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韓国の金魚飼育と人間のレベルの高さ

2023-10-14 04:33:07 | 身辺雑記


 ユーチューブを夜中に目が覚めてしまうと見ている。金魚に関するものは好きなので見る。江戸錦が好きで小田原にいた頃は飼ったことがある。頭に瘤の出る金魚は飼ったことの無い人には、不気味に見えるのかも知れない。趣味というものはおかしな物で、あの奇形のような瘤の形が良いの悪いのと、おもしろがるわけだ。

 金魚は背びれのない、頭に瘤の出る系統は弱いものが多くて、なかなか飼育が難しい。それで今は飼えないでいる。世田谷学園で教えていた頃、生徒の中に家が養魚場の生徒が居た。教えてもらいに行って良いかと頼んで、金魚のことを色々教えてもらった。何度も通ったことがある。

 ユーチューブの番組で「えみこのおうち」と言うものがある。金魚の病気の先端医療のようなものを試みている人の番組を見ている。実に興味深く金魚の医療を見せてもらっている。なるほどそういう治療をするのかと勉強になる。と言っても金魚をこれから飼えるとは思えないので残念なのだが。

 韓国に在住の日本人の方なのだ。元外科の看護師さんだったそうだ。ご主人は韓国の方である。このユーチューブを見て、韓国の魚の医療レベルが極めて高いと言うことが分かった。今では様々な分野で日本は遅れがちの国になっている。と言うことに気付かされる。

 日本の稲作技術は間違いなく世界一であったが、残念ながら今は大分遅れた国になっている。国が食料生産に力を入れなくなったからだ。気候が熱くなる変動に対応できる品種の作出が遅れている。熱帯夜が続く中、良いお米を実らせる品種の作出がない。だから沖縄でひとめぼれが奨励品種なのだ。

 そう金魚の話であった。韓国の魚の専門家が実に親切である事に驚いてしまった。韓国人とは長年付き合いがあるのだが、こんなにも金魚に対して親切であるということに、感激をしてしまった。金魚のような趣味の産物に本気になれる民族は素晴らしい。

 こうした姿勢から新しい医療技術が生まれる。日本の魚関係の医療関係者に、金魚に対してこれほど本気な人は居ないのではないかと思う。日本は直接的にお金になること以外は、力を費やしてはならないという、世知辛い社会になってしまったのだ。韓国がうらやましい。

 このユーチューブの主人公は、「ゆきちゃん」というホワイトローズテールオランダ獅子頭の成魚の話だ。見たところでは3年魚くらいではないだろうか。17㎝はあるので、価格を付ければ最高級の金魚に成るはずだ。金魚屋さんで、死にかかっているゆきちゃんにヒトメボレして、ただで譲ってもらうことになる。

 死にかかっている金魚はまず助かることはない。一度松かさ病になるとか、浮き袋の不調で浮かび上がれなくなるなどしたら、まずこうした病気に極端に弱い高級金魚は回復できない。だから、金魚屋さんも一週間も持たないけど良いか。と言うことでただでくれることになったのだ。病気にかかっているから外の魚に感染させる可能性も高い。

 その病気の金魚をそれはあらゆる手を尽くして、ついに回復させるユーチューブ番組なのだ。現在100日飼育を越えたところである。週に一回ぐらい他らしい番組月食らえるから、どうなるどうなるでついつい、100日間の経過を見てしまった。

 まさか誰も100日生きているとは思えなかっただろう。この飼い主の助けたいという必死の思いと、ゆきちゃんの何としても生きるという気持ちが画面から伝わってくる。ゆきちゃんは病気ではあるが、意識がはっきりしていて、強い気持ちがある金魚である。

 この番組でともかく驚いたことが韓国人の獣医師の方々の、優しさと親切心である。韓国と言う国を刮目してしまった。日本人は韓国を見習わなくてはならないと、改めて思った。韓国というとつい、従軍慰安婦問題というような対立構造だけに意識が行ってしまうが、不幸なことである。

 しかし、韓国にこれほどに金魚を大切に考える文化があるということがすごい。日本では失われて無くなった文化である。考えるだけでも残念なことであるが、日本の江戸時代には金魚を創り上げる文化があったのだ。金魚の王サマランチュウは江戸時代の日本でその元が作出された。

 もちろん金魚は中国で発見された赤いフナが始まりである。それが日本に伝わり、江戸時代一大金魚飼育のブームが起こる。様々な変異株が作られ、肉流を頭に乗せる系統が登場する。津軽ランチュウとか大阪ランチュウとか、江戸ランチュウもある。

 毛沢東はこの金魚趣味を禁止した。麻雀も囲碁も禁止をした。あまりに中国人が趣味に没頭して、働かないと見えたのだろう。独裁政治の人間の見方は実に狭い。禁止しても中国人は金魚を飼い続けていた。今は中国から来る金魚のすごさに驚かされる。

 江戸時代は停滞社会である。変らないことを社会が求めた。ご先祖様の生き方を踏襲する。お家大事である。しかし、その停滞社会で花開いたものが、趣味の世界である。盆栽や日本鶏.そして金魚や錦鯉。中国から伝わった文化が江戸時代の日本で独特の開花をする。殿様まで金魚や日本鶏に熱中したのだ。

 米作りでも同じである。ご先祖と同じ田んぼで、百年一日のごとくイネ作りを行うことが尊ばれる。その結果類い希ないいね作りの技術が作り上げられる。お米は主食でありながら、信仰の対象にも成る。お米を粗末にしたら罰が当たると子供の頃は普通に言われたものだ。

 人間が本気になるという事が一番重要である。韓国の魚のお医者さんが無償で病気のゆきちゃんを助けようと、本気で対応している姿ほど尊い姿はない。その行為ほど崇高なものはない。こうした気持ちがある以上韓国はよりよい国になるに違いない。

 ゆきちゃんのユーチューブを見ながら、残念な日本を考えざる得なかった。鶏を飼っていた頃の、養鶏場を取り締まる家畜保健所の獣医師の態度のひどさを思い出す。鶏に命があると考えていないかのようだった。病気成れば淘汰すればそれで良いと言うだけだった。翻って金魚一匹の命に、本気で対応できる韓国の獣医師の方々の素晴らしさを痛感する。

 この半世紀で日本が失ったものを考える。ゆきちゃんの命を救おうと必死になっているのも日本人の女性である。たしかに、そうした優しい日本人は沢山居る。それは以前よりも多いかも知れない。ところが、日本という集団になると、金魚などかまってられないという、拝金主義者になる。

 ここのところを、つまり人間というものは何が大事なのかを、よく考えなければ日本の停滞は続いて行くはずだ。お金のことが先に来るようでは、文化というものは育たない。文化が育たなければ、国の繁栄もない。日本はどこに向かうのかをもう一度考え直すときだ。

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