あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

秩父ジオパーク歴史道 武甲の里山歩き 六番峠から風の道(埼玉)

2012-09-24 23:23:53 | ウオーキング
 2012年9月22日(土)

 秩父ジオパーク歴史の道シリーズ「武甲の里山を歩く」の第3回として計画された、
「六番峠から風の道」ウオーキングに参加した。


 集合は西武秩父線の横瀬(よこぜ)駅。NPO秩父まるごと博物館の中谷理事長の
挨拶と、コース設定をした山里探訪会代表の飯野さんからコース説明があり、参加者
39人は10時2分に出発した。

 駅前から東北へ、横瀬町役場の横から国道299号に合する旧道に出ると、国道際
に「齋」と記された土蔵が見える。

 創業者が京都で神官をしていて御神酒造りに励み、清酒「武泉」の酒造所だった斉
藤酒造のもの。埼玉県でいちばん小さな醸造所だったという。

 国道に出て町民会館の横を北に入り、横瀬町歴史民俗資料館に行き、学芸員から説
明を聞く。


 展示ホールには、武甲山御嶽神社の宮殿複製、近くの和田河原で打ち上げた花火な
どが展示されている。


 常設展示室には、武甲山をめぐる自然や、町内で出土した土器や石器、農林業に使
われた用具などが展示され、特別展示室には、秩父三十四観音霊場に関する展示が並
んでいた。

 入口前の植え込みには、武甲山に生育する植物16種が移植されていて、中には絶
滅危惧種に指定されているブコウマメザクラ、チチブヒョウタンボクなど貴重なもの
も見られる。


 里道をS字状に北東に向かう。横瀬川の新田橋からは、白山淵と呼ぶ流れが見下ろ
せ、北岸の断崖には断層が見られた。


 このあたりには江戸時代、直径6mの大水車が回り、80本もの杵(きね)が動い
て、火薬製造をしていたという。

 橋の先にはウオーターパークシロヤマと呼ぶ小公園があり、小さな白山神社が祭ら
れている。

 「今市」と呼ぶ屋号の町田家の先祖が、加賀の国鶴来(つるぎ)の白山神社を勧請
(かんじょう)したもの。流れの断崖上には東屋(あずまや)も設けられていた。

 さらに北へ、寺坂を上がると、道路いの畑に秋ソバが花盛り。その先の斜面一帯は
「寺坂の棚田」と呼ばれ、黄金色に色づいた棚田が広がり、ヒガンバナもチラホラと
咲き出している。


 寺坂の棚田は、約5㏊の斜面に350枚の棚田があり、2001年に寺坂棚田学校
が開校され、放置されていた休耕田を古代米を植える試みを中心に復活させ、2003
年からは棚田オーナー制度も取り入れているという。


 久しぶりに収穫直前の黄金田と、はさ掛けの並ぶ棚田の素晴らしい景観を眺めるこ
とが出来た。青米と呼ぶ古代米の田↓もある。


 南面には、山頂を雲に隠された武甲山(1304m)がそびえ立ち、山ろくの三菱
マテリアルの工場群も望まれる。


 新田橋の近くまで下り、秩父札所巡礼道の立て札に従い、T字路を南東に向かう。
苅米(かりごめ)橋を渡ったあたりからも、ソバ畑の向こうに武甲山が望まれた。


 次の古山橋の先の左手は、武甲山から聖観音を移して祭った、札所六番荻の堂卜雲
寺(ぼくうんじ)跡だというが、現在は2軒の民家があり、その面影は全く感じられ
ない。

 秩父札所七番法長寺入口先の交差点を東へ。そばの桑畑にキバナコスモスが花盛り。


 すぐ先の畑の中に、風変わりな社殿がみえる。畑の横を回って行くと、その社殿の
横には「矩(さしがね)稲荷」とも呼ばれる花井稲荷神社の小さな社もあった。


 さしがねとは、大工の使う直角に曲がった金属製物差し。大工が稲荷様に差し金を
奉納して大工事の完成祈願をして以来、お金や金属類を紛失した際、早く見つかるよ
うに祈願する信仰が広まったとか。

 さらに東進すると六番沢沿いとなり、ブドウ畑の上の高台にある六番札所卜雲寺に
向かう。

 寺の上がり口に、元禄15(1702)年銘の巡礼石が立ち、坂の途中には、元文
2(1737)年創立の「ねがい地蔵」が祭られている。


 石段を上がって12時10分に境内に入り、本堂西側の東屋周辺で昼食をする。


 石段上に宝暦12(1762)年造立の↑聖観世音菩薩石像が立ち、近くには平成
2(1990)年の午歳(うまどし)総開帳記念事業で、翌年建立した六地蔵尊が並ぶ。

 高台にあるので、南に武甲山の全容が望まれる。階段横には、ゴマギが赤い実を付
けていた。



 13時に出発して午後の行程へ。ブドウ畑の横から六番沢に沿って北東の斜面に向
かう。刈米マスつり場を過ぎると山道となる。


 沢沿いの広葉樹林の中を進み、枕木のような木の段も上がり、少しずつ高度を上げ
る。沢を横切って右折したあたりには、山神社と呼ばれる小さい石のほこらがあった。


 ところどころで小休止して、列詰めをする。

 東に向かってさらに緩やかに上がり、幾つか流れを横切る。下に流れを見下ろした
りしながら進み、尾根筋を簡易舗装路が走る六番峠に上がった。

 眼前のイノブタ養殖小屋や、谷を隔てて望まれる↓二子山などを眺めながら休憩する。


 休憩後、植物に詳しいIさんが途中で採集してきた木の葉や野草などの名を、たく
さん紹介してくれる。


 北へ100mほどで簡易舗装路と分かれ、シイタケのほだ木の並ぶ横から気持ちよ
い緑陰の斜面を進んだが、右折したあたりから道が不明瞭になった。


 しばらく進んだが違うようだと分かり、シイタケのところまで戻り、往復1時間近
くの時間のロスとなった。

 シイタケの間の針葉樹林の中の道が正しく、その道を進んでイノシシ除けのネット
の張られたゲートを過ぎると間もなく、5戸ほどの家が並ぶ開けたところに出た。こ
こからも、山頂を雲に隠された武甲山の展望がよい。


 「小峠ぶどう園]と記された山菜や野菜の無人販売用の小屋の横から、「風の道」と
呼ぶ南に下る山道に入る。

尾根筋を下るので、確かに風の通りは感じられる。道は昨日の雨でやや抜かっており、
ストックを使って滑らぬように下る。

 広葉樹林帯を出てススキの咲き出した一角を通過し、二反沢を渡った。V字状に折り
返して少し上がって行くと、露座の大仏座像の鎮座する広場に出た。

 「源寿院埼玉別院芦ヶ久保大観音」と呼ばれるもので、そばに法要などに利用される
らしい建物がある。


 コスモスの咲き競う広場からは、武甲山や芦ヶ久保駅周辺の家並み、周辺の山並みな
どが一望できる。


 芦ヶ久保の集落に向かって車道を下る途中、三方の辻と呼ばれる三差路際に十一面観
音堂があった。

 もとは精進堂と呼ばれ、年4、5回決められた日に若者が集まり、日常生活から離れ
て心身を清め神仏に祈る「お精進」と呼ぶ行事が行われたという。

 国道299号近くまで下ったところには茂林寺があり、船乗(ふなのり)観音と呼ぶ
安永8(1779)年銘の聖観音像や、閻魔大王の木座像がガラス窓越しに拝観できる。

 ここで主催者の挨拶があり解散となる


 国道に出れば駅は近い。ヒャクニチソウの咲き並ぶ横を通り、横瀬川の橋を渡って、
対岸の高みにある西武秩父線の芦ヶ久保駅には、16時32分に着いた。

(天気 曇、距離  ㎞、地図(1/2.5万) 秩父、正丸峠、歩行地 横瀬町、歩数
 16,100)

【追記】寺坂の棚田では今週末の9月29日(土)に、「寺坂棚田彼岸花祭り」が開催さ
 れます。下のリーフレットのように彼岸花が見頃になるかは分からませんが、黄金色
 の水田の彩りはよいと思われます。
     

       


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