲しい盤はほぼ手に入れて一息ついた2004年頃、 “ジャズでこれやったらひょっとしてロックやポップスも凄いんちゃうの?” と思いつき、手始めにeBayでプレスリーやロネッツといったオールディーズのモノラル盤を取って聴いてみるとこれがもうビックリするくらいの生々しさだ。すっかりモノラル教(?)信者と化した私は死力を尽くして最大の難関であるビートルズにトライ、紆余曲折を経ながらも「金パロ」から「ホワイト・アルバム」まですべてUKパーロフォンのモノラル盤で手に入れた。
ビートルズで言うとちょうどアルバム「イエロー・サブマリン」からステレオ盤がメインの時代に入るので、ロックの世界におけるモノラルとステレオのチェンジオーバーは1968/1969年と見ていいだろう。クリームなら「ホイールズ・オブ・ファイアー」(1968)と「グッバイ」(1969)がモノラルとステレオの分かれ目というワケだ。だからレッド・ゼッペリンにモノラル盤が存在するなどとは夢にも思わなかったし、実際カタログに載っていたゼップのオリジナルLPにモノラル盤は無かったので、彼らのアルバムはすべてUKオリジナルのステレオ盤で手に入れて満足していた。
そんなある日のこと、ネットでたまたま目にしたゼップ関連の掲示板に彼らのアメリカにおけるデビュー・シングル「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ / コミュニケイション・ブレイクダウン」のUS盤はモノラルだという記述があり、raw power(生々しいパワー)とかoverwhelming sound(圧倒的な音)とかいう表現で絶賛されていたのだ。レッド・ゼッペリンにモノラル盤が存在するのか... ボンゾの爆裂ドラミングをモノラルの凄まじい音圧で浴びるように聴いてみたい!!! いてもたってもいられなくなって eBay で検索すると BUY IT NOW $3.00 という嘘のような値段で出ていたので即決。しかし “一体どんな凄い音が出てくるんやろ?” とワクワクドキドキしながら届いた盤をかけてみると “これのどこが overwhelming やねん???” と盤をブチ割りたくなるような薄っぺらい音だ。これは一体どーゆーことなのだろうか?
納得いかない私が上記のサイトでもう一度確認してみると、レーベルのデザイン表記が微妙に違う。私が買った盤のレーベル面右下部にはワーナー・コミュニケーションズの “Wロゴ” が表示されているのだが、それは1974年以降にリリースされた盤についているもので、ゼップに関しては右下に “1841 BROADWAY, NEW YORK, NY” という所在表示がある1968~1973年頃までの盤がアーリー・プレス。つまり私のは1970年代半ばにプレスされた再発盤だったというワケだ(→詳細はココ)。LPを買う時はレーベル面の画像を細かくチェックするのだが、シングル盤ということで油断していた私が甘かった。
しかしこの程度のことでめげる私ではない。今度は画像をしっかり確認してから正真正銘のファースト・プレス盤をゲット、シングル盤ということで人気がないのか無競争で$9.99 だった。盤が届き、はやる心を抑えながら “多分こっちの方が凄いやろな...” とあたりを付けて「コミュニケイション・ブレイクダウン」の方に針を落とすと、いきなり雷鳴のようなギター・リフの轟音が部屋中に響き渡り、ボンゾのバスドラが大地を揺るがす。まるでガレージ・パンクのような荒々しさだ。予想通り、いや予想以上に野太い音の塊がセンターからドドドーッと押し寄せてきて気持ちエエことこの上ない。
もう片面の「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」は押し出し感よりも立体感が重要なのでステレオ・ミックスの方が合っているように思うが、それでもイントロの バンバン♪ のド迫力にはブッ飛んだ。モノラルのガツン!とくるアナログ・サウンドでレッド・ゼッペリンを味わい尽くす... これってハマると結構病み付きになりますぜ(^_^.)
コミュニケイション・ブレイクダウン [モノラル]
グッド・タイムズ・バッド・タイムズ [モノラル]
こんばんは。
モノ「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」聴きこみさせていただきまし。
この曲はやはり,ボンゾのバスドラの連打なんですよね。
当時,初っ端の曲が「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」には,ぶったまげたと思いますよ。
カウベル刻みながら,バスドラの連打。ボンゾははタコの手足かいと思えるほどの職人技。
今だったら,カウベルとかオーヴァーダヴで済ませますよね。
ビートルズは別。レコーディング技術の進化と同時進行しながら常に実験的にトラック数を増やし,音数を増やすことで,音の厚みや,聴き手の聴き込みによるあらたな発見を組み込んでいったから。
モノは明らかにステレオより,バスドラの刻みがよく聴こえています。
モノ・ヴァージョンを愉しんでいただけて何よりです。
アトランティック・レコードやゼップ(特にペイジ)の意図した音が聴けるのは
当然ステレオ・ヴァージョンなんでしょうけど
ボンゾのパワフルなバスドラ連打のド迫力はモノラルの方が上ですね。
てゆーか、ゼップのモノ・ヴァージョンはボンゾのプレイを聴くためにあると言い切っていいと思います。