あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

山里探訪講座へ(埼玉・所沢)

2011-12-22 18:24:55 | 所沢だより
 2011年12月15日(木)

 所沢市緑町の新所沢公民館で開催された、「第4回山里探訪講座」に参加しました。

 この講座は、市内にお住まいでもと秩父の高校で長い間地理の教師をされていた、飯
野頼治さんが代表になっている山里探訪会の主催で、秩父や所沢周辺の歴史と地理に関
する講座を、年何回か開催しているのです。

 今回は、前半を「山里の記憶 秩父の冬」というテーマで黒沢和義さんが、後半は
「埼玉の坂東(ばんどう)札所」について飯野頼治さんが講演されました。

 「山里の記憶 秩父の冬」の講師、黒沢和義さんは飯野さんの教え子で、現在は都内
にお住まいのようですが、ご出身は秩父観音霊場第31番札所の観音院に近い、秩父郡
小鹿野町とのことです。

 黒沢さんの話は、秩父の山里に暮らす人たちが、正月を控えてどのような伝統行事を
しているのかについて、下の資料のパソコン画像を投影しながら話されました。



 山に囲まれた秩父盆地では、古くから農業や養蚕などに関わりのある伝統行事が残っ
ていましたが、農業従事者の減少と高齢化に伴い、それらの行事が急速に消えているよ
うです。

 それを惜しむ黒沢さんは、いまも伝統行事を残すお宅を訪ねて、その様子を子細に聞
き出して絵に描いて記録し、後世に伝えようとしておられるのです。

 今回お話しされた行事は、吊し柿作り、しゃくし菜漬、栃もち作り、もちつき、お正
月飾り、手打ちうどん、小正月の繭玉飾り、小正月のハナつくり、といったものですが、
私が中学卒業まで住んでいた、外秩父ともいうべき比企郡小川町で当時行われていた行
事と同じようなものが多く、大変興味深い話ばかりでした。

 黒沢さんは、このような秩父に残る伝統行事について、すでに100件近い記録を残
しており、それらをまとめた下のような冊子を刊行されています。



 それぞれに、秩父に残る「味の話」と「技の話」あわせて35ずつが記録されていて、
講座での話のほかに例えば、わさび漬けづくり、ずりあげうどん、タラの芽栽培、川の
りを食べる、石垣積み、竹カゴを編む、紙すきの話、棚田を守るなどがあります。

 現在も、このような伝統行事を伝承されている人を探しては、訪ねて記録し描かれて
おられるとのことで、200の作品作りを目標にしているとか。秩父にお住まいの70
歳以上の方で、このような古くからのしきたりなどを継承される方が居られたら紹介し
て下さいともいわれました。

 後半、飯野さんの「埼玉の秩父札所」では、まず、平安時代に成立した西国33観音
をはじめとして、坂東33観音、秩父33観音(のち34観音)をあわせて日本百観音
巡りが生まれ、四国88ヶ所を加えた「百八十八ヶ所」順礼旅が庶民の夢となったこと
に触れられました。



 次に、坂東札所の特色として、一巡すると山岳、海、古都、大都会、地方都市、農村、
山村など、すべての旅の要素が詰まっていたこと、秩父札所と比べて名刹、大寺である
こと、武藏、相模なえど八州にわたる苦行の旅だったことが述べられました。

 また坂東札所は、相模と武蔵の霊場(1番杉本寺~14番弘明寺)を巡る小回りコー
スと、上州~房州の霊場(15番長谷寺~33番那古寺)を巡る大回りの二重構造だっ
たと考えられること、正式な順礼コースはなかったのではないか、などの話がありました。

 さらに、飯野さんが平成16年(2004)6月から平成22年(2010)6月ま
で、52日間かけて約1170㎞を歩いて巡った行程が紹介されました。

 最後に、埼玉県内にある坂東札所である、9番慈光寺(ときがわ町)、10番正法寺
(東松山市)、11番安楽寺(吉見町)、12番慈恩寺(さいたま市岩槻区)について
の概略や歴史などのお話があり、この講座を終えました。

 私も坂東札所については、色々なウオーキングの途中で何か所か巡っていますが、機
会をつくって一巡してみたいなと考えながら会場を後にしました。



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コメント
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