先月30日に大盛況だった大阪マラソンに続き、本日20日は関西4大市民マラソンの第2戦となる神戸マラソンが行われた。
2万5000人がエントリーするというこのマラソンであるが、今回は私の知っている人が2人出場するということで、声援を兼ねて観戦に訪れることにした。
一人はこのブログでもリンクしているが、奈良を本拠地に活動している司法書士のKEN氏。彼のブログではこの夏以降はとにかくほぼ毎日かかさず長距離の走り込みを行っていることが書かれており、市民ランナーとしての練習量は大変なものがある。このレースでも自身の自己ベスト更新だけではなく、このところカンボジアへの国籍変更でロンドン五輪を目指すとかで話題になっている猫ひろしさんの記録を上回るのが目標という。ということは2時間30分の前半ということで。
もう一人は以前に旅のサークルでご一緒させていただいたOさん。このマラソンのためにはるばる横浜から遠征ということで、こちらも神戸でのさまざまな活動に触れて「地元の皆さんの熱意というのを感じています」というコメントをいただいている。こちらは目標4時間とか。
コースマップを見て、どのあたりにポイントを置くかを決める。やはり神戸らしい、このコースならではのところで見たいという気持ちはあるのだが・・・。
とりあえず早朝から神戸に向かうことにする。今回はちょうど有効期間にある「スルッとKANSAI 3daysチケット」と購入。これで自宅から大阪市内への往復も含め、神戸、さらにその先への移動もスムーズに行ける。3日分で5,000円するが、また別の日に出かければ十分元は取れる計算である。
そして向かったのは神戸・元町。やはり神戸なのだから旧居留地の洋館街とか中華街などをバックに走るところを見たいなという気がしたのだ。ただマップをよく見ると洋館街が面している2号線あたりはコースに入っておらず、ならばということで中華街の長安門前に移動する。まだ朝早いとあってそれほど観客の姿はいないが、おそらくこの辺りは大観衆に膨れ上がるのだろう。スタッフの人が応援用の紙製メガホン(こちらにコースや交通規制ポイントが載っている)を配っており、これを応援グッズということで。
ちょうどここはスタート地点から1キロにもならない区間である。ただ、ワンセグでサンテレビの中継(午前中に生中継、午後から録画を交えた特番をやるとか)をやっているのを見ると、スタート地点の神戸市役所前は見渡す限り人、人、人・・・で埋め尽くされているようである。これではKEN氏やOさんの姿を探すのは(KEN氏からはゼッケン番号を教えてもらっていたが)まず不可能である。
9時のスタートから2分、先導車と白バイがやってきた。これに続くのは先頭集団。ケニア出身のワキウリ選手の姿も見える。ゲストランナーということで参加しているとのこと。
そして第一集団が続く。このあたりはかなりの人数がスピードを上げて通過するので、誰が誰やらわからない。これに合わせて長安門の前で龍の舞が披露され、「神戸らしさ」を演出する。
その後となるととにかく歩道を埋め尽くす人の波である。真剣に走ろうというランナーもいれば、コスチュームのほうで目立とう(それだけ楽しんで走ろう)というランナーもいて、市民マラソンらしい光景が見られる。それにしても、阪神タイガースのユニフォームやら虎の被り物や帽子などにをまとう人というのは結構目立つなあ。
さて、ある程度人の波が過ぎたところで、移動にかかる。目指すのは折り返し地点となる舞子公園。ちょうど明石海峡大橋の下で折り返すことになる。そこは一つ観戦ポイントになるかな。ということで、また元町駅に戻り、山陽電車への直通特急で西へ向かう。同じように西へ移動しようという人も結構乗っているようだ。ただ、神戸市街区間は直通特急といえども各駅に停まっていく。このために思うほど早く進めない。
地上に出る。ちょうど線路と須磨の海岸が近づくポイントであるが、もうすでにランナーの姿が結構見える。思わず扉のガラス越しに撮影する。KEN氏ももう先に行っていたりして。向こう側には須磨のギラギラした海岸を眺めることができるのだが、果たしてランナーたちの目にはその海岸は目に映っているのだろうか。
明石海峡大橋に臨む舞子公園に到着。とにかく西からの風が強い。これではランナーも苦労するのではないだろうか。
そしてそれよりもすでに折り返し点には何重もの人垣ができており、沿道を眺めるのも結構先のほうまで行かなければならない。すでにトップランナーは過ぎ去っているようだ。後のことも考えてここでの声援は断念、すぐに東方向に戻ることにする。
帰りは新長田までJRで移動。こちらからもランナーたちの姿を見ることができる。まだまだこの人垣は続いているようだ。ただ、これより後続まで来るとトップランナーたちのレースというよりは、何か祭りで山車を曳く行列でも続いているかのように見える。電車から「車窓」として見ているからだろうか。
新長田到着。ここでは駅前の鉄人28号モニュメントを見る。往路のコースではこの後ろを通ることもあり、広場では数々の屋台が出ており、かつ新長田商店街のパンフレットを配る光景も見られた。確かこのマラソンのテーマは「感謝と友情」。そこには「被災からの復興」ということも含まれており、16年前の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた新長田地区から、今年の東日本大震災で被災した東北を支援するということで東北の屋台も出ていたりした。
さて、ここから地下鉄の海岸線に乗り換えてやってきたのは和田岬駅。今でこそ地下鉄の駅として機能しているが、一昔前までは(現在もあるのだが)JRの和田岬線の終点駅である。コースで言えばちょうど32キロ手前の地点。ここまで来ればランナーの波も長くなっており、走ってくる人を見つけやすいということもある。少し手前にホームズスタジアムがあり、観客の多くはそちらに行くと考えれば、まあ穴場というところか。鉄道ファン的にも「和田岬駅」といえば独特の位置づけがあることだし・・・・。ということで、ここだけは間に合うように移動してきた。
11時10分前に到着。スタッフの人に尋ねるとトップはすでに通過したという。ただ、KEN氏が自分で想定するラップタイムからすれば来るまではもう少し時間がありそうだ。周りはそれほど観客もおらず、またランナーもまばらにしかやって来ないので探すのもそう難しくないだろう。穴場の見立てとしてはよかったかなと思う。
何人かのランナーが通過していき(写真は女子の部のトップランナー)、このあたりはゼッケン番号も若く、いかにもよく走りそうという人たちが通過していく。
そして遠くに見覚えのある体格、ゼッケン番号も聞いていた通りのものだ。メガホンを片手に名前を呼ぶと、向こうもこちらに気づいたようで手を振って応えてくれる。結構しんどそうだが残り10キロあまり、何とかベストタイムに向けて頑張ってほしいものである。
この後はランナーも少しずつやってくるが、朝から動き回ったこともあり早めの昼食とする。入ったのはその名も「駅前」という店。昼は定食、夜は海鮮を中心とした居酒屋で、ここでは日替わりの定食をいただいたが、夜の部も訪れてみたくなるような雰囲気のところであった。
さて、ここからは和田岬線に乗って兵庫駅まで移動して・・・と言えば簡単なのだが、和田岬線といえば知る人ぞ知る路線である。
時刻表はご覧のとおり。純粋な通勤路線なのである。まあ、こういうコアな場所というのも観戦場所に選んだ理由なのだけど。ちなみにこの日、次の列車は17時台!
まあ地下鉄で移動してもいいのだが、道の勝手も知っているところであり、少しでもランナーと同じ空間を楽しもうということで、このままランナーの波に併走する形でしばらくコース沿いに歩いてみる。和田岬から中央卸売市場を経て神戸駅に至るあたりは工場やら市場やらが多いこともあり、それほど観客もいない。それだけに選手に近いところで声援を送ることができる。コース沿いに歩きながら、ランナーたちに声をかける。さすがにOさんの姿は、4時間でゴールするならちょうどこの辺りを走ってそうなものだが人数が多く見つけることはかなわなかったが・・・(こちらが歩いている横を通過していった、ということにはなると思うが)。
沿道のサポートも充実しており、給水ポイントでは水にスポーツドリンクのコップを大量に並べ、補食ポイントではバナナに紀州みかん。それを受け取るランナーもいれば、さすがに30キロを過ぎて脚に来ているランナーも目につく。
中にはコースを外れてストレッチをしたり、スタッフの人にスプレーをかけてもらったりという光景も。競技マラソンではない市民マラソンとしての光景で、そういう人にはコース復帰後より大きな声援が送られる。
歩道橋の上から見ると、やはり圧巻ですな。
そのまま歩いてやってきたのは神戸駅前ハーバーランド地区。神戸新聞の建物の前ではサンバが披露されていたり、太鼓をたたいての声援も送られる。さすがにこの辺りは観客が多く、選手を奮い立たせてくれる。
ここで国道2号線に出るが、普段は大阪方面からの高架道路となっているところが本日はマラソンコースになっている。それを上るランナーたち。普段はクルマが走る高架を多くの人が上るのも異例の光景。ただその横で毛布を掛けられている人も。そこに救急車がかけつけて運ばれていった。さすがに終盤に来て限界が来てしまったか。マラソンの過酷な一面を垣間見たように思う。
結局観戦はここで終了。後でKEN氏から聞いたところでは、タイムは2時間44分10秒。自己ベストおよび目標タイムには及ばなかったものの、上位陣もそれほどタイムが伸びていたわけでなく、この日のコンディションも考えれば決して悪いタイムではないと思う。それだけ、練習量はきちんと出ていたのではないだろうか。一方、ネットで検索したところではOさんは4時間14分という記録。こちらも目標を4時間ということを考えればまずまずのところではないだろうか。ともにお疲れ様でした。
さて、こうやって市民マラソンを見るに、走る人、サポートする人、それぞれの思いというのがよく伝わったイベントだったと思う。沿道に出ているだけで何だかランナーたちから元気をもらったような気もしたし。復興と街の活性化のために、今後続けて実施されることを期待したいところである。
え?お前は(例えばバファローズのユニフォーム姿で)走らないのかって??・・・・いやいやいや、そいつはご免こうむりやしょう。走る前に、まず42キロを続けて歩けるくらいにウエイトを落とさないと・・・。