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石垣島で大豆を作る

2024-07-09 04:04:42 | 楽観農園


 石垣島で5回目の大豆栽培に挑戦している。過去4回一粒の大豆も収穫できていない。ともかく困難である。全く発芽しないと言うことが、3回もあった。今作っているのは、小田原で長年作っている、「小糸在来種」である。一番美味しい大豆だと思っているからだ。小糸在来は3回目である。

 小糸在来種は千葉県の地大豆である。小糸川流域でこの大豆の保存活動がある。何とか石垣島で作れれば、素晴らしいことだと思い、挑戦を繰り返している。大豆を何としても作るのは、自給食料の基本的な作物だと考えているからだ。味噌醤油は日本人の食の必需品だ。ご飯に美味しい味噌と醤油があれば、十分である。

 自給はまず、お米である。お米は基本であり、日本の気候で田んぼをやらない自給は考えにくい。そして麦。麺類やパン食はあった方が良い。田んぼの裏作で作るのが普通だが、石垣島では田んぼが一年中栽培出来るので、小麦は別に作ることになる。今のところ鳥対策ができないでいる。

 そして次は大豆である。石垣島でも味噌づくりや、島豆腐の伝統があり、大豆は作られてきた歴史がある。ただ、戦前は台湾から来る大豆がほとんどだったと聞いた。石垣島で作られていたのは、下大豆と呼ばれる品種である。これはつる性の原種的な性質を残した品種である。この品種で自給したのはすごいことだ。

 その後に続く作物は、さといも、ジャガイモ、玉ねぎ、サツマイモ、カボチャなどの保存が出来る野菜となる。試験栽培ではそれなりにできはじめているが、小田原に較べると収量はまだ半分にも満たない。薩摩や、カボチャが比較的良いかもしれない。

 石垣島で全く出来ないのが大豆である。石垣島で作られている地大豆は、下大豆と呼ばれた、つる性の大豆があるが、これはササゲや小豆に近い。収穫の手間が面倒で作る気になれないでいる。台湾では昔から木立姓のつる性ではない大豆が普通に作られているのだから、作れないはずがないのだ。

 小田原でも大豆栽培には苦労を重ねてきたのだが、栽培のノウハウはある程度は持っている。大豆は播種時期が重要になる。早く蒔きすぎるのは良くないというのだが、小田原でも早くしたり、遅くしたり試行錯誤である。今年は遅くすると言うので、7月7日になった。

 大豆はその土地によっては種時期が違う。日長時間の変化の影響が強い作物だからだ。その意味で、早く植えたならば、早くできるというようなことはない。遅く撒いても、遅くならない。適期を見付けて、撒くことが一番だ。その意味で、台湾の播種は3月始めだと言うから、石垣もその当たりと考えた方が良いだろう。

 7月7日は小田原で一般的に言われてきた日取りに、今年は戻ったと言うことになる。石垣島では3月をということになるが、練習の意味で、7月は種も試みてみたいと思っている。断根挿し木方式の苗作りである。これは以前小田原でやっていた方式である。

 石垣では鳥の害も多いので、苗を作り、挿し木をして、肥料のやれる状態で大豆を作るという方が良いかと思っている。問題は植え付け語の水遣りになる。水が不足すれば、活着が出来ない。その意味で田んぼの脇の畦は環境は良い。

 たんぼの畦で作ることが一番確実な栽培になっている。小田原永塚の大瀬さんの田んぼでは、例年畦で作っている。どこよりもよく大豆が出来ている。大豆はかなり水が多くなければ出来ない。そもそも発芽が出来ない。しかし多すぎれば種が腐る。その適正なところが、まだよく分らない。だから、苗を作り水のある場所に植え付けるのが良いことになる。

 今年は欠ノ上の4畝ほどの田んぼ一枚を大豆畑にした。これは昨年大豆にウイルス病が出たためである。あらためて、小糸在来種保存会から種を分けて貰い、従来の畑とは、距離を離して別に播種することにした。大豆の会では種を更新しようという考えでいる。上手く出来れば来年はその種を貰いたいと考えている。

 田んぼ跡であれば、水が必要なときに水を入れられるようにすることが出来る。たんぼの畦際を一周溝を掘った。溝にはいつも水があるくらいが良いという考えである。これで上手くゆくはずだが、どうなることだろう。田んぼは梅雨時と言うこともあり、かなり濡れていた。

 石垣の大豆は気候に合わせて、3月中に乾いた種まきをした。台湾で大豆は乾いていなければだめだという意見を聞いたからだ。これは水が不足して発芽が出来なかった。次に4月になって、やはりたんぼの畦に蒔いた。これは良くは継がした。

 株は大きく60から70㎝ぐらいまで育った。葉っぱもかなり大きな葉を沢山付けた。茎はそれ程太くは成らなかったが、まずまずの出来だった。花は最初からどんどん付けたのだが、なかなか実が止まらなかった。何と笠屋を膨らませて欲しい。前々回はそこで止まった。

 7月に入り、やっとさやを付け始めた。ここまで栽培できたのは、2回目である。前回は鞘は出来たが、実が入らないと言うことだった。大豆花水と言うぐらいだから、ここで水がなければ、実がつかないのだろう。毎日大豆とにらめっこである。

 大豆を蒔いたときには、それなりに堆肥を入れた。しっかりした株にするにはある程度土が肥えていなければだめだ。しかし肥料が多すぎれば、葉ばかり山のホトトギスになる。この兼ね合いが結構難しい。これを防げるのが、断根して葉を鳥刺し機をする方法である。小田原でも試行錯誤しているが、経験の無い石垣の土壌では極めて難しい。

 本当のところは、小糸在来種を石垣で作るのは、無理があるに違いない。台湾の大豆品種を手に入れたい。大勝白毛種というものをミカド種苗で販売していたが、今は生産されていないようだ。「ふくゆたか」と「きよみどり」と言う種を買って、これをこれから試験栽培をしてみる。

 今更この時期に撒いてもどうかとは思うのだが、何かやらずには居られない気持ちだ。もし上手くゆけば、来年は、断根挿し木方式で苗を作り、たんぼの畦をすべて大豆畑にするつもりだ。やはり畦くろまめが一番だ。一反の田んぼにお米を作り、畦には大豆を作る、これが小田原の農家の普通の姿だと聞いた。

 石垣の気候に合う品種を捜すことも重要だとは思うが、播種時期を適正に作ることが、まず最も大切なのだと思う。色々の時期にともかく撒いて失敗を重ねることも意味が無いわけではない。諦めたとき大豆が出来ないことになる。諦めなければいつか出来るはずだ。

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