写真①:「重要伝統的建造物群保存地区」国選定を祝う看板
=佐賀県鹿島市浜町で、2006年11月19日午前11時48分撮影
ワークショップ佐賀視察(3)
「重伝建」国選定の効果
「ジュウデンケンで…、ジュウデンケンで…」と、おまじないのような言葉が、佐賀県鹿島市のNPO法人「肥前浜宿(はましゅく)水とまちなみの会」代表・熊本義泰さんの「肥前浜宿」の街づくり経過に関する説明で、何度も出てきました。
「ジュウデンケン」? 何のことかと思ったら、「重伝建」と書き、「重要伝統的建造物群保存地区」の略でした。文化財保護法に基づき、市町村が条例等で決定した城下町、宿場町など「伝統的建造物群保存地区」のうち、特に価値が高いものとして国が選定したものを指し、「重伝建地区」とか、「伝建」とも略されます。保存地区内では、社寺、民家、蔵などの建築物から門、土塀、水路などの工作物、庭園、生垣、樹木などの「環境物件」を特定し、保存を図るとされています。
2006年7月、鹿島市の歴史的な町並み2地区が全国的にも貴重だとして、文化庁からこの「重伝建」に選定され、熊本さんたちが取り組んできた「肥前浜宿」の街づくりは新たな展開を見せることになります。
「重伝建」に選定されたのは、「醸造町」として白壁土蔵の町家が並ぶ〝酒蔵通り〟=写真②=の「浜中町八本木宿」と、港町・在郷町として茅葦葺き町家と桟瓦葺き町家が軒を連ねる「浜庄津町浜金屋町地区」=写真③=。とくに「醸造町」としての選定は、全国でも〝酒蔵通り〟だけです。
選定に先立ち、国の文化審議会が4月に2地区を「重伝建」に選定するよう文部科学相に答申したのを受け、鹿島市は6月、観光資源や産業振興資源として期待される「肥前浜宿」関連事業として、酒蔵通りの電柱移設や保存建築物調査に06年度補正予算で「歴史的町並みの保存活用経費」約4千万円を組むなど、街づくりに本腰を入れる姿勢を示しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/ce/68107613cc5c402d22980a075e67e40f.jpg)
写真②:「醸造町」として白壁土蔵の町家が並ぶ〝酒蔵通り〟
=鹿島市浜町の「中島酒造」前で、06年11月19日午前11時16分撮影
国選定の「重伝建地区」にある伝統的な建物の多くは、江戸時代後期から昭和初期にかけての建築で、草葺民家から洋館までバラエティに富み、旧長崎街道沿いに異なる業種の住民が住み分けして商家町、漁師町、下町などを作りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/55/cc556693d6c8347d0a755ce4df025284.jpg)
写真③:港町・在郷町として茅葦葺き町家が軒を連ねる「浜庄津町浜金屋町地区」
=鹿島市浜庄津町で、11月19日午前11時56分撮影
「肥前浜宿水とまちなみの会」は10月15日、鹿島市浜町の酒蔵通りにある「呉竹酒造東蔵」=写真④=で、「肥前浜宿 重要伝統的建造物群保存地区選定記念シンポジウム」を行いました。国文化財選定委員の宮本雅明九州大教授が、「肥前浜宿2地区選定とこれから」と題して記念講演。このあと、会のアドバイザー役を務めてきた三島伸雄・佐賀大学助教授がコーディネーターとなり、熊本達哉・文化庁主任文化財調査官が基調講演し、熊本さんや北島力・全国町並み保存連盟理事(福岡県八女市)、迎昭典・鹿島市歴史的景観審議会会長をパネリストに、浜宿の街づくりについて討論しました。
「呉竹東蔵」では、「水とまちなみの会」が05年11月にはウィーンを活動拠点とする盲目の世界的ピアニスト・梯剛之さんの酒蔵ピアノリサイタルも行い、620人が入場し、大盛況でした。また、「重伝建」での子供と大人も参加するスケッチ大会や、地区の商店や住民が一帯となった「花と酒まつり」開催など、会の地道なイベント活動も「重伝建」選定の原動力になったといえるでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/cd/b8b3954343514bc0ef35f70e1897df82.jpg)
写真④:「重伝建選定記念シンポジウム」やコンサートの舞台となった「呉竹東蔵」
=鹿島市の呉竹酒造で、11月19日午前11時28分撮影
「重伝建」は7月現在、全国で78地区が選定され、うち佐賀県は鹿島市2地区のほかに、有田町有田内山地区の製磁町、嬉野町塩田津の商家町と計4地区。九州では福岡県も、八女市八女福島の商家町と、うきは市筑後吉井(旧吉井町)の在郷町、朝倉市秋月(旧甘木市)の城下町、黒木町の在方町の計4地区です。
「津屋崎千軒」の町並みは、商家町と港町の要素を備えています。「重伝建」に選定されるには、まず市の条例等で「伝統的建造物群保存地区」を決定し、特に価値が高いものとして国から選定されなければなりません。「津屋崎千軒」通りに、その資格を備えた伝統的建造物群が保存されている状況でしょうか。課題は山積しているようです。
=佐賀県鹿島市浜町で、2006年11月19日午前11時48分撮影
ワークショップ佐賀視察(3)
「重伝建」国選定の効果
「ジュウデンケンで…、ジュウデンケンで…」と、おまじないのような言葉が、佐賀県鹿島市のNPO法人「肥前浜宿(はましゅく)水とまちなみの会」代表・熊本義泰さんの「肥前浜宿」の街づくり経過に関する説明で、何度も出てきました。
「ジュウデンケン」? 何のことかと思ったら、「重伝建」と書き、「重要伝統的建造物群保存地区」の略でした。文化財保護法に基づき、市町村が条例等で決定した城下町、宿場町など「伝統的建造物群保存地区」のうち、特に価値が高いものとして国が選定したものを指し、「重伝建地区」とか、「伝建」とも略されます。保存地区内では、社寺、民家、蔵などの建築物から門、土塀、水路などの工作物、庭園、生垣、樹木などの「環境物件」を特定し、保存を図るとされています。
2006年7月、鹿島市の歴史的な町並み2地区が全国的にも貴重だとして、文化庁からこの「重伝建」に選定され、熊本さんたちが取り組んできた「肥前浜宿」の街づくりは新たな展開を見せることになります。
「重伝建」に選定されたのは、「醸造町」として白壁土蔵の町家が並ぶ〝酒蔵通り〟=写真②=の「浜中町八本木宿」と、港町・在郷町として茅葦葺き町家と桟瓦葺き町家が軒を連ねる「浜庄津町浜金屋町地区」=写真③=。とくに「醸造町」としての選定は、全国でも〝酒蔵通り〟だけです。
選定に先立ち、国の文化審議会が4月に2地区を「重伝建」に選定するよう文部科学相に答申したのを受け、鹿島市は6月、観光資源や産業振興資源として期待される「肥前浜宿」関連事業として、酒蔵通りの電柱移設や保存建築物調査に06年度補正予算で「歴史的町並みの保存活用経費」約4千万円を組むなど、街づくりに本腰を入れる姿勢を示しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/ce/68107613cc5c402d22980a075e67e40f.jpg)
写真②:「醸造町」として白壁土蔵の町家が並ぶ〝酒蔵通り〟
=鹿島市浜町の「中島酒造」前で、06年11月19日午前11時16分撮影
国選定の「重伝建地区」にある伝統的な建物の多くは、江戸時代後期から昭和初期にかけての建築で、草葺民家から洋館までバラエティに富み、旧長崎街道沿いに異なる業種の住民が住み分けして商家町、漁師町、下町などを作りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/55/cc556693d6c8347d0a755ce4df025284.jpg)
写真③:港町・在郷町として茅葦葺き町家が軒を連ねる「浜庄津町浜金屋町地区」
=鹿島市浜庄津町で、11月19日午前11時56分撮影
「肥前浜宿水とまちなみの会」は10月15日、鹿島市浜町の酒蔵通りにある「呉竹酒造東蔵」=写真④=で、「肥前浜宿 重要伝統的建造物群保存地区選定記念シンポジウム」を行いました。国文化財選定委員の宮本雅明九州大教授が、「肥前浜宿2地区選定とこれから」と題して記念講演。このあと、会のアドバイザー役を務めてきた三島伸雄・佐賀大学助教授がコーディネーターとなり、熊本達哉・文化庁主任文化財調査官が基調講演し、熊本さんや北島力・全国町並み保存連盟理事(福岡県八女市)、迎昭典・鹿島市歴史的景観審議会会長をパネリストに、浜宿の街づくりについて討論しました。
「呉竹東蔵」では、「水とまちなみの会」が05年11月にはウィーンを活動拠点とする盲目の世界的ピアニスト・梯剛之さんの酒蔵ピアノリサイタルも行い、620人が入場し、大盛況でした。また、「重伝建」での子供と大人も参加するスケッチ大会や、地区の商店や住民が一帯となった「花と酒まつり」開催など、会の地道なイベント活動も「重伝建」選定の原動力になったといえるでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/cd/b8b3954343514bc0ef35f70e1897df82.jpg)
写真④:「重伝建選定記念シンポジウム」やコンサートの舞台となった「呉竹東蔵」
=鹿島市の呉竹酒造で、11月19日午前11時28分撮影
「重伝建」は7月現在、全国で78地区が選定され、うち佐賀県は鹿島市2地区のほかに、有田町有田内山地区の製磁町、嬉野町塩田津の商家町と計4地区。九州では福岡県も、八女市八女福島の商家町と、うきは市筑後吉井(旧吉井町)の在郷町、朝倉市秋月(旧甘木市)の城下町、黒木町の在方町の計4地区です。
「津屋崎千軒」の町並みは、商家町と港町の要素を備えています。「重伝建」に選定されるには、まず市の条例等で「伝統的建造物群保存地区」を決定し、特に価値が高いものとして国から選定されなければなりません。「津屋崎千軒」通りに、その資格を備えた伝統的建造物群が保存されている状況でしょうか。課題は山積しているようです。