あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

関東百駅巡礼歩行 JR水郡線 谷河原駅(茨城)

2009-06-16 15:49:28 | 関東百駅巡礼歩行
 2009年6月13日(土)



 関東地方の、ふだんは降りる機会の少ない駅を訪ねる、「関東百駅巡
礼歩行」の第56回に参加した。

 集合はJR水郡(すいぐん)線の谷河原(やがわら)駅、片側だけのホー
ムの両側は、緑濃い田んぼが一面に広がる。ホームで記念撮影をして、
10時15分に出発した。


 駅の北側は谷河原町集落の東端、まず、そばの西光寺に入る。

 山門に「親鸞聖人御旧跡二十四輩二十四番本跡」の看板がある。境
内の庭木はよく整えられ、大石の上に、親鸞上人像が立っていた。

 寺の横から、台地に向かって緩やかに上がる。路傍に「馬力神」と記
された石碑が並ぶ。ほかではあまりみたことのないもの。


 三差路を左折して西に向かい、集落の中を少しずつ下る。格子状に木
を組んだ板張りの壁面を持つ家が多く、これもこの地方特有の造りか。
大谷石造りの土蔵も幾つか見かけた。

 集落を見下ろす高台に、杉、ケヤキ、カシなど豊富な樹林に囲まれた
元白羽神社があった。

 しめ縄は、二つの縄を真ん中で結んであり、初めて見るもの。その土
地だけにあるものを見つけるのも、百駅の楽しみの一つである。

 集落の西端で田園地帯に下り、自然堤防に草の伸びた渋江川沿いに
進む。シロツメクサがたくさん咲き、チョウが何組か舞う。田んぼの稲は
しっかり根づき、一面緑の広がりが気持ちよい。


 猪ノ手集落に入って再び台地上に出て、アジサイの咲く集落を進む。
山菜のようなものを干しているのが見えた。聞いてみたら、素昆布だ
という。道理で、甘酸っぱい香りが漂っていたのだ。


 正午のチャイムを聞きながら、県道61号際にある坂東三十三観音
霊場第二十二番札所の佐竹寺に着いた。

 寛和元年(985)、花山天皇の勅願により開山されたと伝えられる
古寺。古い仁王の立つ山門をくぐると、正面に重厚なかやぶき寄せ棟
づくりの大きな本堂がある。

 天文15年(1546)、佐竹義昭により再建されたもので、火頭窓(か
とうまど)や柱、組み物など桃山時代建築の先駆として注目されるもの
という。国の重要文化財である。

 柱や扉などに数えきれぬほどの千社札が貼られ、あんな高いところに
もと思われるところにもある。

 参拝後、本堂背後の板張りに腰を下ろし、昼食にした。

 山門前から北に回り、黒米を無人販売する家の横から天神林町集落へ。
集落の南側、芝草の細道沿いに、廃屋になった民家が数戸あった。

 集落の北側に、「山寺の水道」の説明板があり、「この地方は水に恵ま
れなかったため、徳川光圀公が命じて、約2㎞の水道を施行したが、約
300前に一部トンネル式水路にした工法は、類例のない特色である」
などと記されていた。

 この水道は、現在も近隣の農家で利用されているようだ。


 近くに小さい神社があり、その鳥居には太い丸太を使っているが、木の
皮をはいだだけで加工せずに組んだ、そぼくな造りだった。

 宮ヶ作の小集落からは、緑の林と田んぼが見晴らせ、気持ちよい展望。


 田んぼの北に上がった草地に、「久昌寺遺跡」の石碑と、説明板がある。

 徳川光圀公が生母の菩提寺として、水戸から移した久昌寺の跡で、北
関東における日蓮宗の法城だったという。現在の久昌寺には、この後訪
ねた。

 近くの標識に従い、西山荘に向かうことにしたら、すぐ先に岩をくり抜い
た道があった。

 頭がつかえそうな岩穴のトンネルを抜け、その先は竹林などの林間を
上がる。

 峠を越え、そばの十字路を北に向かい、杉などの繁った谷間を下って、
西山荘の入口に出た。

 水戸黄門で知られる徳川光圀が、元禄4年(1691)から晩年の10年
間、隠居所とした遺跡。光圀公は、ここで大日本史の編さんをするかた
わら、領民にも接し、いろいろな事業もすすめたという。

 モミジや梅、下草には笹など、緑がいっぱいの広い敷地内に、かやぶ
き平屋の質素な建物が3、4棟あり、心字池と呼ぶ池をめぐらしている。
各々のかやぶき屋根の上には、ショウブが並んでいた。

 梅園の間の遊歩道を進んだ「西山の里 桃源」の菖蒲池は、ちょうど花
菖蒲が見ごろ。車で来た人も多く、花にカメラを向けていた。

 桃源の駐車場の少し先から、南への坂道を西山公園に上がる。桜など
の植栽が多く、光圀公の遺徳をしのんで建立されたという義公廟付近か
らは、こずえ越しに常陸太田の市街が望まれる。


 廟の前から急階段を下り、そばの久昌寺へ。コンクリート造りのどっしり
した本堂。鐘楼付近からは、やはり市街地の眺めがよい。


 予定の列車に間に合うようにと先を急ぎ、眼下の太田二高を半周して
源氏川沿いに下る。そばの橋を渡り、左岸沿いの遊歩道へ。アシの伸び
た川原でヨシキリが鳴く。

 運動公園の対岸まで進み、国土交通省の建物の横で県道に出て、15
時5分、JR水郡線の枝線の終点、常陸太田駅に着いた。

(参加 4人、天気 曇後晴、距離 9㎞、地図(1/2.5万) 常陸太田、歩行
 地 常陸太田市)
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