まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第33番「華厳寺」~西国三十三ヶ所巡り・39(満願の後)

2015年12月23日 | 西国三十三所
華厳寺で満願の朱印をいただいた後、堂内にある戒壇めぐりを行う。階段を下りて本尊の下に行くのだが、普段の生活では感じることのない暗闇である。この暗闇のどこかに鍵があり、それに触れるとご利益があるとされるが・・・どこなのかわからない。それよりも暗闇で遭難しないように左手で壁を伝うのが精一杯。時間にして5分と経っていないがスリルあるものである。

本堂のちょうど裏にある苔の水地蔵。こちらは貼り仏ということで、紙の札を自分の体の治したい部分に貼る。あちこちに札が貼られているお地蔵さんを見ると、何だか罰ゲームを受けている感じだ。私も1枚札をお供えする。

その隣には、朱印で「未来」とされていた笈摺堂。交通機関もない昔の巡礼というのは、途中で命を落とすかもしれないという過酷なものであった。それを無事に乗り越えて満願を果たしたということで、御礼に身に着けていた笈摺を奉納したのがこの堂である。無数の笈摺が積み上げられている。そして堂の周りには千羽鶴も多く飾られている。何でかなと思うが、「おいずる」・・・「おりづる」・・・「折鶴」ね。特に団体さんだと、折鶴を持って賑やかに華厳寺にやって来るのかな。笈摺堂の周りには、西国札所の満願記念の写真や額も多く飾られている。

その奥に、朱印で「過去」とされていた満願堂がある。「満願」の石碑が並ぶ石段を上がったところにある。西国三十三所めぐりで来たならここまでは来る必要があるということか、先ほど本堂で見かけなかった銀箱の納札入れはここにあった。ということでもう一度勤行次第を取り出して般若心経を一通り唱える。これでようやく西国めぐりの「結願」ということになるのだろう。

それにしても満願堂の周りに狸が多いのはどういうことだろうか。狸の満腹姿が満願を連想させるということか。これ以外には「たぬき」・・・「他抜き」・・・「他を抜く」ということで縁起がいいからという説もあるそうだ。折鶴に狸・・・華厳寺も案外シャレ好きなところがある。

さらに40分ほど上る奥の院はパスして、再び本堂に戻る。最後に、柱に打ちつけられている「精進落としの鯉」に触れる。昔の巡礼は精進潔斎の中で行われていたわけで、この鯉に触れるのは巡礼を終えて普段の生活に戻る儀式である。なぜ鯉か。またシャレがあるのかと思うが・・・思いつかない。まあ、江戸時代は肉食は一般には行われなかったわけで、生臭ものといっても魚。また魚といっても海の魚は限られていただろうから、身近なものとして鯉ということなのだろう。

巡礼中精進生活を送っていたわけではないが、私もこれで精進落としとして、せっかくなので門前町で食事をしよう。ただその前に一風呂ということで、谷汲集落の交差点の南にある「満願の湯」に向かう。天然温泉で、露天風呂も結構広い。ここで疲れを癒す。

そして食事。再び参道に戻り、「松屋」という食堂に入る。古民家を改装したような造りで、座敷に中庭もある。これで満願後の打ち上げとする。アテは名古屋風の味噌おでん。豆腐とこんにゃくの盛り付けである。

谷汲はしいたけが名産ということで、食事にはしいたけ定食を選択。直径7~8cmはある焼きしいたけと天ぷらがメイン。これを生姜醤油味でいただく。結構歯ごたえがあっておいしい。またごはんを少し、先のおでんの味噌だれにまぶしていただく。これもまた良い。

・・・よく見れば、精進落としといいながらおかずはしいたけ、豆腐、こんにゃく。まあ、このほうが健康的でいいか・・・。

行きは樽見鉄道の谷汲口駅から来たが、帰りはルートを変えてみたい。かつての名鉄谷汲線がなくなった地元は、鉄道を残そうということで樽見鉄道と養老鉄道の幟を立ててPRしている。そういうこともあって、帰りは養老鉄道の揖斐駅に出る。ちょうどコミュニティバスの時間が近い。

やって来た揖斐駅行のバスは名阪近鉄バスの車両。経営は揖斐川町が行い、実運送は名阪近鉄バスが担っているというところ。田園風景を走り、揖斐川町役場など中心街を過ぎて30分弱で揖斐駅に到着する。

ここから養老鉄道の車両に乗る。養老鉄道は元の近鉄揖斐線で、2007年に近鉄の子会社として養老線と合わせて経営を引き継いだのだが、その養老鉄道も存続が揺れている。赤字部分を大垣市をはじめとした沿線自治体が補填しているのだが、近鉄が今年沿線自治体に申し入れた「公有民営方式」への対応について、自治体ごとの対応が割れているそうだ。他の沿線自治体が「公有民営方式」にやむなしとしているのに対し、両線の分岐駅のある大垣市が難色を示している。大垣市は沿線の中で最大の自治体ということを考えれば、これは結構ヤバい方向に向かっているのではと心配である。

その大垣に到着。2両編成とはいえ結構な数の乗客とともに下車する。時刻は13時前、帰阪するにはまだ早いということで、しばらく大垣の町歩きをすることに・・・。
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