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小田原欠ノ上の田んぼ

2022-07-01 04:16:22 | 「ちいさな田んぼのイネづくり」
 小田原の欠ノ上の田んぼ田植え一ヶ月後の写真である。今年は余りに美しい田んぼなので、写真を沢山撮った。おおよそ9葉期10分ゲツの状態。どの田んぼも良く管理されている。今年は梅雨明けが早かったから、生育はさらに良くなると思う。畝取りがかなり期待できる。

 こうなると心配になるのが、倒伏である。田んぼの地面を固めながら管理しないと倒れると思われる。田んぼはぜんぶで20枚ある。それぞれに担当者がいて、管理をしている。水管理は東さんが完璧にやられている。畦の水漏れや畦の低くなったところは26日に直した。

 石垣に帰る日の早朝、田んぼに見に行ったらば、2組もコロガシに見えていた。太田さんが草取りをされていたから、早速9番田んぼの草取りに入った。成田に行くのは9時半だから、充分時間があった。その9時半に成田に行く車の中から田んぼを見たら、児玉さんと思われる人が見えていた。

 こうして、農作業が出来るのは喜びである。私の幸運だと思う。いつまで続けられるか分からないが、一日でも長く続けられるように身体をととのえて行きたい。これから時代が変わる。時代が変わる中で、たぶん田んぼの活動の意味合いも変化するのだろう。

 あしがら農の会の活動は日本全国どこでも可能なものだ。もう30年も継続されている活動になる。石垣島でも同様の活動を始めている。参加費1万円で120㎏のお米が貰える。技術さえあれば、どこでも誰でも可能なものだ。良い仲間が出来て楽しい活動だ。

 何故日本中で始まらないかと言えば、少しも儲かる人がいない活動だからではないかと想像している。多くの人が何かをやる動機は経済的な意味が大きい。それで生計を立てようと考えるのだ。農の会の活動を農家が経営として始める事は難しい。

 では農の会の活動はボランティア活動かというと、それも違う。山林や耕作放棄地を奉仕活動で整備するというのとも違う。自分が食べる農作物を自給のために作るという生産でもあるのだ。しかもかかった費用を参加者で均等に負担するということが基本である。

 誰かが儲かるわけではないので、事業として始める人がいない。また、ボランティア活動だというのでもないから、これまた始める人がいないのかもしれない。しかも農地を利用する活動だから、農業者でなければ始めることが難しい。本当は、あしがら農の会のようなNPOであれば農地の利用は可能なのだが。

 これからの時代に、どこにでも、誰にでも必要な活動だと思う。始めたいという人がいたら、是非とも協力したいぐらいだ。今ならまだ間に合う。田んぼは水路が壊れれば、出来なくなる。市民が使うような、中山間地の道路も十分にはないような田んぼは、すでに水が来なくなってしまった田んぼは多い。

 石垣島では牧場を棚田に変えるところから始めた。これはさすがに難しいことだろう。今ならまだ、復田が可能な田んぼは全国至る所にあるはずだ。2反ぐらいの田んぼが見つかれば、10家族をフェースブックやホームページで集めて、活動を始めればいい。必ずやりたいという人はいる。

 農の会の活動は、人間らしい活動だ。誰もが公平で、人のことを思いやる活動になる。この人間関係が現代社会で失われてしまったものだ。稲作社会というものはそうした協働社会を生み出したものだ。これが苦手になったのが現代人なのだろう。しかし、競争社会の中で、協働社会を経験することは良いことだと思う。

 協働社会の気持ちの良さである。江戸時代の搾取されていたという農民の暮らしが、意外に良い面もある暮らしであったことが分かると思う。日本人と言うものが形成されたのはこの稲作の中で生まれたのだと思う。自然に従い、大きく損なうことなく、暮らしを織り込んで行く。

 その意味では武士や商人は日本人の少数派だ。9割を占めた百姓が日本人らしい日本人なのだ。確かに明治期の日本人は武士的なあるいは商人的な日本人だと思い込んでいた。ところが、戦後社会に一番活躍したのは、稲作農家出身の日本人である。

 そして、稲作農家が少数派になり、ほぼ消えたときに日本の競争力も失われたわけだ。昔から言われたように、資源のない日本では人間が資源だ。資源となり得る日本人は、稲作で培われた日本人だった。稲作が必要とした協働の社会だ。

 日本列島は豊かな場所である。ここでもう一度やり直す気になれば、再生できる。そのためには田んぼの活動をやってみることだ。みんなでやることが難しい人は、まず一人で始める。一人で出来るようになったならば、まわりの人といっしょにやる。いつでも始めることは出来る。




















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