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VS老人の心構え・1

2024年09月26日 08時49分38秒 | みりこん流

同居する姑と実家の母、二人の老人を抱える私は

このところ頭が老人モードになっているため

老人ネタが続いている。

興味の無いかたには、申し訳ない限りだが

コメント欄でちぃやんさんが

この場を「お悩み相談室」と言ってくださったのに気を良くして

またまた老人ネタをお話しさせていただきたい。

 

語弊の嵐になりそうだが、これを語弊と捉えることができる人は

おそらく老人との戦闘を免れたか、軽傷で済んだ人だ。

心からお祝いを申し上げたい。

本当におめでとう!

で、免れることのできない人には

せめて私流の心構えをお話ししておきたい。

 

『親孝行は死語』

さてご存知のように、世は長寿ブーム。

太古の昔から、人類がこれほど長生きする時代は無かった。

そのため長生きの老人は高貴な珍種としてチヤホヤともてはやされ

88の米寿まで生きようものなら、やんやの喝采。

それがどうよ、今や90才超えが当たり前になっている。

 

何才まで生きようと、彼らの自由だ。

しかし彼らの長寿によって、犠牲者が出現するのは紛れもない事実。

我々、子世代のことである。

 

今の老人は

老人がこんなに長生きしない時代に生まれ育った。

そのため彼らは、老人とは敬うべきものであり

親孝行は美徳だという常識の中で生活し

我々子世代も、その教えを鵜呑みにしてきた。

だから親の方は、自分が敬われるべき存在と信じて疑わないし

子供の方も、親孝行という美徳を遂行するのが人の道と信じて疑わない。

 

しかしここに来て、昔とは違うところが出てきたではないか。

昔の老人は、老人でいられる期間が短かく

周囲から大切にされるうち、早々に亡くなるのが当たり前だった。

そのため子世代は、親孝行と称して親に尽くすのが当たり前だった。

大事な親の先が短いと思えば、何でも一生懸命できるものだ。

 

が、今の老人にはゴールがなかなか訪れなくなった。

つまり老人期間が長い。

それでも子供の方は古くからの慣習通り

親孝行の三文字に縛られて親に尽くそうとするので

肉体的、精神的な負担は長期間に渡る。

ここに現代の不幸があるのではなかろうか。

 

そう、不幸だ。

親が90才前後なら、子供の方だって還暦前後。

衰えつつある体力と相談しながら

これからが自分の人生だと希望を抱く年代であるにもかかわらず

いつの間にか

親からアゴで使われる丁稚(でっち)に成り下がっている。

自分の生活を犠牲にして、ひたすら老人のために生きる長い年月は

はっきり不幸と呼んでいいと思う。

 

おかしいではないか。

親が長生きをするのは喜ばしくも幸せなことであるはずが

不幸とは。

この不幸は親と子、双方の認識が

時代遅れであることから生じるのではなかろうか…

私にはそう思えてならない。

 

親は、自分がこんなに長生きをするとは思っていなかったので

超高齢者になった自分を想像していなかった。

加齢や病気によって日常生活が次第に困難になっていく情けなさ…

大切な人が自分より先に次々といなくなる寂しさ…

誰かの手を借りなければ生きられない不安…

これら負の感情にさいなまれながら

いつ終わるとも知れぬ日々を送る羽目になるなんて

考えてもみなかっただろう。

 

子の方も、親がこんなに長生きをするとは思っていなかったので

親が超高齢者になった時の自分を想像していなかった。

「いつまでも長生きして欲しい」と願いながらも

親に翻弄されて世話に明け暮れる日々が早く終わるように願う矛盾に

身を引き裂かれる思いをするなんて、考えもしなかっただろう。

 

私は常々思うのだが、親孝行という美徳は

親への奉仕が短期間であることを前提に作られたものではないのか。

こうも長引くようになると、美徳どころじゃない。

子世代にとっては、ほぼ地獄だ。

 

思うに今の惨状は、親世代の生育環境も関係しているようだ。

戦前、戦中、戦後と物の無い時代に

国から生めよ増やせよと言われてバンバン生まれた彼らは

とにかく人数が多い。

 

だから個性を尊重するなんて騒ぎではなく

ひたすら周りの人間と比較される教育方針で育てられた。

「あのお兄さん、お姉さんのようになりなさい」

「隣の誰々ちゃんを見習いなさい」

こうして見本を提示しておけば

子供はその人物に憧れ、同じようになろうと頑張るため

親や指導者としては楽で、扱いやすくなるからである。

 

そんな彼らが大きくなると、日本はいきなり好景気で豊かになる。

しかし、幼い頃から染みついた比較主義は変わらない。

今度は自分たちが憧れられ、敬われる番だ。

何を躊躇することがあろう。

 

比較教育は負けず嫌いを育てる。

それは戦後の復興や経済成長に効果的だったが

弊害として、足るを知らぬ人間に仕上がりやすい。

いつも目を皿のようにして足りない物を探し続け

何とかしてそれを補充しなければ気が済まない性質になるのだ。

負けず嫌い=ワガママの図である。

 

その人たちが年を取ったらどうなるか。

加齢によって理性が薄れると、ワガママだけが全面に出てくる。

頭と身体が劣化してもワガママを通したいとなると

どうしても人の手を借りなければならない。

人の手とは、身近にいる自分の子供である。

そんな人たちに10年も20年も振り回される子世代は

たまったもんじゃない。

 

親と子のお互いが、前代未聞の世界でもがいている…

それが今の現実。

親世代は未知の世界に足を踏み入れて戸惑っているだろうが

我々子世代もまた、未知の人類と対峙して戸惑っている。

このような背景を理解しなければ

老人との対戦は五里霧中のまま、過酷になるばかりだ。

 

親を大切にする日本人の心は、尊く美しい。

やがて自分も行く道だと思えば、無下にもできない。

しかし長生きが普通になった親の方も

親孝行の慣習に甘えず、たまには子孝行でもしたらどうだ…

そう思わずにはいられない。

 

時には黙って子供の言うことに従ったり

時には愚痴を封印して、自分がいかに恵まれているかを考えたり

衰えた頭では難しいかもしれないが

それだけでも子供の気持ちは楽になるものだ。

親世代が無理ならば、せめて我々は

子供を苦しめない年寄りになりたいものである。

《続く》


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8 コメント

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Unknown (田舎爺S)
2024-09-26 09:52:46
子孝行、なるほどですね。
あっさりと旅立ってくれた親には感謝です。
子供の頃からの思い出が忘れられません。
老いては子に従え、て、真理ですね。
返信する
Unknown (みりこん〜田舎爺Sさんへ)
2024-09-26 15:45:48
あっさりと旅立てるって、私も憧れます。
早過ぎても困りますが、あんまり晩節を汚さず
そこそこのところでサヨナラできれば
残された者には美しい思い出が残ります。
田舎爺Sさんにも、素敵な思い出が
おありでしょうね。
懐かしく思い出してもらえるって、生きている人にも
亡くなった人にも良いらしいです。

老いては子に従ってもらいたいですわ。
従いたくない人ばっかり残っちゃって
どうなるんでしょ笑
返信する
Unknown (まえこ)
2024-09-26 18:03:27
老害多いですもんね。
スーパーなどでカスハラするのも老人が多いそうです。
キレる系はもちろん、厄介なのが「教えてあげる」系
面倒くさいらしいですよ。

私が年寄りになって 
カスハラしたいと思っても
その頃は色々法律とか整備されてて
カスハラなんて出来なくなってるんでしょうね、、、
返信する
Unknown (みりこん〜まえこさんへ)
2024-09-26 20:07:31
老害、本当に多いです。
そう言われるようになったら、おしまいですね。

年を取ると気が短くなるからキレる系は多いですけど
教えてあげる系!笑は面倒くさそうですね。
何とかして自分に価値を見出したいのかな〜。

まえこさん、年寄りになってカスハラしたいの?
すごく可愛いんだけど!
そうですね〜、すぐ逮捕とか強制入院させられる
世の中になっているかもしれませんね。
返信する
Unknown (まえこ)
2024-09-26 22:48:42
あッ、、、私もマイルド老害に片足踏み入れてます

教えてあげる系老害は
サラリーマン時代にパワハラとかやってて
退職、再雇用も終えて、
イビるターゲットがいないから
スーパーにカスハラへ、、、
という流れらしいです。

循環している。

山に芝刈りにいってほしいワ
返信する
Unknown (みりこん〜まえこさんへ)
2024-09-27 07:58:21
マイルド老害!ヒャハハ!
面白い!

あ〜、パワハラの成れの果てなんですね。
ターゲットがいないと生きられない人、いますよ。
商売をしたことがない人の中には
お金を払う側の方が偉いと勘違いしてる
クチもいますから、スーパーの店員さんも
いい迷惑ですね。

そうよ、山で芝刈りでもしてりゃいいのよ。
頑張ったらマツタケがたくさん生えるように
なると思います。
返信する
Unknown (ちぃやん)
2024-09-27 18:33:28
今回みりこんさんの書かれていることが、声に出せずにいたことばかりで、心にピシピシ響きました

定年後の人生が30年も続くとは思っていなかった親、年金支給年齢が65歳に繰り下がった子、私が働き始めた頃には思いもしなかったことです

長生きが決して悪いことではないはずです

しかし、自分の機嫌は周囲がも盛り上げてくれるものと信じて疑わないとしか思えない発言や自分を過信したような行動をみていると、いつまでも自分のありのままを受け入れられないままの長生きは、本人も周囲も不幸にするんです

私もマイルド老害を意識するお年頃になりました
ここを訪れ、マイルドレベルを維持できるようお勉強したいと思います
返信する
Unknown (みりこん〜ちぃやんさんへ)
2024-09-27 20:47:17
私を含め親の面倒を見ている人は
声に出せないことが増えていきますね。
それを言っちゃおうと思いました。
響いてくださって、ありがとうございます。

あるある〜!
自分の機嫌を周囲に取らせて、自分は何もしないの笑
過信もあるある〜!
その過信している分を結局は人にやらせて
自分がやったと、また勘違い。
現実の自分を認められず、勘違いしたまま
いたずらに長生きするって
本人も周囲も不幸にします。

老害もマイルドにいきたいものですね。
私も一緒に勉強させていただきます。
返信する

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