殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

うつくし村

2009年06月29日 10時36分41秒 | みりこんぐらし
うつくし村…

それは遠く離れた場所にあるあこがれの村…。

その村の永住権欲しさに、これまでどれほどの努力を重ねてきたであろう…。


へんてこ村・字・中年地区から、年寄り地区へ

じりじりと追いやられつつある私にとって

中でも美容室という施設は、化粧品と同様

安近短で夢が見られる希望の園である。


長い人生、実にさまざまな美容室に通った。

つまり、あこがれのうつくし村を夢見ては美容室を変え

その数だけ失望してきたといえよう。


しかし、そのサロンに行かなくなる理由…

それは必ずしも美への夢破れて…が原因というだけではない。

「行くたびにナンか品物を勧めるので面倒になった」

「先に帰った客の噂で盛り上がる」

「美容師の美意識が強すぎ、客は作品扱いで緊張する」

「店の人間関係が悪く、重い空気にくたびれる」

「うっかり者の美容師に、トイレのドアを開けられた」

などの、ごく些細なこともある。


トイレは“現場”を見られたわけではないが

鍵が壊れたのを放置した上、ノックの習慣もないという怠慢により

技術及び人間性も推して知るべし…の判断からである。

そんなヤツに金を払うこたぁないんじゃ。

女性は繊細なんじゃ。


私の頭が、重度の絶壁という呪われし形状ゆえ

毎回そのことを指摘され…というのもあった。

身長不足の新弟子じゃあるまいし

他人のためにシリコン注入なんぞするわけにはいかない。


一カ所、気に入って長いこと通っていた所もあった。

決してうまいわけではない。

それでも、彼女の穏やかな性格と

店の人たちが仲良しで楽しそうな雰囲気が好きだった。

癒やしも重要な項目である。


やがて彼女は、かなり年上の男性と結婚した。

私はこのご主人が苦手だった。

近くでやはり商売をしているご主人は、自分の手が空くと店にやって来る。


くどいシャツ、派手な指輪、色のついたメガネ…

小さい犬を抱いて店の椅子に座り、飽かず晩婚の新妻を眺める。

それは勝手にやってくれ…。

しかし必然的に、妻の延長線上に位置する私まで

しげしげと眺められる羽目になるのよ。

耐えられなかったのよぉ~…。


今の美容室は、友達が勧めてくれた。

おっさん(本人談)が一人でやっている完全予約の店だ。

店の者同士の仲や連携を心配することがない。

看板を出していないところや、シンプルなたたずまいも好ましい。


元々男性美容師は苦手なほうなのだが、そこは大丈夫だった。

慣れるまでの1~2年は、完全に個性を消して接客してくれたので

“男性”というより“人間”として認識できたからだ。


年齢が近く、ものの考え方が

どちらかといえば右寄りなところに安心感がある。

皇室をあがめ、武士道を好む私もかなりの右寄りだ。

政治経済(とある党の悪口)や世界情勢(とある国の悪口)について

熱く語り合ううちに、カットとヘアカラーは終わってしまう。


客単価を上げる目的で、あれこれしたがる…ということも絶対に無い。

これは以前、腕が良くて感性の合う、好きだった美容室でのこと。

そこのご主人が勤務先をリストラされた途端

特殊なカラーリングだの、特別なトリートメントだの…を勧めるようになり

辟易した経験がある。

投資には目をつぶるが、なにしろ時間がかかる。


ここでは毎回、一期一会の真剣勝負。

しかし緊張感はなく、むしろユルい。

そこでやっとこさ「うつくし村」…と言いたいが

たやすく転居できない素材なのは、自分が一番よく知っている。

それでも高度なカット技術により

頭の面倒をみる時間が大幅に短縮されたのは、画期的大進歩である。


ドライヤーや整髪料でこねくり回さずとも

寝起きの時点ですでに落ち着いているので、その時間を顔に費やせる。

千里先のうつくし村へ、20メートルほど余分に近づける気がするのだ。


実はこのおっさん(本人談)

以前、パリかどっかへ修行に行ったのを噂で聞いて知っている。

本人が言わないので、私も聞かない。


聞いたってどうせ「行っただけ」とか

「髪質が違うからあんまり…」とか、うそぶくに決まっている。

普通なら、3日行っただけでも「パリ帰り」とガラスに書きそうなもんだ。

何かっちゅうと「パリでは…」と言いそうなもんだ。

決して舞台裏を明かさない…そういう所も右寄りのような気がする。


唯一の難点は、始末に負えなくなり早々に駆け込むという事態が起きないので

放っておけばいつまでも行かないため

なかなか“上客”という自己満足を得られないことであろうか。


皆さんはどんな美容室がお好みなのか、知りたいところである。
コメント (14)
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