前回の記事で、夫が社用車を返したことをお話しした。
これは我々が思っていた以上に影響が大きかったようで
先日、河野常務から
「頼むけん、乗ってくれ」
と電話があった。
常務は詳しいことを話さないが
会社から貸与された車を放置したままというのは
都合が悪いらしい。
常務は、夫が反抗心ありとみなされるのを心配し
また、ダイちゃんの越権行為が問題になるのも心配しているのだ。
常務は決して情無なんかではなく、大変情に厚い人である。
が、情に厚い分、人を見る目が無い。
営業のできない営業課長、松木氏も
仕事のやり方すら知らない昼あんどんの藤村も
彼が面接して中途入社させた。
仕事のデキる芝居がうまい永井営業部長を重用するのも
腐りきった宗教バカのダイちゃんをかばうのも
人を見る目が無いからであろう。
しかし、常務に人を見る目が無いことで
一番恩恵を受けているのは他でもない、我々一家だ。
彼に人を見る目があったなら、我々は鼻にも引っ掛けられないだろうから
合併は無かったはずだ。
よって、松木氏や藤村を会社に送り込まれ
取引や信用を滅茶苦茶にされたり
永井営業部長の嘘や芝居で煮え湯を飲まされたり
ダイちゃんの宗教勧誘に疲れ果てても
救済された代わりに起こる副作用だと思い、黙って我慢してきた。
だから今回も、恩人である常務を苦しめるつもりは無い。
しかし夫は、すぐに社用車を使う気になれない様子。
ダイちゃんの行いは、それほど陰湿であった。
膨大な請求書の中から
夫が過去1年間に使ったガソリン代を抜き出して一覧表を作成し
「1年間でいくら使った」なんてネチネチと責められたら
感じが悪いのを通り越して気色が悪いじゃないか。
そこで気色の悪さが収まったら、再び社用車に乗る予定でいるが
いつ収まるのかは不明である。
この一件でワリを喰ったのが、昼あんどんの藤村。
彼は昼あんどんでもあるが、おしゃべりでもある。
先月はうちの次男が風邪の症状を訴え、受診のために休みを取ったら
本社を始め支社支店のことごとくに
「とうとうコロナが出た」と言いふらした。
単に口数が多いだけでなく、わざと騒ぎを大きくするタイプ。
その彼が、ここ数日はしおらしい。
かなりガックリきていて
「ワシ、いつまで持つかな…」
などとつぶやく。
原因は、やっぱりダイちゃん。
夫のガソリン代にいちゃもんを付けたダイちゃんの話が
藤村によって拡散されたことはお話しした。
藤村のことだから、いつものように尾ひれを付けて吹聴したのは
聞かなくてもわかる。
彼は60才を過ぎた年寄りの夫を蹴落とし
自分が成り代わる野望を持っているため
その内容はいつもより割り増しでオーバーだっただろう。
藤村は夫の落ち度をアピールしたかったが
思惑は外れ、ダイちゃんの陰湿と越権が知れ渡った。
こうなるとダイちゃんは、非常に困る。
かといって、自分が現にやっていることなので
表立って藤村に抗議するわけにもいかない。
ダイちゃんは、藤村に言ったそうだ。
「君の行動は携帯のGPSで、全部わかっている」
そして藤村が仕事中に
関係ない店や歯医者へ行った日時を伝えたという。
ダイちゃんにしてみれば
「サボってるのは黙っておいてやるから、余計なことを言いふらすな」
と釘を刺したつもりだったのだろうが
藤村は、GPSで追跡されている事実にゾッとしたそうだ。
過去1年分のガソリン代を一覧表にされた夫の気持ちと同じく
感じが悪いを通り越して気色が悪いというやつである。
同じ人物から同じ目に遭わされた藤村と夫は
珍しく意気投合して傷を舐め合うのだった。
藤村の受難は、それだけではない。
本社が大阪にある船舶関係の会社を買収し
藤村がその会社の専務に抜擢されたことは以前記事にしたが
買収の際、間に入ったのが四国のブローカー。
藤村は、70もつれのブローカーと親しくなり
彼の案内で大阪の挨拶回りをしていたが
そのうちコロナ騒ぎで大阪通いは中断したまま1ヶ月が過ぎた。
そして先月末。
聞くところによると、本社に一通の請求書が届く。
差出人は、例の老ブローカー。
本社の買収作業が終わった直後、彼は御祝儀代わりに
大阪で一件の取引をまとめ、右も左もわからない藤村に進呈した。
藤村はこのことで、すっかり彼を信用していたが
請求書に記載された請求金額は、取引をまとめた手数料だった。
その金額は、この取引で本社が得る利益とぴったり同額である。
つまり本社には1円の利益も出ず
ブローカーだけが儲けていた。
藤村は、この老ブローカーに騙されたのだ。
ポンと気前よく仕事をくれたことに舞い上がってしまい
金額についての細かい詰めを怠ったのが敗因だが
そもそも藤村に交渉能力は無い。
藤村はもちろん、大目玉をくらう。
辞表を出す出さないというところまで行った。
しかし藤村は辞めるわけにはいかないのだ。
なぜなら本社に金を借りていて、毎月返済しているからだ。
あと数年は退職できない。
借金の原因は、彼の母親。
認知症の母親は買物依存の傾向が強く出て
着物や宝石を買いまくり、500万円の借金を作った。
それを一人息子の藤村に隠していたため
クーリングオフもできず、自己破産するしか無くなった。
そこで藤村は弁護士に依頼し、手続きに入ったものの
母親はすでに3年前、藤村に内緒で自己破産していた。
やはり着物や宝石を買いまくっていたらしいが
認知症は、すでに自己破産していたことを忘れさせたようだ。
一度自己破産したら、5年以内に再びやることはできないため
藤村は本社からお金を借りた。
本社には、社員が家や車を購入する際や
よんどころない事情で大金が必要になった場合に備えて
融資の制度があり、給料から天引きで返済するシステムだ。
仕事はうまくいかない…
ダイちゃんからはいじめられる…
借金はある…
藤村の頭には、とうとう10円ハゲができた。
うちの次男が、悩むと毛が抜けるタイプなので
私は藤村に軽く同情した。
しかし夫は、藤村の髪の毛には冷たい。
「ええ年して、ソフトモヒカンにするけん目立つんじゃ」
それには同意した。
これは我々が思っていた以上に影響が大きかったようで
先日、河野常務から
「頼むけん、乗ってくれ」
と電話があった。
常務は詳しいことを話さないが
会社から貸与された車を放置したままというのは
都合が悪いらしい。
常務は、夫が反抗心ありとみなされるのを心配し
また、ダイちゃんの越権行為が問題になるのも心配しているのだ。
常務は決して情無なんかではなく、大変情に厚い人である。
が、情に厚い分、人を見る目が無い。
営業のできない営業課長、松木氏も
仕事のやり方すら知らない昼あんどんの藤村も
彼が面接して中途入社させた。
仕事のデキる芝居がうまい永井営業部長を重用するのも
腐りきった宗教バカのダイちゃんをかばうのも
人を見る目が無いからであろう。
しかし、常務に人を見る目が無いことで
一番恩恵を受けているのは他でもない、我々一家だ。
彼に人を見る目があったなら、我々は鼻にも引っ掛けられないだろうから
合併は無かったはずだ。
よって、松木氏や藤村を会社に送り込まれ
取引や信用を滅茶苦茶にされたり
永井営業部長の嘘や芝居で煮え湯を飲まされたり
ダイちゃんの宗教勧誘に疲れ果てても
救済された代わりに起こる副作用だと思い、黙って我慢してきた。
だから今回も、恩人である常務を苦しめるつもりは無い。
しかし夫は、すぐに社用車を使う気になれない様子。
ダイちゃんの行いは、それほど陰湿であった。
膨大な請求書の中から
夫が過去1年間に使ったガソリン代を抜き出して一覧表を作成し
「1年間でいくら使った」なんてネチネチと責められたら
感じが悪いのを通り越して気色が悪いじゃないか。
そこで気色の悪さが収まったら、再び社用車に乗る予定でいるが
いつ収まるのかは不明である。
この一件でワリを喰ったのが、昼あんどんの藤村。
彼は昼あんどんでもあるが、おしゃべりでもある。
先月はうちの次男が風邪の症状を訴え、受診のために休みを取ったら
本社を始め支社支店のことごとくに
「とうとうコロナが出た」と言いふらした。
単に口数が多いだけでなく、わざと騒ぎを大きくするタイプ。
その彼が、ここ数日はしおらしい。
かなりガックリきていて
「ワシ、いつまで持つかな…」
などとつぶやく。
原因は、やっぱりダイちゃん。
夫のガソリン代にいちゃもんを付けたダイちゃんの話が
藤村によって拡散されたことはお話しした。
藤村のことだから、いつものように尾ひれを付けて吹聴したのは
聞かなくてもわかる。
彼は60才を過ぎた年寄りの夫を蹴落とし
自分が成り代わる野望を持っているため
その内容はいつもより割り増しでオーバーだっただろう。
藤村は夫の落ち度をアピールしたかったが
思惑は外れ、ダイちゃんの陰湿と越権が知れ渡った。
こうなるとダイちゃんは、非常に困る。
かといって、自分が現にやっていることなので
表立って藤村に抗議するわけにもいかない。
ダイちゃんは、藤村に言ったそうだ。
「君の行動は携帯のGPSで、全部わかっている」
そして藤村が仕事中に
関係ない店や歯医者へ行った日時を伝えたという。
ダイちゃんにしてみれば
「サボってるのは黙っておいてやるから、余計なことを言いふらすな」
と釘を刺したつもりだったのだろうが
藤村は、GPSで追跡されている事実にゾッとしたそうだ。
過去1年分のガソリン代を一覧表にされた夫の気持ちと同じく
感じが悪いを通り越して気色が悪いというやつである。
同じ人物から同じ目に遭わされた藤村と夫は
珍しく意気投合して傷を舐め合うのだった。
藤村の受難は、それだけではない。
本社が大阪にある船舶関係の会社を買収し
藤村がその会社の専務に抜擢されたことは以前記事にしたが
買収の際、間に入ったのが四国のブローカー。
藤村は、70もつれのブローカーと親しくなり
彼の案内で大阪の挨拶回りをしていたが
そのうちコロナ騒ぎで大阪通いは中断したまま1ヶ月が過ぎた。
そして先月末。
聞くところによると、本社に一通の請求書が届く。
差出人は、例の老ブローカー。
本社の買収作業が終わった直後、彼は御祝儀代わりに
大阪で一件の取引をまとめ、右も左もわからない藤村に進呈した。
藤村はこのことで、すっかり彼を信用していたが
請求書に記載された請求金額は、取引をまとめた手数料だった。
その金額は、この取引で本社が得る利益とぴったり同額である。
つまり本社には1円の利益も出ず
ブローカーだけが儲けていた。
藤村は、この老ブローカーに騙されたのだ。
ポンと気前よく仕事をくれたことに舞い上がってしまい
金額についての細かい詰めを怠ったのが敗因だが
そもそも藤村に交渉能力は無い。
藤村はもちろん、大目玉をくらう。
辞表を出す出さないというところまで行った。
しかし藤村は辞めるわけにはいかないのだ。
なぜなら本社に金を借りていて、毎月返済しているからだ。
あと数年は退職できない。
借金の原因は、彼の母親。
認知症の母親は買物依存の傾向が強く出て
着物や宝石を買いまくり、500万円の借金を作った。
それを一人息子の藤村に隠していたため
クーリングオフもできず、自己破産するしか無くなった。
そこで藤村は弁護士に依頼し、手続きに入ったものの
母親はすでに3年前、藤村に内緒で自己破産していた。
やはり着物や宝石を買いまくっていたらしいが
認知症は、すでに自己破産していたことを忘れさせたようだ。
一度自己破産したら、5年以内に再びやることはできないため
藤村は本社からお金を借りた。
本社には、社員が家や車を購入する際や
よんどころない事情で大金が必要になった場合に備えて
融資の制度があり、給料から天引きで返済するシステムだ。
仕事はうまくいかない…
ダイちゃんからはいじめられる…
借金はある…
藤村の頭には、とうとう10円ハゲができた。
うちの次男が、悩むと毛が抜けるタイプなので
私は藤村に軽く同情した。
しかし夫は、藤村の髪の毛には冷たい。
「ええ年して、ソフトモヒカンにするけん目立つんじゃ」
それには同意した。