吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2006年11月21日/〈日記〉53・「津屋崎千軒考え隊」ワークショップ佐賀視察(3)

2006-11-21 15:46:31 | 日記
写真①:「重要伝統的建造物群保存地区」国選定を祝う看板
     =佐賀県鹿島市浜町で、2006年11月19日午前11時48分撮影

ワークショップ佐賀視察(3)

 「重伝建」国選定の効果
 
 「ジュウデンケンで…、ジュウデンケンで…」と、おまじないのような言葉が、佐賀県鹿島市のNPO法人「肥前浜宿(はましゅく)水とまちなみの会」代表・熊本義泰さんの「肥前浜宿」の街づくり経過に関する説明で、何度も出てきました。

 「ジュウデンケン」? 何のことかと思ったら、「重伝建」と書き、「重要伝統的建造物群保存地区」の略でした。文化財保護法に基づき、市町村が条例等で決定した城下町、宿場町など「伝統的建造物群保存地区」のうち、特に価値が高いものとして国が選定したものを指し、「重伝建地区」とか、「伝建」とも略されます。保存地区内では、社寺、民家、蔵などの建築物から門、土塀、水路などの工作物、庭園、生垣、樹木などの「環境物件」を特定し、保存を図るとされています。

 2006年7月、鹿島市の歴史的な町並み2地区が全国的にも貴重だとして、文化庁からこの「重伝建」に選定され、熊本さんたちが取り組んできた「肥前浜宿」の街づくりは新たな展開を見せることになります。

 「重伝建」に選定されたのは、「醸造町」として白壁土蔵の町家が並ぶ〝酒蔵通り〟=写真②=の「浜中町八本木宿」と、港町・在郷町として茅葦葺き町家と桟瓦葺き町家が軒を連ねる「浜庄津町浜金屋町地区」=写真③=。とくに「醸造町」としての選定は、全国でも〝酒蔵通り〟だけです。

 選定に先立ち、国の文化審議会が4月に2地区を「重伝建」に選定するよう文部科学相に答申したのを受け、鹿島市は6月、観光資源や産業振興資源として期待される「肥前浜宿」関連事業として、酒蔵通りの電柱移設や保存建築物調査に06年度補正予算で「歴史的町並みの保存活用経費」約4千万円を組むなど、街づくりに本腰を入れる姿勢を示しました。


写真②:「醸造町」として白壁土蔵の町家が並ぶ〝酒蔵通り〟
     =鹿島市浜町の「中島酒造」前で、06年11月19日午前11時16分撮影

 国選定の「重伝建地区」にある伝統的な建物の多くは、江戸時代後期から昭和初期にかけての建築で、草葺民家から洋館までバラエティに富み、旧長崎街道沿いに異なる業種の住民が住み分けして商家町、漁師町、下町などを作りました。


写真③:港町・在郷町として茅葦葺き町家が軒を連ねる「浜庄津町浜金屋町地区」
     =鹿島市浜庄津町で、11月19日午前11時56分撮影

 「肥前浜宿水とまちなみの会」は10月15日、鹿島市浜町の酒蔵通りにある「呉竹酒造東蔵」=写真④=で、「肥前浜宿 重要伝統的建造物群保存地区選定記念シンポジウム」を行いました。国文化財選定委員の宮本雅明九州大教授が、「肥前浜宿2地区選定とこれから」と題して記念講演。このあと、会のアドバイザー役を務めてきた三島伸雄・佐賀大学助教授がコーディネーターとなり、熊本達哉・文化庁主任文化財調査官が基調講演し、熊本さんや北島力・全国町並み保存連盟理事(福岡県八女市)、迎昭典・鹿島市歴史的景観審議会会長をパネリストに、浜宿の街づくりについて討論しました。

 「呉竹東蔵」では、「水とまちなみの会」が05年11月にはウィーンを活動拠点とする盲目の世界的ピアニスト・梯剛之さんの酒蔵ピアノリサイタルも行い、620人が入場し、大盛況でした。また、「重伝建」での子供と大人も参加するスケッチ大会や、地区の商店や住民が一帯となった「花と酒まつり」開催など、会の地道なイベント活動も「重伝建」選定の原動力になったといえるでしょう。


写真④:「重伝建選定記念シンポジウム」やコンサートの舞台となった「呉竹東蔵」
     =鹿島市の呉竹酒造で、11月19日午前11時28分撮影

 「重伝建」は7月現在、全国で78地区が選定され、うち佐賀県は鹿島市2地区のほかに、有田町有田内山地区の製磁町、嬉野町塩田津の商家町と計4地区。九州では福岡県も、八女市八女福島の商家町と、うきは市筑後吉井(旧吉井町)の在郷町、朝倉市秋月(旧甘木市)の城下町、黒木町の在方町の計4地区です。

 「津屋崎千軒」の町並みは、商家町と港町の要素を備えています。「重伝建」に選定されるには、まず市の条例等で「伝統的建造物群保存地区」を決定し、特に価値が高いものとして国から選定されなければなりません。「津屋崎千軒」通りに、その資格を備えた伝統的建造物群が保存されている状況でしょうか。課題は山積しているようです。
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2006年11月21日/〈津屋崎の四季〉034・「津屋崎干潟」の野鳥スケッチ

2006-11-21 06:47:02 | 風物
 福岡県福津市渡の「津屋崎干潟」。潮干狩りや入り海での魚釣りなど市内外の人たちの憩いの場であり、野鳥や小動物の貴重な生息地でもあります。その豊かな自然環境と野鳥をカメラでスケッチしてみました。

 津屋崎漁港の漁船も係留されている入り江では、浮き玉の周囲をカルガモ(カモ科)の群れが泳いでいます=写真①=。


写真①:入り江に浮かぶ浮き玉の周囲を泳ぐカルガモたち
    =福津市渡の「津屋崎干潟」で、2006年11月6日午前10時40分撮影

 福岡県は11月15日、津屋崎干潟に飛来する野鳥を守ろうと「鳥獣保護区」に指定し、干潟の西側を走る道路脇に赤い標識と案内板=写真②=を立てました。


写真②:道路脇に立てられている福岡県「鳥獣保護区」の赤い標識(右)と案内板
     =福津市渡で、11月16日午後3時17分撮影

 ◆津屋崎干潟鳥獣保護区:福津市浜の町の津屋崎漁港東岸にある津屋崎漁協近くの津屋崎橋から北側の「津屋崎干潟」(入り海)約48㌶と、周辺陸地約15㌶の計約63㌶=写真③=。保護区の指定期間は10年で、必要なら延長も可能です。鳥獣保護法により野鳥や動物の捕獲が原則禁止され、干潟の生態系の維持を図るのが狙い。「津屋崎干潟」は、市西部の渡半島に抱かれた入り江で、地元では「内海(うちうみ)」と呼ばれ、干潮時には干潟が大きく広がります。波が静かで、小魚や貝類、ゴカイなど餌も豊富なことから、アオサギやコサギなど多くの留鳥が生息、カモやシギ類など渡り鳥の貴重な越冬・中継地にもなっています。05年10月には、九州では珍しい冬鳥のコハクチョウ(カモ科)2羽が飛来。また、絶滅危惧種のクロツラヘラサギ(トキ科)の飛来地として、国際保護ネットワーク(事務局・香港)から国際観測点の一つに登録されているほか、〝生きた化石〟と言われ絶滅が危惧される節足動物のカブトガニ(カブトガニ科)も生息しています。


写真③:案内板に表示された「津屋崎干潟鳥獣保護区域」
     =福津市渡で、11月16日午後3時17分撮影

 安全な入り江では、首の青いマガモ(カモ科)が悠然と泳いでいます=写真④=。


写真④:青い首が目立つマガモ
     =津屋崎干潟で、11月8日午後0時06分撮影

 津屋崎干潟に生息するカブトガニについては、福津市立津屋崎小学校の6年生たちが05年から幼生を育てて海に帰すなどの保護活動をスタート。「ごみを拾ったりして、カブトガニが住める環境を守りたい」と、干潟の環境の保護を呼びかけました。干潟の西側には、汚さないよう訴える看板も立てられています=写真⑤=。


写真⑤:津屋崎干潟を汚さないでと呼びかける看板
     =福津市渡で、11月6日午後4時23分撮影

 渡の「津屋崎干潟」西側を走る道路脇の電線では、冬鳥のミヤマガラス(カラス科)の群れが止まっていました=写真⑥=。宮地嶽神社(同市宮司)裏の森に飛来している群れとは、別のグループのようです。


写真⑥:「津屋崎干潟」西側の電線に止まったミヤマガラスの群れ
     =福津市渡で、11月8日午後0時07分撮影
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