●写真①:電線に止まったシジュウカラ(シジュウカラ科)
=福津市的岡で、2006年11月15日午前8時01分撮影
「シジュウカラ、ブッチョイチョイ」――留鳥のシジュウカラを見かけると、私の口からはすぐこのフレーズが出てきます。その鳴き声にちなむ『シジュウカラ、ブッチョイチョイ』という題名の悲しい民話が、宮崎県に残っているのを思い出すからです。11月15日朝、福津市的岡の電線にこの野鳥が止まった時=写真①=も「ツツピン、ツツピン」という鳴き声が、「ブッチョイチョイ」というふうに聞こえてきました。
体長14㌢でスズメより少し小さいが、尾はやや長い。軽快に飛び回り、住宅地の庭にもよく訪れます。頭と喉が黒く、頬の白色が目立ちます。白い腹部の中央に、喉から続く黒帯が縦にあり、まるで「黒い帽子に、白シャツの襟(えり)、黒ネクタイを締めた忙しそうなサラリーマン」のようです=写真②=。
写真②:喉から白い腹部の中央に続くネクタイのような黒帯があるシジュウカラ
=福津市的岡で、06年11月15日午前8時01分撮影
『シジュウカラ、ブッチョイチョイ』という民話は、またの題名を『シジュウカラの屁(へ)売り』と言い、罪もないシジュウカラには残酷な話です。標準語で紹介します。
〈昔、あるところに住んでいたじいさんが、山の畑で火を燃やして休んでいると、シジュウカラが桑の枝に止まったので、小石を投げたら当たったそうな。落ちてきたシジュウカラを火で焼いて食べたら、じいさんの尻から「シジュウカラ、ブッチョイチョイ」と屁が出た。家に戻ると、知恵の多いばあさんから「屁を売りに行くといい」と言われ、二人で町へ出かけて「へーや(屁屋)、へーや」とふれ歩いた。集まった人たちの前で、じいさんの屁が「シジュウカラ、ブッチョイチョイ」と馬力のいい音で鳴り出した。あまりに景気のいい屁だったので、町の人たちから一文銭が袋いっぱいになるほど投げられ、大金持ちになったとさ〉――という話です。さらに、民話は次のように続きます。
〈この話を聞いた隣の欲張りばあさんが、家のじいさんに山の畑で同じように桑の枝に来たシジュウカラに石を投げて落とさせ、火にくべて食べさせた。ところが、じいさんはシジュウカラの屁がうまく出なかった。それでも、欲張りばあさんはじいさんを町へ連れ出し、町の人たちの前で屁を出させたが、「ブースー」と妙な音しか出なかった。町の人たちは笑い、「ブースーばば、ブースーじじい」と言って、二人のそばを離れて行ったとさ〉
=福津市的岡で、2006年11月15日午前8時01分撮影
「シジュウカラ、ブッチョイチョイ」――留鳥のシジュウカラを見かけると、私の口からはすぐこのフレーズが出てきます。その鳴き声にちなむ『シジュウカラ、ブッチョイチョイ』という題名の悲しい民話が、宮崎県に残っているのを思い出すからです。11月15日朝、福津市的岡の電線にこの野鳥が止まった時=写真①=も「ツツピン、ツツピン」という鳴き声が、「ブッチョイチョイ」というふうに聞こえてきました。
体長14㌢でスズメより少し小さいが、尾はやや長い。軽快に飛び回り、住宅地の庭にもよく訪れます。頭と喉が黒く、頬の白色が目立ちます。白い腹部の中央に、喉から続く黒帯が縦にあり、まるで「黒い帽子に、白シャツの襟(えり)、黒ネクタイを締めた忙しそうなサラリーマン」のようです=写真②=。
写真②:喉から白い腹部の中央に続くネクタイのような黒帯があるシジュウカラ
=福津市的岡で、06年11月15日午前8時01分撮影
『シジュウカラ、ブッチョイチョイ』という民話は、またの題名を『シジュウカラの屁(へ)売り』と言い、罪もないシジュウカラには残酷な話です。標準語で紹介します。
〈昔、あるところに住んでいたじいさんが、山の畑で火を燃やして休んでいると、シジュウカラが桑の枝に止まったので、小石を投げたら当たったそうな。落ちてきたシジュウカラを火で焼いて食べたら、じいさんの尻から「シジュウカラ、ブッチョイチョイ」と屁が出た。家に戻ると、知恵の多いばあさんから「屁を売りに行くといい」と言われ、二人で町へ出かけて「へーや(屁屋)、へーや」とふれ歩いた。集まった人たちの前で、じいさんの屁が「シジュウカラ、ブッチョイチョイ」と馬力のいい音で鳴り出した。あまりに景気のいい屁だったので、町の人たちから一文銭が袋いっぱいになるほど投げられ、大金持ちになったとさ〉――という話です。さらに、民話は次のように続きます。
〈この話を聞いた隣の欲張りばあさんが、家のじいさんに山の畑で同じように桑の枝に来たシジュウカラに石を投げて落とさせ、火にくべて食べさせた。ところが、じいさんはシジュウカラの屁がうまく出なかった。それでも、欲張りばあさんはじいさんを町へ連れ出し、町の人たちの前で屁を出させたが、「ブースー」と妙な音しか出なかった。町の人たちは笑い、「ブースーばば、ブースーじじい」と言って、二人のそばを離れて行ったとさ〉