殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ルイーゼ道(どう)

2011年08月06日 11時43分40秒 | みりこんぐらし
                 「運命共同体」

次男がつかまえたウナギです。

この後、彼らはヨシコの手によってバラバラにされ

私の手によって蒲焼きになるのじゃ。


天然うなぎを柔らかく仕上げるコツは

先に素焼きにして、それから軽く蒸す。

フワフワが好きな人は、そのままタレをかければOK。

香ばしいのが好きな人は、蒸したものにタレをつけて、仕上げに軽くあぶる。

え?そんなの知ったってしょうがないって?

すいません。


あ、買ってきた蒲焼きをふっくらおいしく温め直すコツは

フライパンに横たえた蒲焼きに、料理酒を適当にふりかけ

そのままフタをして点火し、軽く温める。

え?そんなの知ってるって?

すいません。





さて、夫の姉カンジワ・ルイーゼの就職先が、とうとう判明した。

これは、かねてより夫家のトップシークレットであった。


ルイーゼがどこかで働いていることは、以前ここに書いた。

結婚前の1年弱、OLをしたきり、実家の家事手伝い一筋だったルイーゼが

このたび何を思ったか、30年ぶりによそで働き始めたのだった。


調べたのではない。

先日、夫が知人から聞かされた。

知人は、仕事でたまたまそこへ行ったら

制服を着たルイーゼとばったり会って驚いたという。

その足で夫の所へ来た。


「なんで?!」と何度も聞かれたが、夫は

「さあ…」としか答えられなかった。

「親に手がかかるようになって、実家に長居したくないとか~

 いびり出した甥が復帰して、会社も居づらくなったとか~

 女性経営者の会も、嫌われて辞めるしかなかったとか~

 男がペラペラしゃべれんだろ?

 実家が大事で帰ってたんじゃない。

 あの女は、とにかく旦那の家に居たくないだけなんだ」


そんなに嫌な旦那なら、別れりゃいいのに…と思うのは

ルイーゼ道のしろうとである。

表向きの形式と、裏の逃げ場の両方を

同じ割合で無理にキープしようとするから、犠牲者が出るのだ。

彼女にとっての逃げ場が、弟一家の表玄関だったりするからである。


ルイーゼの職場とは、隣町の老人ホーム○○園であった。

彼女を雇う物好きの顔が見てみたいと思っていたが

あの○○園なら、うなずける。

一族経営で人間関係が難しい上、人里離れた不便な立地条件から

どんなに就職難でも、そこだけは常に募集広告の出ている

かの有名な○○園。

ああ、納得、納得。


しかし我が家には、それだけで終わらない事情があった。

なぜなら○○園には、私の妹の旦那が勤めているからだ。

彼は創業当時から、そこで事務をしている。

酔うとしつこいので、私も夫も、彼が苦手。

義弟とルイーゼの面識は、無いに等しいが

彼が○○園で働いていることは、昔からルイーゼも知っている。


よりによって…何でまた…

天敵の義弟シュンの職場に、天敵の義姉ルイーゼが…

運命とは恐ろしい…

我々一家、その日はこの話題で盛り上がった。


しかし我々は、肝心なことを忘れていた。

○○園で、ルイーゼがいったい何の仕事をしているか…だ。

人見知りが激しく、老人が苦手なルイーゼが、介護の仕事をするわけがない。

事務であれば、義母ヨシコが秘密にするわけがない。

ヨシコが次男に漏らした「頼まれて仕方なく行っている福祉のお仕事」とは

何を意味するのか、その時はわからなかった。


が、疑問は早晩明らかとなる。

ちょうど妹から電話があったので、持ち前のデバガメハートを押さえられず

私が妹にたずね、妹が旦那にたずねたからだ。

ルイーゼは、○○園が業務委託している給食会社から派遣され

厨房で給食調理員をしていた。


よりによって…何でまた…再度耳を疑う。

私がその職種に就いている時、ルイーゼは

「私にはとても無理…大学を出ていて、良かった」

などと言っていたからである。


しかし50も半ばになると、事務職を選り好みするわけにもいかないだろう。

ルイーゼの旦那は、市外の病院で会計係をしており

その病院にも同じ給食会社が入っているので

話はそこからもたらされたと推察する。

福祉のお仕事って、幅が広いのね。


「姉ちゃんに親のごはん作らせて、自分はよそのごはん作って金儲けかいっ!」

妹は憤慨していた。

週に3日、3時間程度では、たいした金儲けにもならないけど

なるほど、両親も隠したがるはずである。

気にしなくていい、と両親には言ってあげたい。

だが、彼らは秘密にしているつもりなので、触れないほうが賢明であろう。


もしかしたらルイーゼは、親の治療食作りを

私と交代するつもりで、勉強してくれているのでは…

かわいそうに、だから細い体であんな重労働を…

でも早くしてくれないと、間に合わ~ん…

私のつぶやきを、夫は「甘い」と断じた。

「みりこんには、まだルイーゼがわかってない。

 ただの逃げ場探しじゃ。

 ワシら一族のDNAじゃ!」

学習が足りないようであった。
コメント (73)
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