地場・旬・自給

ホームページ https://sasamura.sakura.ne.jp/

ひろい草についてと石垣島田んぼの経過報告

2021-08-13 04:43:42 | 「ちいさな田んぼのイネづくり」

 田んぼに出てきているイトミミズ。写真が下手で分からない。

 コメントでひろい草についての意見があった。確かにひろい草という言葉を使っている。深く考えもせずやっていることを言葉にしたものだ。確かに草取りでは無い。田んぼでやっているのひろい草という感覚がある。草を的にせずと言うよう無いことではない。

 田んぼの雑草は一本も無いことが良いに決まっている。雑草を取らない稲作法というものも、あるようだが、雑草が増えれば収量は減少する。もし雑草を取らないで、お米がとれるのであれば、世界中の稲作がそうなっているはずだ。誰があれほど辛い草取りをするはずもない。

 ひろい草という言葉を夏の田んぼの草取りに使うようになったのは、ソバカス抑草の結果である。ソバカスでうまく草を抑える事ができれば、夏の草取りは、拾うぐらいで済ませると言うことである。いくらか残っている草を拾い歩く。

 だから、これは雑草を敵とせず、と言うよりも雑草は一本残らず取り去るという意味を含んでいる。いずれにしても、夏の田の草取りが余りに辛い作業なので、気持ちを楽にする意味で、ひろい草という言葉にした。この言葉に気をとめてくれた人が居たことは嬉しい。



 ところが、石垣島に来て少し考えが変わった。田植え2週間で草がまるで出ない。ジャンボタニシが食べてくれている。当然イネも食べることは食べた。しかし、5葉期で植える大苗作りの田植えでは、ジャンボタニシは外になるほどの食害をしない。

 これは以前から小田原で観察した結果予想していたことだ。ジャンボタニシなど大苗イネ作りにすれば心配いらないと散々主張してきた。稚苗田植えが問題なだけだ。大苗では機械化でき無いと考える人も居るかもしれないが、稲葉式であれば、大苗田植えで20ヘクタールも有機農業で耕作している人が居る。

 しっかりした苗を作る技術がますます求められる。苗作りがますます、イネ作りの決め手になる。今回石垣島というまったく違う環境で、有機農法による苗代での苗栽培をやってみた。田んぼは一枚一枚違うと言うが、小田原での環境と、石垣島での環境の違いは、大きな違いである。

 小田原で学んできた苗作り法が、石垣島でも通用することは分かった。今回は慣行農法の一期作が終わった直後に、緊急に苗床の準備をして、促成的に苗床を作った。その田んぼで収穫されたお米を播種した。完全な有機農法とは言えない、経過段階のイネ作りである。



 ここまでの手順のあらましを改めて整理してみる。
5月16日 田んぼが借りられることが決まる。
6月19日 田んぼの参加者を決める。今回は勉強会とするので自由参加。
6月20日 周辺の整備 草刈り、水の取り入れ口の整備など。苗代を作る。苗代部分の荒起こし。畦作り。1メートル幅。長さ20メートル。
6月27日 牛糞堆肥13袋。肥料撒き田んぼ水入れ。苗代と畦作り、ぼかし肥料を3袋苗代に入れる。2キロの種籾を川に漬ける。
7月4日  苗床の種まき。1メートルに100グラム。20メートルで2キロ。蒔いたならば、防鳥ネット張り。
7月11日 水牛による田んぼの代掻き。
7月18日 水牛による田んぼの代掻き
7月25日 水牛による田んぼの均し。
7月30日 苗取り 10名参加
8月1日  田植え。 30名参加。午前中でほぼ終わる。
8月2日  以降一週間ジャンボタニシ拾い。30分を10時4時を毎日。
8月10日 10日目でやっとイネ活着、早朝朝露が宿る。
8月15日 米ぬか7袋まいて、コロガシをかける。

 こうしてみると、田んぼが借りられることが決まって、まだ3ヶ月と言うことなのだ。この3ヶ月で、ジャンボタニシ対策が見えてきたと言うだけでも、大きな成果である。

 ジャンボタニシ対策は、大苗を2本植えにする。2本とも食べられることは無い。田んぼの畦際に田んぼを一周する溝を掘る。タニシは水のある場所に集まる。畦際に集まるようにしておき拾ってしまう。これは田んぼを渇かすときにも有効である。

 石垣島の田んぼではこの間2回のの台風が通過した。比較的小さい台風で風速30メートル程度である。台風で分かったことは土が風下から風上に打ち寄せられると言うこと。苗床はしっかり囲っておかなかったために、泥で埋まってしまった。

 田植え後3,4日目に、2回目の台風が通過して、かなり倒された。随分揺すられてしまい、分ゲツが10日目でも出ない。10日目にやっと活着したぐらいである。ただし、比較的良かったのは2本植えの部分である。風の強い地域では1本植えは難しいという結果である。

 ジャンボタニシの食害が怖いと言うことで、田植え後の米ぬか蒔きが、2週間後8月15日の米ぬか撒きになった。米ぬかを撒いて、それからコロガシに入ることにした。

 生育はいいとは言えない。この暑さの中、ひとめぼれを作ると言うことが無理なのだと思う。2期作を作るとすれば、2期作目に向いている品種で無ければ、十分には出来ないと言うことも、この段階で分かってきた。これは予想していたことである。

 ひろい草から田んぼのことになったが、石垣島の田んぼではひろい草は無理だ。ジャンボタニシが完全に雑草を食べてしまう。今のところ、地表の出た、田んぼ周囲にヒエが生えてきている。これを食べるか観察のために残してある。地表に出てきたヒエは食べない。

 コロガシが終わった頃から徐々に水位を上げて行くつもりだ。これで畦際のヒエが無くなるのかどうか。楽しみである。

 田んぼの鳥追いの凧は、棹を本格的な釣り竿に換えた方が良い。風速30メートルを超えた風でも、釣り竿がうまく風をかわして、凧がちぎれ手トンで言ってしまうようなことが無かった。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大野将平選手と喜友名亮選手... | トップ | 石垣島の農地貸借について »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
教えて頂きまして誠にありがとうございました。 (自然大好き)
2021-08-15 15:19:54
この度は大変お忙しい所、初心者でも大変分かりやすく教えて頂きまして、誠にありがとうございました。また興味のあった『緑肥』について詳しく書かれた、ソバカス抑草の記事も併せて拝読させて頂きました。

気持ちを楽にするためだったのですね。
でも発想が日本人的で、ますますこの言葉が好きになりました。

私はまだ初心者なので、この夏は畝に草を刈り敷いて「雑草も緑肥になるのか!」と得意になっていたばかりだったので「やはり無農薬で稲作することは簡単なことではなく、本当にご苦労が多い事なのだな。」と改めて大変さを思い知りました。

昨年、東京ではコロナになってすぐ、マスクやトイレットペーパーがお店の棚から一気になくなり、それと同時にいつも買わない人が、買いだめ分も含めた『お米』を買いに走り、殺伐としたセールの争奪戦さながら。こちらも棚から消えた日が続きました。

そんな昨秋、いちご農家の友人から思いがけずお米2キロを新米で頂いた時の、なんともいえず心が温かくなった事が忘れられず、食べ物が作れることは素晴らしいと、自分でもまずは野菜からと畑を始めました。

昨今の激しい天候の最中に大変な思いをして作ってくださる方がいるからこそ、大好きなお米を頂けるのだなと、改めて感謝して頂きたいと存じます。
そして近い将来、私もお米作りの経験をしてみたいと思いました。

大変な天気が続いておりますが、どうか笹村様もご自愛のほどお過ごしくださいませ。
この度は本当にありがとうございました。
これからも拝読させてくださいませ。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

「ちいさな田んぼのイネづくり」」カテゴリの最新記事