クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

アーサー王

2004年11月13日 | エトセトラ
前回パルシファルに少し触れたので、今回はその人物の出どころとなっているアーサー王伝説について片言隻句。

アーサー王と言えば、クラシック音楽通の間ではヘンリー・パーセルのセミ・オペラの題材に使われている人物名としても知られているし、その出身地であるティンタジェルを題材にしたアーノルド・バックスの交響詩をご存知の方もおられるだろう。(※もっともパーセル作品の方は、「アーサー王とブリトン人がサクソン人とその王オズワルドと戦う話に、娘の救出劇が加味される」という、作家ドライデンが翻案した物語に曲をつけたもの。伝説の本筋からは、かなり離れている。勘違いしないように、注意が必要だ。)

古代ケルトの伝承に淵源を持つとされる偉大な王と円卓の騎士達の冒険物語をひもといてみると、特にワグナー愛好者にとって大変興味深い名前に出会うことが出来る。例えばトリストラムとイズールトの物語(※そこでは、トリストラムに打ち倒される大男はモルホルト、イズールトのお付きの女はブランガーネ、イズールトが嫁ぐ相手はマーク王と表記される)や、円卓の騎士の一人であるパーシヴァルと彼に騎士道を指南する領主ゴルネマントが登場する『聖杯物語』といったあたりが、その好例と言えるだろう。

さらに別の例を挙げると、<ワルキューレ>第1幕でノートゥングの剣が木から引き抜かれる場面があるが、これも当ケルト伝説が案のもとになっているのではないかと思われる節(ふし)がある。岩に深く突き刺さって誰にも抜くことの出来なかった名剣エクスカリバーを、予言されていた偉大な王の出現を証明するように、若きアーサーがスッと抜いてみせる。これは数ある王のエピソードの中でもおそらく、最も有名なものの一つであろう。

そう言えば、アーサー王のmentorとして活躍する魔術師マーリン(またはメルリン、メルラン)を主人公にしたアルベニスの歌劇が最近DVDで発売されたらしい。マニア心をくすぐるアイテムだが、当然のことながら新発売DVDで、お値段高し。音声だけでもいいから、廉価のCDが出ないものか・・。

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