『私の名前はおふじ…家族の皆さんから、そう呼ばれています』
先日、隣のおじさんのお別れ会があった。
この２月、義父アツシの葬式の晩に急死した９２才のおじさんだ。
おじさん一家は、この辺りでは珍しいクリスチャン。
遺体はすぐに隣の市にある教会に運ばれ、そのまま荼毘に付された。
故人が密葬を希望していたという話だが、うちの葬式があったばかりなので
気を使って連チャンをはばかったのかもしれなかった。
密葬は終えたものの、社長に会頭、理事に参与、相談役…
全てに「元」がつくが、おじさんの肩書きはたくさんあり
密葬では収まりがつかない状況になっていた。
同じ頃、亡くなったおじさんが息子さんの夢枕に立って、こう言ったという。
「やっぱり賑やかな方が良かった」
そういえば親父は賑やかなことが好きだった…
息子さんは思い出し、何人かの人に相談した。
そこで各方面の有志が発起人となり、お別れ会を行う運びとなったので
近隣住民である我々も出席することにした。
当日、近所のおばさん２人と義母ヨシコを車に乗せ、４人で会場に赴く。
お別れ会ではおじさんの息子を始め、有志代表と友人代表
合計３人の挨拶があったが
３人とも口を揃えて強調したのは、おじさんの強運だ。
その強運で戦争を生き抜き、出世し、重病からも生還したと言う。
強運話のラストを飾るのは、決まって昨年の事件。
昨年の節分の日、家の前の川へ車ごとダイブし
車は大破したが本人は無傷だった逸話である。
３人はこの出来事をそれぞれに表現した。
「神のご加護」「天が救った」「まだ生きるカードが残されていた」
聞きながら、私はひそかにつぶやく。
「おじさんを救ったのは奥寺君よ！」
奥寺君は水回りの修理屋さんだ。
家のどこかが壊れると、すぐに飛んで来てくれる。
優しくて頼りになる３０代のイケメンだ。
あのダイブ事件の日、彼は我が家のバスタブを交換していた。
奥寺君が外に停めた車へ道具を取りに出たのと
おじさんがアクセルとブレーキを踏み間違えて川へ落ちたのは
ほぼ同時だった。
顔も美しいが心も美しく、その上身も軽い奥寺君は
きつい傾斜をスルスルと降りて、頭から川へ突っ込んでいる車にたどり着き
おじさんを運転席から後部座席へと移動させた。
運転席に座ったままだと、浸水して溺れるからだ。
奥寺君は危険をかえりみず、レスキュー隊が来るまでおじさんのそばに居た。
彼の功績が無視されて、何となく腹立たしい私であった。
とはいえ、超高齢ドライバーだったおじさん。
その危険な運転ぶりから、いずれ車で事件を起こすのは明らかだった。
他人を事故に巻き込まずに済んだのだから、おじさんはやはり強運の人と言えよう。
さて、１１時に始まったお別れ会が終わるとお昼どき。
「せっかくおめかしをして出て来たから、このまま帰りたくない」
ヨシコと、同行した８２才と７７才のおばさん２人が言うので
どこかで食事をすることになった。
後期高齢者との外食は、何を食べるかよりも、まず椅子席が第一条件。
たいてい足に問題を抱えており、座敷に座るのは困難だからである。
そこで全席椅子保証の洋食屋へ予約を入れる。
私の地元の子がやっている店だ。
その日のランチコースは、桜鯛とイベリコ豚。
しかしヨシコは牛がいいと言うので、ステーキに変えてもらう。
おばさんＡは入れ歯の都合で硬い物は食べられないと言うので
柔らかいメニューを別に作ってもらう。
おばさんＢはご飯が硬いと言うので、パンも出してもらう。
その後も「店が狭い」「内装が白だから目が疲れる」
「前に娘が連れて行ってくれた、どこそこは良かった」
などとかしましい。
悪気ではなく、年を取ると、ふと心をよぎったことが
大音量でそのまま口に出てしまうのだ。
実にスリリング。
幹事の精神衛生上、後期高齢者を連れて行くのは
気心の知れた、偏屈でない店主の店が望ましい。
帰り道、２人のおばさんは言う。
「みりこんちゃんに連れて来てもらわなければ
こんなハイカラなお店、知らないままだったわ！ありがとう」
「楽しかった！スカッとしたわ！」
好き勝手を言っていたが、まんざらでもなかったらしい。
帰宅後。
「あの人達、ワガママだから疲れた」
自分のことは棚に上げ、ヨシコはそう言って寝込んだ。
おばさんＡはその日、娘さんを呼んで外食する予定だったのを忘れており
えらく怒られたと言いに来た。
おばさんＢは、帰ったら病気療養中のご主人の体調が悪くなっていたそうで
時間のかかるコース料理がいけなかったと言いたげであった。
不用意に老人を連れ出すと、タタるらしい。
そして３人共、口を揃えて言う。
「また連れて行ってね！」
私はニコニコとうなづきながら
今度誰か亡くなって、もしも密葬で、万一お別れ会があったらね…
と思うのだった。
先日、隣のおじさんのお別れ会があった。
この２月、義父アツシの葬式の晩に急死した９２才のおじさんだ。
おじさん一家は、この辺りでは珍しいクリスチャン。
遺体はすぐに隣の市にある教会に運ばれ、そのまま荼毘に付された。
故人が密葬を希望していたという話だが、うちの葬式があったばかりなので
気を使って連チャンをはばかったのかもしれなかった。
密葬は終えたものの、社長に会頭、理事に参与、相談役…
全てに「元」がつくが、おじさんの肩書きはたくさんあり
密葬では収まりがつかない状況になっていた。
同じ頃、亡くなったおじさんが息子さんの夢枕に立って、こう言ったという。
「やっぱり賑やかな方が良かった」
そういえば親父は賑やかなことが好きだった…
息子さんは思い出し、何人かの人に相談した。
そこで各方面の有志が発起人となり、お別れ会を行う運びとなったので
近隣住民である我々も出席することにした。
当日、近所のおばさん２人と義母ヨシコを車に乗せ、４人で会場に赴く。
お別れ会ではおじさんの息子を始め、有志代表と友人代表
合計３人の挨拶があったが
３人とも口を揃えて強調したのは、おじさんの強運だ。
その強運で戦争を生き抜き、出世し、重病からも生還したと言う。
強運話のラストを飾るのは、決まって昨年の事件。
昨年の節分の日、家の前の川へ車ごとダイブし
車は大破したが本人は無傷だった逸話である。
３人はこの出来事をそれぞれに表現した。
「神のご加護」「天が救った」「まだ生きるカードが残されていた」
聞きながら、私はひそかにつぶやく。
「おじさんを救ったのは奥寺君よ！」
奥寺君は水回りの修理屋さんだ。
家のどこかが壊れると、すぐに飛んで来てくれる。
優しくて頼りになる３０代のイケメンだ。
あのダイブ事件の日、彼は我が家のバスタブを交換していた。
奥寺君が外に停めた車へ道具を取りに出たのと
おじさんがアクセルとブレーキを踏み間違えて川へ落ちたのは
ほぼ同時だった。
顔も美しいが心も美しく、その上身も軽い奥寺君は
きつい傾斜をスルスルと降りて、頭から川へ突っ込んでいる車にたどり着き
おじさんを運転席から後部座席へと移動させた。
運転席に座ったままだと、浸水して溺れるからだ。
奥寺君は危険をかえりみず、レスキュー隊が来るまでおじさんのそばに居た。
彼の功績が無視されて、何となく腹立たしい私であった。
とはいえ、超高齢ドライバーだったおじさん。
その危険な運転ぶりから、いずれ車で事件を起こすのは明らかだった。
他人を事故に巻き込まずに済んだのだから、おじさんはやはり強運の人と言えよう。
さて、１１時に始まったお別れ会が終わるとお昼どき。
「せっかくおめかしをして出て来たから、このまま帰りたくない」
ヨシコと、同行した８２才と７７才のおばさん２人が言うので
どこかで食事をすることになった。
後期高齢者との外食は、何を食べるかよりも、まず椅子席が第一条件。
たいてい足に問題を抱えており、座敷に座るのは困難だからである。
そこで全席椅子保証の洋食屋へ予約を入れる。
私の地元の子がやっている店だ。
その日のランチコースは、桜鯛とイベリコ豚。
しかしヨシコは牛がいいと言うので、ステーキに変えてもらう。
おばさんＡは入れ歯の都合で硬い物は食べられないと言うので
柔らかいメニューを別に作ってもらう。
おばさんＢはご飯が硬いと言うので、パンも出してもらう。
その後も「店が狭い」「内装が白だから目が疲れる」
「前に娘が連れて行ってくれた、どこそこは良かった」
などとかしましい。
悪気ではなく、年を取ると、ふと心をよぎったことが
大音量でそのまま口に出てしまうのだ。
実にスリリング。
幹事の精神衛生上、後期高齢者を連れて行くのは
気心の知れた、偏屈でない店主の店が望ましい。
帰り道、２人のおばさんは言う。
「みりこんちゃんに連れて来てもらわなければ
こんなハイカラなお店、知らないままだったわ！ありがとう」
「楽しかった！スカッとしたわ！」
好き勝手を言っていたが、まんざらでもなかったらしい。
帰宅後。
「あの人達、ワガママだから疲れた」
自分のことは棚に上げ、ヨシコはそう言って寝込んだ。
おばさんＡはその日、娘さんを呼んで外食する予定だったのを忘れており
えらく怒られたと言いに来た。
おばさんＢは、帰ったら病気療養中のご主人の体調が悪くなっていたそうで
時間のかかるコース料理がいけなかったと言いたげであった。
不用意に老人を連れ出すと、タタるらしい。
そして３人共、口を揃えて言う。
「また連れて行ってね！」
私はニコニコとうなづきながら
今度誰か亡くなって、もしも密葬で、万一お別れ会があったらね…
と思うのだった。
アクセス
トータル
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うちの母親がそうですわ。
それも、一番言って欲しくないことを言うから、親子であろうと許せず、態度と言葉で逆襲。
少し学習したようで(笑)少しですが。
怪我をして身体が不自由だったり、病気で思うように動かなかったりすると、やはりダダモレですね～
カッチン!!ときたら聞こえないふりして、母親に聞こえないところで毒付いてます。(^-^;
それでも、生きていてくれて感謝してるんですけどね～、瞬間的に殺意!!が出たりして、後で自己嫌悪と反省。
外の環境に振り回されるのが人間、そんな中でも自分がどうありたいか、どう生きたいか、少しでも実践できたら有り難い経験だと思う事にしよう～と、ゆるく考えてます。
そういう仕組みになってるんですね、おばあさんというものは！！
文句ばっかりでうんざりしてましたが
あれが文句ではなくて独り言の域だったとは(爆
メカニズムは最初ヨシコで辟易して、そのうちだんだん
自分を見てわかってきた。
だからマジでヤバいと思う。
仕事のことでも家のことでも、思いついたこと、思い出したこと
忘れちゃいけないことなんかを
すぐ誰かに言っておかないと忘れるんじゃ。
で、何でも言う癖がつく。
そこまではいいんだけど、今度は誰かに伝える必要がある事柄と
別に伝えなくてもいい事柄の選別が面倒になる。
連絡系の事柄と、どうでもいい事柄が同ランクになって
メリハリがつけられなくなる。
連絡を伝達できる機能を維持するために
どうでもいいことや言わなくていいことを言う機能も
発達させちゃう感じかしら。
野菜畑に雑草が生えて、どれが野菜か草かわからなくなってるけど
一応イモやピーマンらしきものは何とか出来てますみたいな。
これがだんだん作物と草の区別がつかなくなって
最終的には雑草畑になるんでしょうね。
年取ると、連絡事項が無くなるから。
実の親だと、きついよね。
私だったら殺意だけで済まんと思うよ。
同じ殺意なら、ほめ殺しがとりあえず一番おとなしくなるんだけど
自分の親にはなかなか言えないもんよ。
気にするなと言ったって、グサッと刺されたトゲは消えない。
悪気は無いと言ったって、血は流れる。
モモさん、よく頑張っていますよ。
会話してるように見えて、実は独り言を順ぐりに言ってんの。
自分がしゃべりたいばっかりに、人のおしゃべりが終わるのを待つ。
だからよく聞いていたら、会話として成立してないことも多い。
若い人はそのシステムがまだわからないから
真剣に受け止めて、頭をひねったり腹を立てたりする。
そう考えると、面白いわね！
おっそろしい！信じられない！
67歳の相方の運転でも、危なッ、って思うときあるのに。
やっぱりデンジャラストリートだったんですね。
いろいろ思いついたその時、そのまんまを口にして
文句を言ったり毒づいたり
我が儘言ったり遠慮をしたり。
それが年寄りなんですね。
でも、それをさせて貰っているお年寄りって凄く幸せなんですね。
私は遠慮しいだから、まだちょっとは我慢出来ているかな？と思うけど
時間の問題なのは確かだと覚悟してます。
でも、なるべく娘達をガッカリさせたくないから日々修錬だと考える癖に
すっかり怠け者に成り下がっているからきっと手遅れ。
立ち上がって数秒は足腰さすって歩いたり
読みかけの本のストーリーを忘れていたり
同じ本を何度も借りてきたり、かなりやばい所に来ているかも、だけど
「お母さん、無理頼んで良い？」って頼まれることもあるので
まぁ後しばらくは持つでしょう！
って言うか
私はそんな歳でもないしいッ！（ほんま？）
髪もフサフサだしいッ（古ッ！）
走行もヤバいけど、一番の問題は車庫入れ。
これが勤め人なら朝と晩の２回で済むんだけど
フリーだから一日に何回も渋滞が起きる。
国道も県道も渋滞知らずの町で、デンジャラ・ストリートだけは
慢性的に渋滞。
我が家はおじさんの車庫入れが始まると家になかなか帰れないので
手前で渋滞がわかると、迂回して反対方向から帰宅していました。
ストーリーを忘れる…長く同じ姿勢でいると痛くなる…
私もしょっちゅうですよ。
やる気も耐久力も無くなるね。
確実にヨシコの後を行ってるな～と実感しています。
すると寛大になるね。
ヨシコに限らず、よく聞いてると
老人の愚痴も自慢も命令も、元は言い訳なんだわ。
できない、やりたくないことに対しての言い訳。
今はこんなになっちゃったことに対しての言い訳。
でも尊重してもらいたいための言い訳。
老人付き合いが大変なのは、言い訳をきかなくちゃいけないから。
また、全部言い訳だと思ったら、どうってことない。
先代の言動で苦しんでいる人、多いと思うの。
あれはお母さんやおばあちゃんじゃないの…言い訳星人です！
と教えてあげたいわ。
プライドが勝つと、住民票が言い訳星に行っちゃう。
すみこはんはそうならないと思うわ。
私はユーモア星に行きたいなあ、と願ってるんだけど
どうなることやら！
ユーモアもたっぷりだけど慈悲がたっぷりですから
諸々星を睥睨する、一つ格上の星に住み
やはり今よりも更に人助けに奔走されるでしょう。
いやだと仰っても、それがみりこんさんですから。
私は間違いなく言い訳星行きです。
人に言い訳しなくても、自分の中では言い訳ばっかりですから、確実です。
ＧＷですが、疲れそう。
部活で父方実家に行けない高２女子が3泊4日で我が家から部活に通います。
女子のお弁当作りなんていつ以来だろう。
宜しくお願い致します。
人様を助けられるようなタマじゃないですって。
こんなアホでも生きられるって方面には自信あります。
ＧW、うちも遅ればせながらやっと始まりました。
お出かけは墓参りくらいかしら。
昨日ダイちゃんが来て、夫がＧWの予定を聞いたら
毎年恒例の宗教の本山へ行くと言ってました。
あらかじめ、夫に聞くなと言ってたのにうっかり聞いて
また誘われて墓穴を掘っていましたが、助け舟は出しませんでした。
お弁当作り、頑張ってくださいね！
長い！今朝もイヤミいっぱい 吐いて出て行きました。
正直 どうして帰ってくるの？婆は ＧＷ一緒に居てくれないの？
家が汚いのは、あなたの帰る場所が無いからって まだ分からないの？
って 言いたいけど 教えてあげない。
私の気持ちナンテ 想像もつかないみたいだし
分かられても もうどうする事も出来ないもんね。
ＧＷで、県外に住む娘が帰ってきていますが、さして話す事もないのが 余計に不満。そう↑に有る様に
「老人の言い訳」三昧。自分の自慢話を聞いて欲しいだけ、私は、見えない聞こえない様にします。
今更 家族団らんナンテ望んでないのに、家族ごっこしたがる老人。その都度 死期が近のか？って期待していたけれど 学費に苦慮する今は、どうか働いて欲しい！だけです。
あ～～あ とりあえず 心療内科の薬飲まずに過ごせてる今に感謝して 今日を頑張らなくちゃね～～