写真①:NHKで放映中の朝の連続テレビ小説『マッサン』のタイトル
・連載エッセー『一木一草』
第36回:マッサンと津屋崎人形
NHKの連続テレビ小説『マッサン』と掛けて何と解く
津屋崎人形と解く
その心は――ドラマの主人公が登場する北海道余市に関係しています
NHKの連続テレビ小説『マッサン』=写真①=を毎朝、家族で見ています。ドラマの主人公・〝マッサン〟こと亀山政春(玉山鉄二役)の会社・「北海道果汁」(余市町)では1月27日現在、製造したりんごジュースの値段が高すぎるのか全く売れない局面のストーリーが展開中です。
この亀山政春は、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝がモデルになっています。政春の父が営む「亀山酒造」のロケ地であり竹鶴政孝の生家でもある「竹鶴酒造」(広島県竹原市)は、江戸時代創業。家裏の竹藪に鶴が営巣したことから「竹鶴酒造」と付けた屋号の由来が面白いですね。北海道余市のニッカウヰスキー北海道工場とともに今、ドラマを見た観光客らで賑わっているという。
余市町は、名探偵〈浅見光彦〉が活躍する人気シリーズで有名な旅情ミステリー作家・内田康夫の新聞連載小説『化生の海』=写真②=で、主人公の会社員三井所剛史(46)の住む町として登場します。
写真②:旅情ミステリー作家・内田康夫の小説『化生の海』(新潮社刊)
小説『化生の海』のストーリーでは、江戸時代から伝わる粘土を素焼きして筆で彩色する素朴な津屋崎人形の〈金太郎武者姿〉=写真③=をキーワードに、殺人事件の謎解きが展開。有名女優だった母親から北海道函館市で赤ちゃんの時に揺り籠に入れて捨てられ、児童養護施設で育った剛史が、石川県加賀市の橋立港で遺体で発見されます。「卯」の字の刻印を持つこの鎧兜の武者姿をした金太郎人形が、揺り籠に入れられていたことから、母親探しがスタート。浅見は〈あの人形は、昭和の初め頃に福岡県の津屋崎という、玄界灘に面した古い港町で作られたものでした。『卯の字の人形』は縁起物として人気があった〉と語ります。浅見の母雪江が、かつて訪ねたことのある津屋崎について〈昔は海上交通の要衝で『津屋崎千軒』といわれるほど繁盛していたそうですもの〉、〈小さな港町。玄界灘に面した、とてもきれいなところでしたよ〉などと話す場面もあります。
写真③:〈金太郎武者姿〉の津屋崎人形
=福津市津屋崎3丁目(天神町)の「筑前津屋崎人形巧房」で、2010年7月24日撮影
浅見は、〈金太郎武者姿〉の津屋崎人形を求めたのを剛史の母親宇土佳代(映画スター深草千尋)の祖父であることを明らかにし、佳代の所在や剛史殺害の犯人も突き止めます。剛史の娘園子は、余市のニッカウヰスキー蒸留棟の案内係として勤務しており、ここでも『マッサン』の舞台と重なります。
そこで、謎掛けです。
NHKの連続テレビ小説『マッサン』と掛けて何と解く
――整いました
津屋崎人形と解きます
その心は
――ドラマの主人公が登場する北海道余市に関係しています