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小泉首相の農業に対する考え方

2006-09-06 06:42:59 | あしがら農の会
小泉首相が農業に対してどのような考えを持ち、どんな方針でこの5年間改革を行ったのか、いまひとつわからないまま、在任期間を終えようとしている。農水省の存在自体が、BSEや鳥インフルエンザ、アメリカ産牛肉輸入と、起きた問題の処理に失敗して、目立ったような印象がある。しかし、この5年間、実は日本農業にとって深刻な状況が迫る、5年間だった。

規制緩和と能力主義を前面に掲げ、弱者切り捨ても止むなしとした、5年間で農業はどう変わったか。当然保護されてやっと息をついてきたような分野の代表である農業は、ついに息の根を止められたのが実態だ。その結果が食料自給率40%を切ると言う数字に表れている。実は農業切捨ての小泉首相と言われてきた。

攻めの農業が、小泉首相の方針だ。「安全で、美味しいのが日本の農産物。いい農産物を作って、外国にも売れ。日本の一個2000円のりんごが、中国でも売れている。」こんな事を発言している。5年で農産物輸出を倍増する、方針を打ち出していた。年間の輸出額は2800億円規模と言われているが、これを5年で6000億円~1兆円規模にする、というものです。食べ物の捉え方が、根本からおかしな人だった。

「建設帰農」も推進しようとした。農業の大規模化、合理化が進めば、競争力のある農業が生まれるというのが、基本的な構想だ。これが、現実離れした構想であることは、この5年間の実態を見れば明らかなことだ。1個2000円のりんごのような、特殊な回答では、農業全体は何も変わらない。農地法を手直しして、他分野から参入できるようにする事自体は良い。新農政では4ヘクタール以上の農家を補助してゆく方針だ。集落営農も推進し。20ヘクタール以上を支援するとしている。環境保全型農業の支援も打ち出してはいるが、これまた、地域全体で取り組む場合に限られている。

この結果どんなことが待っていたか。5年間更に、農地の放棄が進んだ現状を考えれば、他産業の人は農業に展望を持つことは無かった、と考えざる得ない。実は、日本の農業を支えているのは、経済でもなんでもない。農家のお年寄りの農業に対する思いなのだ。「俺が眼の黒いうちは、畑に草は生やさない。」と決意しているお年寄り達が、支えているのだ。
勤めに出ている息子さんは、むしろ迷惑顔で、日曜に機械仕事を手伝う。しかし、外の勤めも年々厳しくなる労働環境で、疲れきっているから、おばあちゃんの愚痴もそうそうは聞いていられない。

お年寄りが亡くなられる度に、放棄地が増えるのが、私の住む土地の現状だ。そこには2000円のりんごも無ければ、差別化などと別世界だ。小泉ライオンのむなしい遠吠えは、確かに農業分野にも格差を生み出した。2000円りんごの成功企業農家と。ただの家計の支出になる、困った農家だ。

何故こんな事になったかと言えば、食料が国の根本であることに気付かないからだ。攻めの農政とか言いながら、自給率がじりじり下がり、歯止めがかからない。競争原理では、食の問題は解決できない。食は経済原理で考えてはダメだ。

次の首相候補も、当然農業分野にも愛想を振りまく為に、何だかトンチンカンに、農業でも再チャレンジできるように。などと言っているので、期待は出来ない。農業について言えば、民主党農政はむしろ現実的だ。小沢氏が岩手の農業の実態を知っていることが、期待できる点かもしれない。

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