転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



今年のセンター試験の英語で、expansionのsの発音を問う問題があって
正解は[sh](=近い音でカタカナにするなら「イクスパン『シ』ョン」)で無声音なのだが
(国際音声記号は外字なので、ここでの表記は[sh]にしておく)、
私の周囲ではこれを、[zh](=「イクスパン『ジ』ョン」)のように
有声音で発音する日本人が少なくとも3人はいる。
私自身はこれを[sh]以外で発音するという発想がなく、
最初のひとりに出会ったときには、まだ動揺しなかったのだが、
2人目、3人目と続けざまに遭遇してからは、
自分のほうが間違っていたかと心許なくなって、辞書を引いたものだった。
直前の[n]の影響で[tsh]となるなら異音としてまだしもわかるが、
それにしてもこれは有声音には、なり得ないような……(汗)。

昨日のセンター試験の英語について、今、ちょっと検索してみたところ、
expansionのsが無声とは思っていなかった、
という感想が、ブログ等の記事にはやはりあったので、
きっと世の中全体としても、これを有声音として発音して来られた方々は
それなりにあるのだろう。
ということはセンター英語は、
試験問題としてはなかなか良いところをツいていたわけか(^_^;。

しかしこの件とは別に、私は先日、何か他の子音、多分、摩擦音が
アメリカ人によって、どうも有声化しかかったような微妙な音で発音されるのを
耳にしたことがあった。
「え、それ、その音で発音する…!?」
とそのとき私は瞬間的に引っかかり、次に、
ひょっとしてこれはexpansionのsみたいなもの?という連想をした。

例えば日本語の「ら抜き言葉」のように、
最初は一部で起こったイレギュラーな音変化だったものが、
時間とともに広まって、一定の範囲で共有されるようになる、
という現象は、言語を観察していると随所で見られるものだ。
言語は常に変化している。
話し手の使用習慣は、いつの時代も変わり続けるものだからだ。

近年の英語音声学の分野で論文や講演記録を探したら、
誰か無声子音の有声化に注目している人が見つからないかしら、
と、私は昔とったキツネヅカ(笑)的なことを思ってみたのだが、
そもそも私の耳についたネイティブのあれは、一体、何の子音だったか。
残念ながら、メモを取っていなかったので、今となっては全く思い出せない。
まあ、全般的な傾向といえるほどのものがあるのなら、
そのうちまたどこかで遭遇するだろうが……。

忘れないために、無声摩擦音の有声化傾向?という私の仮説(笑)だけ、
ここにこうして書き留めておく。

(余談だがあの「次の語群から、下線部の発音が異なる語をひとつ選べ」という形式は、
大昔の英検でよくあったが、センター試験ではまだ生き残っているんですね(^_^;。)

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