
記事の要点は「ウクライナは韓国の同盟国でもないのに、なぜ当然の権利を行使するかのように兵器の請求書を突きつけるのだろうか」「ウクライナにとっては北朝鮮がロシアを助けるのが問題だが、韓国にとってはロシアが北朝鮮を助けるのが問題」「朝ロ密着を遮断することに外交的努力を集中するのが賢明」と、「兵器供与」でなく「外交」の重要性を主張したものです。その中に次のくだりがありました。
<ウクライナはロシアの侵略戦争を批判し、韓国に兵器支援を要請しながらも、韓国が被害を受けた日本の侵略戦争には無神経な歴史認識を示した。9月3日、駐日ウクライナ大使館はXに「セルギー・コルスンスキー大使が靖国神社に参拝し、祖国のために命を失った方々を追悼した」という文と写真を投稿した。靖国神社の参拝が日本の戦争犯罪を擁護する行為という批判が高まったことを受け、駐日ウクライナ大使館は翌日、この投稿を削除した。>(11月30日付ハンギョレ新聞、写真は削除されたコルスンスキー大使の靖国参拝写真=同紙より)
ウクライナ大使館が公式にXに投稿し(9月3日)、「批判が高まった」というのですから、日本のメディアは当然知っていたはず。にもかかわらず、(私が見た限り)報道しませんでした。政府が進めている「ウクライナ支援」に不都合な事実は(大きく)報道しない。メディアの劣化がここにも表れています。
ゼレンスキー政権が「日本の侵略戦争には無神経な歴史認識」しかもっていないことを示すのは今回の「靖国参拝」が初めてではありません。
ロシアの軍事侵攻から間もない2022年4月、ゼレンスキー政権は公式アカウントで、プーチン政権を「現代のファシズム」と非難する内容のツイッターを掲載しました。この中で、「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」として、ヒトラーとムソリーニと天皇裕仁の顔写真を並べて載せました。
これに日本政府(岸田政権)が抗議。ゼレンスキー政権は4月26日、裕仁の写真を削除しました。コルスンスキー駐日大使は25日のツイッターで「制作者の歴史認識不足。深くおわび申し上げます」と謝罪したのです(22年5月4日のブログ参照https://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20220504)
天皇裕仁をヒトラー、ムソリーニと並べて「ファシスト」と批判したことは正当です。にもかかわらず日本政府の抗議を受けて削除し、「歴史認識不足」として謝罪した。このことは、日本政府から支援を得る政治的思惑のためには「歴史認識」を公式に変更する(投げ捨てる)ことをも辞さないゼレンスキー政権の体質を示したものです。
駐日大使の「靖国参拝」もその延長線上にあったと思われます。ところが今回は逆に、「靖国参拝」が侵略戦争を美化するとの批判を受けてXを削除する事態になったわけです。
政治的思惑を優先して右往左往するゼレンスキー政権の「歴史認識」が問われます。