2024年12月21日。前回からの続き。
そういう訳で、ダ・ヴィンチのロボットアームを使った前立腺摘出手術を受け、ブログ主は一命を取りとめた。射精能力がなくなったのはもう、仕方ない。もとより、そんなことを嘆きあう相手もいない。手術の麻酔から目覚めた後、なんていうのだろう、これも一種の賢者タイム?なのかな。「はあ~、なーんにも経験しないうちに俺、終わっちゃったなあ」なんて、泣く気も怒る気もなく、ただ脱力して病室の天井を眺めたな。・・・そして、自分が射精だけでなく勃起もしなくなったのに気付いたのは、退院後だいぶ日にちが経ってから。AV(アダルトビデオ)のサイトを見ながら、股間をいじる。普通に、気持ちいい。気持ちはいいのだが、固くならない。フニャフニャのまま。ああ、そうなっちゃったんだ・・。
当時はしかし、そんな呑気な快楽と失望感に浸っているどころではなかった。次の課題が待っている。いよいよ異物感と痛みが度を超す物になってきた、肛門内部の腫瘍。これに対応しなければならない。かつて大腸がんでお世話になった病院へ何年ぶりかで赴き、CF(大腸内視鏡検査)。セデーション付きの一泊入院。・・げに恐るべきは、結果診察の日に見せてもらったカラー画像。肛門近くにできている大きな腫瘍に、びっくり仰天。何、このでかい腫れもの。「内視鏡でポリペクトミーをやれるようなサイズではないので、今回は見ただけ。超音波内視鏡検査をやっている大きな病院で、改めて生検を受けてほしい」との話。
紹介状を出してもらって、地元の大きな病院へ。まず、消化器内科の診察。「組織の切り取りをやるので、検査後の様子見が必要になります。何日か入院になりますが、大丈夫ですか」「はい。毎日もう、自由日なので」ということで、検査入院。1週間弱だったかな。病棟5階。ナースさんたち、医師団、そしてクラークさん、皆さんが概ねフレンドリーだったことで、基本的に心地良く過ごさせてもらえた。・・・退院後の外来診察で、結果を聞く。診断は、悪性の粘膜下腫瘍。内部に芯らしきものが出来ているらしく、もはや腫瘍(tumor)ではなく腫瘤(mass)になっていると。悪性確定。大きさの点でも、3センチ・ルールを軽く超えている。手術、待ったなし。「すぐに、消化器外科の診察を受けてください。今、院内の紹介状を書きますから。でも、よくこれだけの早期で見つかったと思っていただいて、すぐに外科の診察を受けてください」。
普通この腫瘍は胃にできやすいものらしく、全く無症状のまま成長する。で、異変を感じて検査する頃には、手術しても取り切れない程に巨大化した後。結局、その後は薬でどれぐらい延命できそうかを考える段階になるという。つまり、余命(あるいは、人生の終点)がおおよそ見えてしまうという、恐ろしい話だ。ブログ主の場合、「長時間座ってばかりの生活だったから、痔になっちゃったんだろうな」と思って最初に肛門科のクリニックへ行ったぐらい、それは肛門直近に出来ていた。だから、すぐに分かった。早期発見が出来た。そして、その段階で手術を受けられたから、助かった。これが、5年前に我が身に起こったある種の幸運(というより、不幸中の幸い)。・・・次回は、幸いでなかった側面の、ちょっとつらい話。予告しておこう。人工肛門。ストーマ生活の始まりである。
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