まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第13回中国観音霊場めぐり~山陽線を行く

2020年07月27日 | 中国観音霊場

山陽新幹線で岡山、山陽線で糸崎まで来て、9時52分発の岩国行きに乗る。糸崎で乗り継いだ時はすぐの発車だったが、次の三原で4分停車。中国観音霊場めぐりでは三原からバス(紅葉の時季だったので臨時便が出ていた)で仏通寺を訪ねたが、山陽線のこの先の広島までの区間に乗るのは久しぶり、中国観音霊場めぐりでは初めてである。

三原の市街地を抜け、本郷を過ぎる。この先の河内までの区間が2018年の西日本豪雨で被害が大きかったところである。線路に並走するように沼田川が流れているが、氾濫して一帯が冠水してしまった。沼田川が増水して、支流の水が合流することができずにその付近で水があふれてしまう「バックウォーター現象」である。この時倉敷の真備町で大きな被害が起きたのもそうだし、昨年2019年の台風19号で長野や福島、そして今年2020年の熊本や岐阜の豪雨で大きな被害が出たところでも同じ現象が起きている。西日本豪雨を受けて、各地でも同じ現象が起きる可能性が指摘されて、政府も「何とかしなければ」と対策を考え始めたところだったが、自然は待ってくれない。

山陽線に大きな被害が出たことで、通勤通学の足としてはもちろんだが、貨物列車へのダメージが大きかったのが、そうした業界に身を置く者として気がかりであった。トラック、船舶による代行輸送や、伯備線~山陰線~山口線の迂回列車の運転という対応で何とかしのいだ結果、2ヶ月で復旧できたのは奇跡的だった。その一方で、2020年の豪雨では山陽線は被害はなかったものの、芸備線、福塩線がまたも長期運休となっている。これらの路線の今後のあり方にも影響が出そうな話である。

車窓を見るとまだまだ復旧作業が行われていたり、橋の半分が流失してそのままになっているところもある。

糸崎を出てから外は雨がぱらつくようになった。この日は移動がメインとはいえ、山口まで行ったら第16番の洞春寺、もしくは第17番の龍蔵寺のどちらかは今日中に回っておきたいとも思う。ただそれも現地の天候次第で、スマホで雨雲予報を見ると、濃い色の表示が九州北部から山口県にかけて覆っている。この先、本格的な雨雲の中に自ら突っ込んでいく形である。まあ、状況次第だ。

河内から白市、西条という東広島市内に入る。西条の次に寺家という駅ができていたとは知らなかった。広島のベッドタウンとして住宅地も広がるところで、2017年にできた駅だという。

八本松から瀬野の下りも山深いところで、この一帯も西日本豪雨の被害を受けたところである。こちらは瀬野川の氾濫による。

ようやく平野部に差し掛かり、広島貨物ターミナル、そしてマツダスタジアム脇を通る。この日はカープは甲子園での遠征で、グラウンド、スタンドは無人だった。11時13分、広島に到着。立ち客も出ていた車内のほとんどの客が下車した。2分の停車で岩国に向かう。

相変わらず雨が降ったりやんだりの中、広島市街を抜け、宮島口に到着。観光客らしい姿の人の下車も目立つ。コロナ禍の影響で観光客も激減したのではないかと思う。このタイミングでは雨が続いているし、厳島神社の大鳥居も修復工事中だし、カキのシーズンではないし、大丈夫かと気がかりである。

山口県に入り、12時13分、岩国に到着。次に乗るのは12時34分発の下関行き。待ち時間があるので構内のコンビニで昼食を仕入れるが、列車が2両編成との表示なので早めにホームに戻る。115系の3000番台なら転換クロスシートで快適に行けるところだが、2両編成となると昔ながらのボックス席車両なのかな。

折り返しでやって来たのは115系のボックス席車両。無事に海側のボックス席を確保することができた。以前の中国観音霊場めぐりではこの先の徳山までの区間はレンタカーで移動したり、岩徳線に乗ったりしていたので、山陽線に乗るのも先ほどの三原~広島間同様久しぶりのことである。そういえば四国八十八所めぐりの時、松山に行くのにわざわざ柳井まで行って、柳井~三津浜のフェリーに乗ったことはあるが・・。

南岩国ではレンコン畑(ちょうどハスの葉が大きく広がっている)と東洋紡の工場という組み合わせの景色を見て、安芸灘の車窓に差し掛かる。雨の中というのが残念だが、この先、柳井港までは安芸灘や周防大島を中心とした島々の景色が楽しめる。今回多少時間がかかっても在来線乗り継ぎを選んでよかった。

田布施、岩田といった昔の国鉄の風情を残す駅を過ぎ、櫛ヶ浜で岩徳線と合流する。13時41分、徳山に到着。ここで17分停車。まあ、外に出ることもないから車内で過ごす。長時間停車なのは地域の中心駅ということで時間調整しているのかなと思っていると、隣を貨物列車が通過して行った。列車によっては10分以上停まることもあればすぐに発車することもあり、長く停まるのは貨物列車との兼ね合いと思われる。

徳山を発車。ここに来て雨も上がり、空が明るくなってきた。この先の予断は許さないが、現地に到着して何とか持ってくれればラッキーというくらいの気持ちで構えておく。途中の戸田~富海の海沿いの区間は先ほどよりは明るい空の下で進んでいく。

防府を過ぎて、次の大道では駅の南側に高川学園高校・中学校の立派な校舎が現れた。前回もこの駅は通過しているが、反対側の座席に座っていたためか全く気付いていなかった。高川学園は進学、スポーツにも力を入れており、私学のアピールとして校舎には合格者の出た大学名や、全国大会出場を祝う垂れ幕も出ている。特にサッカーは、前身の多々良学園時代も含めて全国大会の常連だという。

また、校舎の横には立派な人工芝が敷かれた野球のグラウンドがある。そういえば甲子園にも出ていたっけ。今年はコロナ禍のために夏の甲子園は中止となり、各都道府県ごとの大会に切り替わったが、この記事を掲載している7月27日の時点では、山口県大会の準々決勝に勝利し、次は準決勝というところまで来ている。

「間もなく新山口です」の案内が入る。新山口到着は14時40分。新大阪を出たのが朝の6時59分だから、乗り換え時間を入れて7時間40分・・・長かったが、久しぶりに乗る区間も多かったこともありそれほど退屈することもなかった。

次に乗るのは14時56分発の山口線山口行き。「SLやまぐち号」が発着するホームには「おごほり」の駅名標も観光用に立てられている。この日宿泊するのは湯田温泉で、それならば湯田温泉で下車していったんホテルに行くところだが、まずは山口まで乗ることにした。この後の山口線と山口市内のバスの時刻表を見たうえで、山口線の山口着が15時19分、そして駅前から15時25分発のJRバスで県庁前まで移動、そしてバス停から徒歩10分とある第16番の洞春寺に行くことにした。後で触れるが、洞春寺は山口で有名な観光スポットである瑠璃光寺に隣接している。夕方の時間帯で瑠璃光寺も見られるならば、そこまでをこの日のうちに回ったうえで湯田温泉に移動しても18時前にはホテルにチェックインできる計算だ。

そう決めて車内で待っていると車掌からの案内が入る。この日、島根県内の大雨の影響でダイヤが乱れていて、山口方面から14時41分着の特急「スーパーおき3号」の到着が遅れているという。山口線は単線のため、その到着を待ってからの発車になるとのこと。その「スーパーおき3号」が入ったのは15時10分頃。それと入れ替わるように山口行きは発車したが、この時点で山口からの15時25分発のバスには間に合わないことが確定。次のバスは15時51分発とあり、まあ、洞春寺の納経所の時間には何とか間に合うかなというところである。

単純に山口市内に行くだけなら並走する国道9号線を行く路線バスがあることは承知しており、山口線が遅れていることを知った時点でバスに切り替えれば早くに移動できたと思う。ただ、せっかく青春18きっぷを持っているし、山口線に乗るのも久しぶり、国鉄型気動車にも乗りたいということで、ここは山口線を選択した。翌日の行程では、湯田温泉から新山口まで路線バスで移動する前提にしているが。

国道沿いの大型店舗も並ぶ中を走り、湯田温泉を通過。15時30分頃に山口に到着する。ちょうどこの先の益田まで向かう列車と接続しており、そちらに乗り換える人もいる。

さて、県庁所在地のある駅ではあるが、新幹線、山陽本線、宇部線、山口線のジャンクションである新山口と比べるとどうしても地味に見える。やはり新山口が表玄関の印象がする。山口駅の小ぶりな建物内にも一応観光案内所、土産物も扱うコンビニはあるが、観光客の姿もほとんど見られない(まあ、これはコロナ禍の影響かもしれないが)。

ここで宿泊用のバッグをコインロッカーに入れる。洞春寺、瑠璃光寺を回った後は県庁前からそのまま湯田温泉に移動すればいいことだが、寺回りの時は身軽にしておきたいので、いったん山口駅に戻るのもやむなしとする。

ここまで長かったが、ようやく本題の観音霊場めぐりである・・・。

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