殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

同居論

2022年09月28日 14時52分55秒 | 前向き論
コメント欄で、義理親との同居について話した。

同居が是か非かと言えば、非の一択というのが私の意見。


20代半ばから30代半ばまでの10年間、夫の両親と三世代同居を経験し

耐えられなくなって家を出た。

そして50代の始め、義父の会社の倒産騒ぎや両親の病気という、よんどころない事情によって

夫と二人の息子たちと共に再び夫の実家へ舞い戻って12年。

7年前に義父を見送り、今は残された義母と生活中だ。

つまり私の同居に関する歴史は、初回の第1期と現在の第2期に分類される。


若い頃の第1期と、年配者になってからの第2期。

二通りの同居生活を体験してみてやっぱり思うのは

「同居はするべきではない」。

若い時も年取った今も、同居生活が理不尽の嵐であることに変わりは無かった。

この経験から、私は義理親との同居を迫られた長男のお嫁たちを何人も止め

「今は大丈夫だけど、親が一人になったり身体が弱ったらいずれは…」

そう口走るお嫁さんたちには、同居のリスクを唱えてきた。

実生活では、20人を下らないと記憶する。


弱った義理親に手を差し伸べるお嫁さんたちの頭の中には予定表があって

1ページ目には、義理親、ご主人、親族から感謝される図が載っている。

義理親が回されてくるような人は、そもそもお人好し。

自分が火中の栗を拾うことで、多くの人が助かると本気で思っているのだ。


そして予定表の2ページ目は、いきなりこうなる。

「数年後、義理親は嫁に感謝しながら静かに息を引き取る」

終わり。


これが、あかんのやて。

1ページ目と2ページ目の間に、本当は何十ページもあるのよ。

でも同居なんてしたことが無いから、エピローグとプロローグしかわからないのよ。

同居で味わう数々の理不尽や精神的重圧を話していたらキリが無いし

聞く方もウンザリするだろうから

今回は比較的わかりやすい物理的な面に特化してお話ししたいと思う。



「うっかり同居してくれるな」

私が声を大にして主張する原点は、家の構造にある。

現代建築の構造を無視して同居するから、思わぬ不幸が訪れるのだ。


中途からの同居には、一家で義理親の家に引っ越す場合と

義理親が子世代の家に引っ越す場合のふた通りがある。

離れのある豪邸や完全二世帯住宅ならいざ知らず

一般的に一階部分は足腰の観点から義理親が使い

子世代は二階で生活するケースが多くなると思う。


うちもこのケース。

その昔、第1期の中途同居のために夫の実家を改築したわけだが

何の知識も無いまま、単に二階の部屋数を増やしただけで現実的な配慮を一切しなかった。

この安直が、自らを苦しめることになったのである。


音というのは、下から上がよく聞こえるものだ。

よって一階の生活音は、ことごとく騒音となって二階に伝わる。

ドアやガラス戸の開閉、廊下を歩く音

あ、今、台所へ行った、冷蔵庫を開けた、瓶を出した…なんてのが丸聞こえ。


もちろん、少し大きい話し声も聞こえる。

音は高音より低音の方が響くので、二階に居ても義父から怒られているようで

彼の在宅中は気の休まる時間がほとんど無かった。

ドカン!とした大きなことより、このような些細な日常が

真綿で首を絞めるようにジワジワと、自身を追い詰めていたように思う。


が、そんなのはまだかわいい。

同居における最大の問題であり、最大の盲点は夜間のトイレ。

第2期の同居をしてみて、これは大変な問題だと知った。


第1期の同居では親も我々も若かったので、さほど気にならなかった。

親は頻尿ではなかったし、我々も若さに任せて睡眠が深かったからだ。

しかし親も我々も年を取った第2期、義母はトイレが近くなっており

我々もまた寄る年波で、睡眠が浅くなりつつあった。


うちは二階のトイレを我々が、一階のトイレを義母が使う。

音は下から上がよく聞こえると言ったが

義母がトイレの水を流すと、配管を伝って二階へ水の音が響く。

私の寝室はトイレに近いため、この音で目が覚めてしまうのだ。


今どきは研究が進んで、あんまりうるさくないのかもしれないが

全くの無騒音というわけではあるまい。

うちは古いので、下から上に伝わってくる水音が容赦ない。

身体は眠っていても、音がするたびに何となく意識が戻る。

これが毎晩となると、睡眠不足は必至。

赤ん坊ならミルクを飲ませたら3時間は静かだが

バリバリの夜間頻尿である義母は、2時間に1回トイレに通う。

私が午前3時や4時に起床するのは、水洗の音で眠れないからである。

外で働く人であれば、まず身体を壊すだろう。


頻尿の治療薬があるって?

既往症の薬との兼ね合いがあるので、現状では無理。

元気なまま夜間頻尿になる人ばかりではないのだ。

耳栓をするという手もあるが、そうまでして同居を続ける意味自体に疑問が生じるため

意地で避けている。


寝室を変えるという手段は、使えない。

旅館じゃあるまいし、庶民の家の部屋数なんて知れていよう。

台所や応接間を除いた8部屋のうち4部屋は、義母とその荷物が占領しているので

残りの4部屋を4人で使うしかなく、私が動けば別の犠牲者が出ることになるからだ。

男共には、しっかり寝て稼いでもらうに限る。


もう慣れたので、耐えられるうちは耐える所存だが

明日は我が身なんだから、義母を責めるつもりは毛頭ない。

彼女も辛いのだ。

もうじきいなくなると思い込んで同居に踏み切った、私のミスである。


よく考えれば、昔の日本は水洗トイレではなかった。

そして老人の多くは、頻尿になる前にいなくなった。

さらにトイレは人が寝ない居間の近くか、老人の部屋の近くで

いずれにしても外に面した廊下の先、農家では完全に外だったりした。


同居というライフスタイルは、それら各種の条件下で初めて成立するものだ。

親孝行も人の道も、この条件が普通だった頃の話である。

便利で清潔な現代建築に居住しながら、心だけ遥かな昔に遡るのは間違っている。

また、それを望む親や、それを強いる周囲も間違っている。

病気になって、親より早くあの世へ行けと言っているのと同じだ。

それが親孝行になるかどうか、ちょっと考えればわかることである。


トイレ一つでもこれほどのストレスがあるのだから、他のことも推して知るべし。

そういうわけで、安易に親との同居を決め

このようなつまらぬ、しかし重大なことで苦しまないようにしてもらいたい。

日々が何か面白くない、やる気が出ない…

同居していて、そのような気持ちが続く時は

水洗トイレの音が原因の寝不足かもしれないので、頭の片隅に入れておいてほしい。


冒頭の写真?

うちの前で見る朝焼け。

うるさくて目が覚めるから、こういう時間に起きてんのよ。

その代わり、ベッドに入るのは夜の8時半よ。

早いって?

義母の夜間頻尿が始まる前に少しでも睡眠を取って、体調を整えるのよ。

ハン!
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする