地場・旬・自給

ホームページ https://sasamura.sakura.ne.jp/

石垣島での農地確保方法

2021-08-23 03:55:11 | 「ちいさな田んぼのイネづくり」


 石垣島で農地探しをしている。耕作放棄地が沢山あると見えていたのだが、実は事情があって使えなくなっていると言うことが分かってきた。そのことは前回書いた。ではどうやって探せば良いかである。これを考えなければならない。

 先日5時過ぎに田んぼにいると、農業委員の方がみえた。遊休農地の確認をされているという。どなたからか聞いたようで、私が農地を探していることはすでにご存じだった。そしてこの上の遊休農地を借りたら良いと盛んに進める。もちろんそれが良いのだが、それができないで困っていると話した。

 それなら沖縄県の農業公社に相談に行けと、ポスターをくれた。農業委員会には3度相談に行っている。自分で解決しろと言うだけで、地主さんさえ教えてくれない。そこで法務局に行き、地主さんは自分で調べた。ところが、農業委員会では地主さんとの話し合いや調整などはしないと言うことだった。

 農業委員の人が言われるには、沖縄県の農業振興公社はそうした問題化した遊休農地を何とか農地に戻すための組織だから、そこに相談しろと言うことを教えてくれた。農業振興公社はこういう遊休農地の様々な困難を解決し、農家から公社が借りて、それを使う認定農家に貸し出す組織だというのだ。石垣市にも人が配属されているから、相談に乗ってくれるはずと言われた。

 早速、沖縄本島の公社に連絡をしてみた。驚くほど場違いな電話対応の感じだった。それは農業委員会に相談するべき事案で、公社はそうした問題化した農地の解決などしないと言うことだった。それでも、石垣市におられる出先機関の方を紹介はしてくれた。

 合同庁舎に連絡をしたがなかなか連絡がつかないので、合同庁舎の他の方に相談をした。その方によると、農業振興公社は地主さんとの交渉が成立している案件の、契約の間に入るだけで、土地貸借の交渉などしませんとはっきり言われてしまった。ここでもそういうことは農業委員会の仕事だと言うことだ。

 なるほど、農業委員会に振るだけのようだ。農業委員の方が言われていた、県の公社が遊休農地の解決に本気で乗り出すという話は、どこに行ったのだろう。こんなことだろうとは思っていたが、行政というものが、土地貸借にまったく頼りにならない姿を確認して終わった。

 石垣市の水田農地は遠からず危機的状況を迎える。そのことを真剣に考えている行政の人はどこかに居ないものだろうか。水田が無くなったところでかまわないと考えているのだろうか。あるいは、もう手の打ちようが無いと言うことなのだろうか。水田が無くなるなど考えても居ないのかもしれない。

 与那国島で水田耕作者が一気にいなくなったように、石垣島でも同様なことが起こる。まず、石垣島の環境と文化のためには稲作が無くなってはならないと言う、大前提を確認する必要がある。本島では稲作がほぼ無くなり、実に味気ない景色の島になってしまった。

 島の環境から水田が失われると言うことは、生物多様性の維持、赤土の流出の制御。水資源の確保。環境にとって水という大事なことが失われる。特に石垣島の伝統文化の根底にある稲作が失われてしまう。それでは豊年祭の意味も変わってしまうだろう。

 ラムサール条約では水田環境を湿地の一部としてとらえ、環境の多様性維持の重要な要件としている。稲作は人間の生活の営みが、自然環境の維持に繋がるという、循環型農業の形なのだ。人間の営みの永続性を示しているものが、水田農業なのだ。

 稲作を残すためには、経営という観点だけでは無理になってくる。大型の農業法人などが、大規模農業を行うことは望ましいことであるし、今後も継続されるだろう。しかし、大規模化が出来ない水田が放棄されてゆくことになる。こうしたの遊休農地の増加を防ぐことを今から計画しないとならない。

 そのためには市民の自給的農業である。市民が自分が食べるためであれば、経営を考えないで水田耕作が続けられる。この市民が行う農業は伝統農業の形であり、有機農業と言うことになる。ラムサール条約の意図する環境保全に繋がる水田農業である。

 行政には石垣島の水田が待っている危機的状況の認識が不足している。水田が無く成るとしても、それは行政のかんがえることでも、仕事ではないと考えているようだ。要するに、土地を借りるためもは自分で探さなければならないと言うことになる。

 回りくどかったが、石垣島で土地探しは自分自身でやるほか無いと言うことだ。と言うことは新規就農者がそれをやるのは極めて難しいことになる。先日農業法人から独立される人が、土地の貸借の希望を新聞広告していた。果たして借りられたであろうか。

 一般に農業法人に一定期間勤めていれば、独立するときに新規就農の農地は見付けてくれるというのが普通なのでは無いだろうか。自分で見付けなければ、成らないのだとすると、石垣島は遊休農地が多そうに見えてそうでもないと言うことになるが。

 石垣島に来て、3年目である。私の人間関係で農地を探すことはまず不可能である。そこで今考えているのは、稲作のための農地を購入してしまうことである。ただし、新参者の私が農地を購入することは、さらに借りる以上に難しい。

 そこで第3の方法を考えている。それは今のところブログでは書けない。上手く行けば書きたいと思う。書いてしまえば、実現できなくなりそうだからである。あと10年、何とか石垣島で農業を続けたいと考えている。半年前までは考えても居なかったことである。

 田んぼが好きだし、田んぼをやりながら絵を描くと言うことが、自分にはあっているようだ。動ける間は田んぼをやりきりたい。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第70回 水彩画 日曜展示 | トップ | アフガニスタンはタリバンが... »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yaeko)
2021-08-23 16:15:56
農業をしている笹村さんのブログがこれからも読みたいです
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

「ちいさな田んぼのイネづくり」」カテゴリの最新記事