写真①:冊子「福津市景観マスタープラン」の表紙
福津市まちづくり構想図
「景観マスタープラン」を紹介します
〈津屋崎千軒〉の町並み保存も目標
福津市が良好な景観形成を促進する景観法に基づく景観行政を行う「景観行政団体」になるため、まちづくり構想図「景観マスタープラン」=写真①=を策定していることが分かりました。市都市計画審議会(小柳善治会長)が2008年3月に池浦順文市長に答申書を提出した内容が冊子(A4判、39㌻)にまとめられており、私が加わっている「津屋崎千軒 海とまちなみの会」が目指している〈津屋崎千軒〉の町並み保存も同景観計画で保存目標になっています。
「福津市景観マスタープラン」は08年3月、市が08年から17年まで10年間のまちづくり計画として、恵まれた景観を活かして定住・交流人口を増やし、持続的な発展を図ろうと、重要な場所での景観づくりの取り組みを計画的に進める方向性を示すため策定。
市はこのまちづくり計画を具体化するため、景観行政を進める基本となる景観計画区域や良好な景観形成に関する方針などを定めた「景観計画」の策定を目指しています。「景観マスタープラン」の「第2章 景観まちづくりの基本方針」では、〈津屋崎千軒〉の歴史的町並みや松林が彩る海浜景観など市内の景観がすぐれた場所をつないで回遊できる「ふくつ風景街道」=写真②=や「風景の小径(こみち)」を設け、〈津屋崎千軒〉などで地域住民とともに景観の自主的ルールづくりを行うとしています。
写真②:景観づくりの基本方針〈ふくつ風景街道の配置、福津三十六景など〉の図
(冊子「福津市景観マスタープラン」14㌻から)
「ふくつ風景街道」の基本方針では、〈津屋崎千軒〉を〈海浜・田園景観軸〉=写真③=の滞留ポイントとして位置づけ、観光客が散策したくなるまちづくりを進めます。〝歴史と風情を感じさせる建物〟を地域主導で残していく取り組みを、市の「津屋崎千軒通り整備計画」と連携して、「歴史的風情を残す建物などの選定」や「歴史を残し、創る建築ガイドラインの作成」、建て替え、新築などで歴史的雰囲気を残し、または創った建築物を市が表彰する制度の発足などの方向で支援するという。
写真③:〈海浜・田園景観軸とその周辺の福津三十六景〉の図
(冊子「福津市景観マスタープラン」21㌻から)
「風景の小径」の主要施策では、〈津屋崎千軒通り〉は観光の回遊ルートとしてふさわしい外灯の整備など風情に合った景観の演出を検討。「津屋崎干潟をめぐる小径」では、津屋崎港から出発して津屋崎橋を渡り、恋の浦の近くを通りながら同干潟をぐるりと一周して眺めることができる道として誘導サインを整備する、としています。
以上の構想に基づき、今後、景観の取り組みについて市民の理解を得て、盛り上がりを図り、市が景観行政団体となり、景観計画策定や景観条例制定を検討。市民や事業者、NPOとの共働体制づくりを始め、「風景街道協議会」の設置や、〈津屋崎千軒〉の歴史的町並みを残していく共働体制として地元の活動団体などを核とする緩やかなネットワーク作りを図るという。
景観法では、歴史的雰囲気を残す地域の景観形成の核として、シンボル的な古民家などを「景観重要建造物」に指定でき、外観の変更などを制限。一方、指定のメリットとしては建蔽率の制限や道路内建築制限などの建築基準法の規制緩和と、建造物とその敷地の相続税の適正評価、建築物の保全・再生がしやすくなる点などが挙げられています。