殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

変えて良かったもの

2023年03月15日 10時46分42秒 | みりこんぐらし
長年の習慣を変えるって、勇気がいるものよね。

年を取ると、特にね。

でも、変えざるを得なくなった。

サイフォンが割れたんじゃ。

ガ〜ン!


夫の一家はコーヒー好きで、昔からサイフォンを使う。

サイフォンは上部にある筒型の漏斗(ろうと)と、下にある丸っこいフラスコ

二つのガラス製のパーツでコーヒーを作る道具だ。

嫁に来て、まず最初にやらされたのが換気扇の掃除で

次がサイフォンの使い方の指導だったのはさておき

夫の家はコーヒーをサイフォンで沸かすのが習慣。

味へのこだわりというより、来客に対するエンターテイメント性を重視しているフシがあり

このコーヒーを目当てに訪れる人々が数多く存在したのも確かである。


ともあれサイフォンは、数年に一回の頻度で割れる。

下のフラスコは丈夫で割れないんだけど、上の漏斗は薄い作りで安定感に乏しく

手や食器が当たって倒したり、洗う時、水道の蛇口に当たったりして

そりゃあ景気良く割れてくれる。

割ったのが私だと責められるのはさておき、割れたら上だけバラ売りで買う。

新品一式を買うつもりなら大きめのスーパーに行けばいいが

不死身のフラスコやアルコールランプが貯まっても仕方がないではないか。


けれどもバラ売りの部品を常備した近辺の店は、年々減っていった。

チンタラとサイフォンでコーヒーを沸かす暇人が減少したのと、店の撤退によるものである。

そこでこの10年余りは、都会へ出た際にデパートへ行き

漏斗を複数買ってストックしていた。


ストックがあると気が緩んでよく割れるのは、サイフォンあるある。

先日、最後のストックを割っちゃった。


ということで、数年ぶりにサイフォンが使えなくなった。

本日中に何とかしなければ、義母ヨシコが発狂するのは明白だ。

年寄りって習慣が変わるのを嫌う。

それが他者のミスであれば、なおさらだ。


ネットや市外のスーパーで、上の漏斗だけを注文して取り寄せる手は使えない。

届くまでに日数がかかるからだ。

今日中に何とかしなければならない。


ここで私は岐路に立った。

町内にある生活雑貨の店で、上だけ買うか否かだ。


その店なら、すぐに買える。

だったらそこへ行けばいいようなものの、その店に近づくと余計な物が付いてくる。

実際に過去、サイフォンの上を何度か買ったことがあるけど、奥さんは大変な商売上手で

食器や雑貨を買わされるか、メーカーの積立に入らされ、サイフォンだけでは済まなくなるのだ。

義母のガラクタコレクションをこっそり捨て活中だというのに 、新しく買うどころではない。


その奥さん、私より10才近く年上で地元が同じ…むしろ近所。

お互いの子供が同級生なので、一緒に幼稚園の役員もやった。

気さくでいい人だが、大学生の頃は学生運動をやっていたそうで

うちらの田舎町では「娘を東京の大学に行かせると赤く染まる」と言われるようになり

女子受験生の進路にいくばくかの影響をもたらした猛者。

赤かろうと白かろうと自由だが、私の口数がナンボ多いとはいえ

学生弁士を張った彼女に太刀打ちできるはずもなく

帰らせてもらいたかったら何か買うしかなくなるのだ。


しかも彼女は、夫の浮気相手だった女の従姉妹。

義父の会社に就職した未亡人、I子である。

30年近くも前のことなのでどうでもいいし、顔も覚えとりゃせん。

が、今になって、わざわざI子一族の軍門に下るのもなぁ。


そういうわけで岐路には立ったものの、決断には至らないまま

ちょうど日曜日だったので、夫と一緒にあてもなく隣市のスーパーとホームセンターを目指す。

予想通りと言おうか、サイフォンの上だけなんて売ってない。

そればかりか、サイフォンの本体も売ってない。


もう一軒、ハシゴをしたかったが、気の短い夫には耐えられないので断念し

ダメ元でスーパーの中にあるニトリに行った。

ここに無ければ、家にある電気式のコーヒーメーカーに転向し

その間に通販で取り寄せると心に決めた。


と、ニトリにドリップ式のコーヒーメーカーを発見。

いつぞやテレビで見た、ステンレス製のドリッパーだ。

ステンレス製は紙製より当然ながら高いが、半永久的に使えて

しかも美味しいのだと、テレビでコーヒー通が言うておった。




で、買うた。

迷う私に、夫の言ったひと言が決め手だった。

「もう、楽になれや」

サイフォンが厄介なのを、彼は知っていた。

私に頼まれてアルコールを買いに行かされるのも、嫌になったらしい。


価格は一式で2,380円。

サイフォンの漏斗だと、うちのは大きいから6,000円ぐらいなので

それに比べりゃ可愛いもんよ。


で、家に帰って、さっそく使ってみた。

湯を注ぐだけなので、サイフォンよりずっと手軽。

適当にやったのに、しかもウマいでやんの。

ヨシコもまんざらではない様子。


漏斗、濾過するネル(布)、アルコールランプの芯、アルコール…

いつもサイフォンの部品を気にかけ、使用後に洗う時は細心の注意を払い

その割に味の方はたいしたことなかった。

私の数十年は何だったんじゃ?という疑問は残るが、朝のコーヒー製作がすごく楽になった。



サイフォンに続いて変えたのが、アイブロウ。

眉墨のことね。

これを眉マスカラに変更した。


最近、正確には昨年の選挙の時から気になっていた。

というのも、トイレ休憩で寄らせてもらうコンビニ。

そういった休憩で立ち寄る場所では、候補の名前の宣伝にならないよう

いちいち腕章を外す必要があるのはさておき、コンビニって若げな女の子が働いてるじゃん。

その中に知り合いの子がいて、この子は40代後半なんだけど

元々美人な上に、お化粧がうまいのですごく綺麗。

特に眉が自然で素敵なので、聞いたら「眉マスカラ」だそう。

髪より少し明るい色を選んだら、今風になるんだと。


だけど新しいことって、なかなか手を出しにくい。

ドラッグストアでゆっくり迷ったり選んだりする時間も無くて

それ以来ウジウジしていたけど、この度、思い切って購入。


ケイトの眉マスカラ。

800円だったと思う。

色?写真そのままよ。

ピンクベージュ。

買って失敗するなら大胆に失敗したいから、派手な色を選択。


私は眉が薄めなので、そりゃもう化粧の工程の中では一番、時間をかけていた。

「ここに毛が欲しいぞ」と思う箇所に、細いアイブロウで1本1本描くから

時間がかかるわけよ。

それが、眉マスカラって、すごいわね。

眉頭をシュッと上に向けて撫でたら

あとは眉マスカラでカバーできない眉の付け根と眉尻を

従来のアイブロウで描き足して終わり。

早いのなんの。

色が明るいから、ホンワカと淡くて柔らかい眉ができる。

この私でさえも、優しそうに見えるって寸法よ。

これが今風ってわけね。

たまげたわ。


利き手でない左側の眉に使うのはちょっと難しいけど

横に描こうとせずに、上に向けて使ったら大丈夫。

私の数十年は何だったんじゃ?という疑問は残るが、今のところすごく満足。

他の色も試してみようと思います。
コメント
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