ずっと通販で買っている化粧品が何点かある。
肌の調子が良くない時は、内容を変更してもらうために時々電話をかける。
このメーカーはオペレーターの教育が行き届いており、人柄が良い。
たくさんいるらしいけど、誰が出ても「心から対応している」という姿勢が
ありありとわかる。
先日も電話をして、ついでに他のシリーズについて質問した。
「そうですね~…みりこん様は敏感肌でいらっしゃいますので
やはり従来のもののほうがよろしいかと思います」
「あ~、そうですか~。
ツラの皮は厚いのに、肌だけ敏感というのがねぇ!
いつもワガママ言って、ごめんなさいねぇ」
一瞬の沈黙…そして
「そんなことはございません…
あの…みりこん様、お声が優しくて、控えめで温かい雰囲気が
お電話からも伝わってまいります…
ツラの皮が厚いだなんて、そんな…」
ものすごく一生懸命…むしろあわてている。
「あら、やっぱり?」と言えるわけもなく
おほほ…と笑ってごまかすしかない。
聞き流してもらえない相手に向かって、自虐ネタを口にしてはいけないのだ。
また善良な人を苦しめてしまった。
自責の念にかられる私であった。
昨日は、毎年恒例の春の行事、サングラスを買いに行った。
春は風や陽射しが目にしみて涙が出やすいので、サングラスは必需品だ。
化粧が取れるからだ。
毎朝丹念にこしらえる仮面を
涙の一滴や二滴で台無しにしてなるものかっ!
昨シーズンは、息子のはからいで偏光グラスを使っていた。
釣り道具屋で買うのだ。
太陽光の反射が無いので、川の中の石ひとつひとつまではっきり見えて面白い。
でも機能優先のためにレンズの色が濃くて、とっても人相が悪く見える。
若い知人の店に行き、地味なデザインで薄い色のレンズを探すことにした。
しかし今年は、さりげない自然な感じのものが少ない。
年々増してゆく紫外線と黄砂から
年寄りこそ目を守らなければいけないというのに
若者しか出来ないサングラスが増えてもらっては困るのだ。
「みりこんさん、やっぱり今主流の大ぶりなのがいいと思うよ」
プラスチック素材で、大きな黒いレンズの派手なデザインだ。
戦時中の空軍みたいなのや、昔のナントカ組の姐さんみたいなやつなら
いっぱい並んでいる。
「え~!私、似合わないわよ~!
すごく意地悪そうに見えるもんね」
この手のサングラスは、白く小さい顔のために存在すると私は思っている。
インパクトの強いサングラスであればあるほど
強調されてしまう鼻と口、フェイスラインは
すっきりと格好良くなければならない…
そしてはずしたら、そこには美しい目があって当然でなければならない…
着る物だって、それなりでないといけない…。
若けりゃ勢いでなんとかなるし
「若気のいたり」で片付けてもらえる可能性もあるが
中高年の無理とちぐはぐは社会悪…とすら思っている。
つまり田舎に住むカタギのオバサンには、難易度の高いものなのだ。
「そんなことないよ~、絶対似合うよ~」
と言われたのに気をよくして
「元々意地の悪いのが、さらに強調されるのよ~」
黙ってりゃいいのに、そんなことを言いながらかけてみる。
やはり一瞬の沈黙を経て、知人とそばにいた店員は同時につぶやいた。
「…ほんとだ…」
付近に気まずい雰囲気が漂う。
これじゃまるで、タチの悪いトムキャット(知っとるけ~?)
加齢でたるみ、くすんでいる分
根性の悪さといやらしさがにじみ出ているではないか。
“ふられ気分でRock’n Roll”どころか
“たるみ気分でRock’n Roll”歌っちゃうぞ。
20代の彼らは、まだ人間が練れていないのだ。
見たもの、感じたものがストレートに出る。
ひととし取ってくると、その気持ちをおし隠して誠意で対応する技能というか
思いやりが身についてくるのであろう。
人は…いやオバサンは、その誠意に対して金銭を支払うのかもしれない。
もちろん、サングラスは買わずに帰宅した。
沈黙は金なり。
肌の調子が良くない時は、内容を変更してもらうために時々電話をかける。
このメーカーはオペレーターの教育が行き届いており、人柄が良い。
たくさんいるらしいけど、誰が出ても「心から対応している」という姿勢が
ありありとわかる。
先日も電話をして、ついでに他のシリーズについて質問した。
「そうですね~…みりこん様は敏感肌でいらっしゃいますので
やはり従来のもののほうがよろしいかと思います」
「あ~、そうですか~。
ツラの皮は厚いのに、肌だけ敏感というのがねぇ!
いつもワガママ言って、ごめんなさいねぇ」
一瞬の沈黙…そして
「そんなことはございません…
あの…みりこん様、お声が優しくて、控えめで温かい雰囲気が
お電話からも伝わってまいります…
ツラの皮が厚いだなんて、そんな…」
ものすごく一生懸命…むしろあわてている。
「あら、やっぱり?」と言えるわけもなく
おほほ…と笑ってごまかすしかない。
聞き流してもらえない相手に向かって、自虐ネタを口にしてはいけないのだ。
また善良な人を苦しめてしまった。
自責の念にかられる私であった。
昨日は、毎年恒例の春の行事、サングラスを買いに行った。
春は風や陽射しが目にしみて涙が出やすいので、サングラスは必需品だ。
化粧が取れるからだ。
毎朝丹念にこしらえる仮面を
涙の一滴や二滴で台無しにしてなるものかっ!
昨シーズンは、息子のはからいで偏光グラスを使っていた。
釣り道具屋で買うのだ。
太陽光の反射が無いので、川の中の石ひとつひとつまではっきり見えて面白い。
でも機能優先のためにレンズの色が濃くて、とっても人相が悪く見える。
若い知人の店に行き、地味なデザインで薄い色のレンズを探すことにした。
しかし今年は、さりげない自然な感じのものが少ない。
年々増してゆく紫外線と黄砂から
年寄りこそ目を守らなければいけないというのに
若者しか出来ないサングラスが増えてもらっては困るのだ。
「みりこんさん、やっぱり今主流の大ぶりなのがいいと思うよ」
プラスチック素材で、大きな黒いレンズの派手なデザインだ。
戦時中の空軍みたいなのや、昔のナントカ組の姐さんみたいなやつなら
いっぱい並んでいる。
「え~!私、似合わないわよ~!
すごく意地悪そうに見えるもんね」
この手のサングラスは、白く小さい顔のために存在すると私は思っている。
インパクトの強いサングラスであればあるほど
強調されてしまう鼻と口、フェイスラインは
すっきりと格好良くなければならない…
そしてはずしたら、そこには美しい目があって当然でなければならない…
着る物だって、それなりでないといけない…。
若けりゃ勢いでなんとかなるし
「若気のいたり」で片付けてもらえる可能性もあるが
中高年の無理とちぐはぐは社会悪…とすら思っている。
つまり田舎に住むカタギのオバサンには、難易度の高いものなのだ。
「そんなことないよ~、絶対似合うよ~」
と言われたのに気をよくして
「元々意地の悪いのが、さらに強調されるのよ~」
黙ってりゃいいのに、そんなことを言いながらかけてみる。
やはり一瞬の沈黙を経て、知人とそばにいた店員は同時につぶやいた。
「…ほんとだ…」
付近に気まずい雰囲気が漂う。
これじゃまるで、タチの悪いトムキャット(知っとるけ~?)
加齢でたるみ、くすんでいる分
根性の悪さといやらしさがにじみ出ているではないか。
“ふられ気分でRock’n Roll”どころか
“たるみ気分でRock’n Roll”歌っちゃうぞ。
20代の彼らは、まだ人間が練れていないのだ。
見たもの、感じたものがストレートに出る。
ひととし取ってくると、その気持ちをおし隠して誠意で対応する技能というか
思いやりが身についてくるのであろう。
人は…いやオバサンは、その誠意に対して金銭を支払うのかもしれない。
もちろん、サングラスは買わずに帰宅した。
沈黙は金なり。