回転寿司ぺろぺろ事件が起きて、それなりに日本中に衝撃が走ったように感じる。類似の迷惑面白がり動画というのも多数あるらしく、そういうことでもこの事件は、ある意味で氷山の一角をあらわしている感がある。わざわざネットに公開してしまうメディアリテラシーの無さの違いがあっただけのことで、こういうのを面白いと感じる人々がいるらしいことが分かるし、そうであれば、このような悪ふざけというのは、今後も無くなることは無いのではないか。
今回は被害者側である回転寿司サイドへの同情の方が強く、被害を心配する声の方が大きいようにも感じる。回転寿司側も、それなりの対応策を講じていくだろうし、現在何かやってる感も発信している様子である。客の側にも、応援と称してあえて食べに行く動画をあげたり、警察と称して客などを監視するような行為をしている人もいるという。お世話になったからとか、今後も頑張って欲しいとか、明らかに妙なテロ行為をした若者への反発への反動もあるのかもしれないと思わせられる。
一方でやはり、このような業務形態への警鐘を改めて鳴らしている人々もいる。テロは起こるべくして起こり、このようなヤンキー文化を客層として呼び込んでやっている以上避けられないリスクだということも言えるのかもしれない。文化層を分断して、別の形態を模索する側として切り捨てるということも言えるかもしれない。回転寿司のような大衆的なコストカットの食の在り方で成り立っている考え方それ自体を、変えるべき時が来たということもあるのかもしれない。
単純に無節操な若者を罰したいという欲求の強さも感じる。この機会に、このような輩をひどく懲らしめておきたいということだろう。動画で面も割れていることから、犯行をした人達も会社側に謝罪したと言われるが、それはそれとして法的な手段を取るとも言われており、出来る限りの厳罰に処すことを望む声も大きい。絶対に許せないことで、さらにその罪の大きさも、単なる謝罪に済ませられるものではない、という思いだろう。
これまでにもこのような迷惑事件はあったものと推察されるのだが、やっと事が大きくなり、実際に衝撃度の強い不快感のある人物が映像を流したことで爆発した。しかしながらある程度予想されたことでもあり、必ずしも会社側の不手際とはいえない問題でもあったため、なんとかそこに留まっている状態ではあるかとは思う。しかし、これはこれで一旦は、ということでもあるように思う。まったく同じように、一応は洗われた皿がテーブル横に設置してあったり、醤油などの調味料や、回転している食べ物などには、何らかの工夫や方法が生まれない限り、モヤモヤした気持ち悪さは無くならないのではないか。
もちろん回転寿司に限らずこのようなリスクのある店の形態というのはすぐに思い浮かぶわけで、タッチパネル文化であるとか放置的な個室であるとか、しかし安価さだけを求める客の利用する場所というものは、危険サインが常にともることになる。もちろん忘れた客は行き続けるが、忘れず学習した人々は考えを変えるかもしれない。
元々あったかもしれないそれらの境が、さらに溝を深くして広がる可能性のある、分岐点としての事件になったかもしれない。テロというのはそういうもので、残念ながら大きく社会を変え得る可能性を持っている。今回は不注意流出系だが、狙って出せることを考える人もいるはずである。もっともそのことに目覚めていない可能性も、あるにはあるのだが……。