殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
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大富豪同心

2019年05月31日 08時44分00秒 | みりドラ

 


毎週金曜日の夜8時から放映されている


 


NHKBSの時代劇、『大富豪同心』。


 


ここ最近のお気に入りだ。


 


 


何がお気に入りって、主役の中村隼人。


 


このドラマの第一話を偶然見た私は、新鮮な驚きと喜びを感じた。


 


久しぶりに着物が似合う主役を目にしたからである。


 


 


最初、この人のことは何も知らなかった。


 


けれども着物姿が板についており


 


立ったり座ったりする時のスソの処理が手馴れていることを始め


 


所作の美しさや目線の決まり具合


 


扇子の扱いがしろうとではないことから、ただ者ではない確信を持つ。


 


ひょっとして歌舞伎の人?と思った。


 


 


その一方で、歌舞伎の中村隼人はうっすらと知っていた。


 


テレビで舞台を見ただけだが


 


元の顔がいいらしく、舞台化粧をした顔が群を抜いて美しい。


 


加えて、聞き取りやすいセリフを話す逸材…


 


歌舞伎をよく知りもしないくせにそう思い、悦に入っていた。


 


 


つまり私は大富豪同心に出てくる、化粧をしてない中村隼人と


 


化粧をして本業の舞台に立つ中村隼人を別人だと思っていた。


 


なんとか衛門とか、なんとかの助という類の名前なら


 


わかったかもしれないが、現代風の名前なので気が付かなかった。


 


同一人物だと知った時には驚いたものだ。


 


 


 


近年は、時代劇が減った。


 


たまにあっても何か残念、どこか奇妙。


 


そもそも頭が小さくて首の長い、細身の男の子に主役を張らせ


 


和装をさせるところから残念で奇妙。


 


 


アイドルを使わなければ視聴率が取れない事情はわかるが


 


小顔にちょんまげのカツラは似合わず


 


細い首では着物のうち合わせが浮き


 


痩せた腰で袴(はかま)が泳ぐさまにはゲンナリしてしまう。


 


カツラの節約なのか、まげを結わない浮浪者がぞろぞろ出てくるし


 


所作を習う手間を省くためか、不良娘の登場も多発。


 


この残念や奇妙は年寄りが感じるもので


 


若い人に違和感は無いのかもしれない。


 


我ながら厄介な性分だと思う。


 


 


何年か前に放送された『陽炎の辻 居眠り磐音』は


 


主役の磐音を演じる山本耕史が美しく


 


ストーリーも好きだったので熱心に見ていた。


 


しかし、ここでも厄介な性分が邪魔をする。


 


ウナギの腹を割く内職をして、細々と暮らす主人公が


 


どうして真っ赤な襦袢(じゅばん)を持っているのか。


 


疑問が沸きあがって困った。


 


 


ヒーローの目印という制作意図は理解できるものの


 


高潔な武士という設定でありながら、悪者を退治する時


 


黒の着流しに赤い襦袢のチャラチャラした格好で町を歩ける不思議は


 


襦袢の購入資金の出どころと共に払拭できず


 


こっそり苦しんでいた。


 


ええ、こんなこと、誰にも言いはしませんとも。


 


変な奴と思われますもの。


 


 


その点、 『大富豪同心』は、安心して見ていられる。


 


荒唐無稽なエンターテイメントドラマという心構えもあるが


 


主役の上品な立ち居振る舞いに見入ってしまって


 


面倒な疑問を忘れるからだ。


 


 


あらすじは、突拍子もない。


 


豪商、つまり大金持ちのお祖父さんが


 


孫を侍にしたいと願い、賄賂を使って同心にねじ込む。


 


その孫が、中村隼人演じる八巻卯之吉である。


 


 


卯之吉は怖がりで、武道はさっぱり。


 


遊びだけは一流のやさ男で、同心の仕事には向かないのだが


 


危ない時は祖父の雇った浪人に助けられ


 


幸運にも手柄を上げた時は


 


やはり祖父の差し金で瓦版に載せられたりして


 


伝説的な同心になりつつある。


 


 


卯之吉は捕物で斬り合いになった時、いつも気絶する。


 


目を見開いて立ったまま気を失うため


 


悪者は真意を測りかねてひるむ。


 


その隙に祖父の雇った浪人が出てきて、退治する。


 


こうして卯之吉は、剣豪と勘違いされるようになるのだった。


 


 


その浪人は薄汚すぎ、お友達の旗本の三男坊は派手すぎ。


 


マスコット的役割であろう男装の麗人は必要なさすぎ。


 


キーウーマン的役割の芸者はカツラ似合わなすぎで


 


私なら、お稲荷さんの狐みたいな色気の無い芸者に


 


びた一文くれてやる気は起きないが、その辺はどうでもいい。


 


何があっても金の力でどうにかなるのは爽快だ。


 


 


そしてこの卯之吉、我が夫に重なる部分があるので


 


別の意味で面白い。


 


父親がコワモテを気取っていたため


 


息子である夫もそう思い込まれているが


 


本当はすごく怖がりなところである。


 


 


あまりに怖かったり、予期せぬ事態になると


 


目を見開いたまま固まる癖があるが、相手はそれを勘違いする。


 


何が起きても動じない度胸と思い込むのだ。


 


いかつい大男が恐怖や当惑のあまり


 


声も出せずにフリーズしているとは誰も思わない。


 


だから卯之吉が気絶する場面では、いつも笑う。


 


 


全10話だそうなので、あと何回かは続くはずだ。


 


しばらくは歌舞伎仕込みの美しい身のこなしと


 


気絶を楽しませてもらうつもり。

コメント (2)
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